予防教育科学教育研究センター

記載責任者 予防教育科学教育研究センター所長(命) 山崎勝之
〈基礎・臨床系教育部 教授〉

(1)教員名簿

センター所長(命) 山崎勝之 (任期:平成22年4月1日~)
氏名 職名 専門分野 氏名 職名 専門分野
<センター所長,人間形成コース>
山崎勝之
教授 発達健康心理学 <臨床心理士養成コース>
井上和臣
教授 精神医学
<臨床心理士養成コース>
葛西真記子
教授 臨床心理学 <生活・健康系コース(保健体育)>
廣瀬政雄
教授 小児科学
<生活・健康系コース(家庭)>
前田英雄
教授 食品科学 <生活・健康系コース(保健体育)>
吉本佐雅子
教授 学校保健学

<専任教育>

佐々木恵

准教授 行動医学

<専任教育>

内田香奈子

講師

学校心理学

 

*教員氏名は、当該教員の自己点検・評価報告書へリンクしています。

 

研究員    松本有貴,石本雄真

研究補佐員 植松 秋,津田麻美,森 優貴,安田小響

 

(2)センターの活動状況,今後の課題等

平成22年度のセンターの活動は、主として、概算要求 平成22年度特別経費(プロジェクト分)「学校において子どもの適応と健康を守る予防教育開発・実践的応用研究事業」にそって実施された。

(1)学校における予防教育の開発と実践

学校において実施する予防教育を、大きくベース総合教育とオプショナル教育に分け、それぞれ授業開発と実践を行った。
ベース総合教育は、健康と適応を総合的に守り、向上させる予防教育で、附属小中学校において、小3~中1までに最終的に実施する授業の半分ほどを開発・実践し、あわせてその教育効果をみた。他方オプショナル教育は、特定の健康、適応問題に特化した予防教育で、鳴門市の小中学校、合計4校で、ストレス予防、生活習慣病予防、暴力予防、喫煙予防の各授業を開発し、実践した。
教育効果は、自記式質問紙を中心に確認されたが、実施したほぼすべての教育において認められた。 

2)国際ならびに国内共同研究

センターでは、予防教育の開発に際しては、国内外の研究者や教育者との共同を重視する。そのため、平成22年度においては、まず、国際会議を大阪で開催し、アメリカ、オーストラリア、中国、イギリス等から研究者を招き、国内外の研究・教育者と今後の学校予防教育について討議、情報交換した。会議では、各国の予防教育の紹介から始まり、今後の予防教育の発展上の障壁について集中的に討議を行った。
また、鳴門教育大学においては、著名なアメリカの研究者2人を招いて同時講演会を実施し、本学や外部の教員と学生にアメリカでの先進的な予防教育が紹介された。さらには、日本国内の研究者と学校教員が集まり、大阪にて国内専門家会議を開催し、センターが行う教育について、その円滑な発展の方途について意見交換がなされた。
そして、世界最大の心理学会であるアメリカ心理学会(サンディエゴ)において、予防教育に関するシンポジウムを主催開催したことも特記され、多数の国から研究者が参加し、多様で貴重な意見効果の場となった。
その他海外視察では、アメリカ、デンバーにて、安全な学校とコミュニティーセンター(Center for Safe Schools and Communities, Dr. Sara Salmon, Executive Director) を訪問し、同時にデンバーの複数の学校も訪問した。続いて、シカゴを訪れ、ノースウェスタン大学とイリノイ大学シカゴ校、さらにはキャセル(CASEL: Collaborative for Academic, Social, and Emotional Learning, Dr. Roger P. Weissberg, President)を訪問し、視察ならびに意見交換を行った。とりわけ、キャセルの訪問は、このセンターが現在世界的に広まりつつある社会感情学習の中心的役割を果たしているだけに意義深いものであり、訪問時に互いに連携機関となることも了承された。   

(3)研修会

センターで開発中の予防教育は最終的に学校教員に実施していただくので、学校教員への研修会は重要である。平成22年度においては、センターの予防教育の方向が定まった年度末において、研修会を実施し、理論から授業実習まで多彩な研修が行われた。教育の理論面は難解な側面を有するが、きわめて平易に説明され、また授業実習では、参加者に児童生徒になってもらって、実際の授業を体験してもらった。
研修会により、今後リーダーとなる教員も何名か生まれたことは、広域、恒常的実施を目指すセンターの計画には大きな支えとなった。

(4)大学、大学院での授業

この教育を広範囲の学校で継続して円滑に実施するためには、将来教員となる学生にこの種の教育への理解を深めてもらう必要がある。つまり、大学の教職課程において教育実施者としてのトレーニングが開始される必要がある。そこでセンターでは、学部においては平成24年度より「学校と予防教育科学」を、大学院においては平成23年度より「予防教育科学」の授業を実施することとし、担当教員が決定されるとともに、学部授業では、シラバスも完成した。

(5)広報、その他

センターの広報業務では、Websiteの充実、講演会等が他にあり、これまでにはない新しい教育を知っていただく活動を手広く実施している。とりわけWebsiteは日英完全対応で、広く詳細に海外に向けても情報を発信している。

(6)今後の課題等

まず、学校において広く実施されることを目指すこの教育は、教育の成り立ちそのものがこれまでの学校教育とは異なるため、その基礎を理解していただくことにさらに力を入れる必要がある。特に、エビデンス(科学的根拠)をもって展開されるこの教育への理解には、科学領域の基礎知見や理論を理解することが必要になる。これまで学校教育は科学的な知見がほとんど導入されず、教員の主観や経験に頼っていた側面が強いだけに、センターの新規教育の導入には、心理的抵抗と理解の困難さがあり、この点を克服することが最重要課題となる。
次には、教育の効果評価の科学性はまだまだ低く、今後さらなる発展を遂げる必要がある。学校において科学的な教育効果評価を実施することには多くの困難がともなうが、それを克服して一歩ずつでも科学性を高める必要がある。エビデンスベースドな教育の根幹の1つはこの効果評価であるだけに、この点のさらなる充実は必須となる。
また、国内外の共同の規模を拡大し、その共同体制の充実をはかりたい。センターの国内外の連携機関(6機関)や連携研究者(23名)、教育者(26名)の数は急速に増えており、その共同体制の規模は目を見張るものがあるが、実際の共同の機会の確保とあり方を、その円滑な運用をはかるためさらに高める必要がある

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経営企画戦略課
電話:088-687-6032