4.附属学校部 附属幼稚園

<附属幼稚園>

(1)教育課程の編成・実施

  本園の教育課程は,子どもたちの遊びを中心とした生活を総合的に組織し,一人ひとりの子どもの発達に合わせて考えている。
ア 教育方針
  学校教育法および国立大学法人法にもとづいた幼稚園教育の実現及び附属幼稚園としての使命を達成すること。
イ 教育目標
(ア) 自主・自立・創造・感謝の精神の芽生えを培うこと。
(イ) 健康でたくましい心身をはぐくむこと。
(ウ) それぞれのよさや違いを認め合う感性を養うこと。
(エ) 身近な環境に対する興味や,大切にしようとする心情を養うこと。
(オ) 喜んで話したり,聞いたりする態度や言葉に対する感覚を養うこと。
(カ) 創作的表現に対する興味を育てること。
ウ 保育の基本姿勢
  人の生涯の基盤となりうる「人間性」を養う保育を目指している。
(ア) 真に子どもたちのための保育を創造すること。
(イ) 豊かな環境作りを重要な任務とすること。
(ウ) 子どもらしく遊ぶ生活を保障すること。
(エ) 子どもたちの可能性を信じて,一人一人に合わせた指導をすること。(オ) 子どもと共に子どもの自治による園生活を営むこと。
エ めざす子ども像
(ア) たくましい子ども
(イ) しなやかな子ども
(ウ) 育ちあう子ども

(2)教育研究

ア 幼児教育研究会
主 題 期 日 参加者 内 容
保育の質を問う -遊誘財が創りだす幼児期における体験の多様性とその関連性- 平成19年11月29日(木) 県内外の幼児教育関係者及び小学校教育関係者 250名 保育/授業公開
全体会
挨  拶  (田中弘之園長)
研究発表 「遊誘財が創りだす幼児期における体験の多様性とその関連性」(佐々木晃研究主任)
ビデオフォーラム 「体験の多様性とその関連性を促すために」(梅澤実教授・塩路晶子講師・木下光二教頭・鍋山由美教諭)
イ 第41回全国女子体育研究大会徳島大会(第50回徳島県女子体育研究協議会)幼稚園分科会
主 題 期 日 参加者 内 容
「こころが動く からだが動く」 平成19年11月30日(金) 県内外の幼児教育関係者及び体育スポーツダンス指導者 65名 保育公開・アトラクション(保護者演技「オペレッタ“ヤギとトロル”」)
分科会 保育研究・研究発表・研究協議等
指導助言者(山梨県立大学 高野牧子准教授・ 富田幼稚園 山口敏園長)
ウ 大学教員並びに大学院生と連携した研究活動
  月2回程度開催の合同研究会には、本学教員をはじめ県内外の研究者や実践者の参加が定着し、保育のVTR記録やカンファレンスを中心として「遊誘財研究」に取り組んできた。また、大学院の実践研究「幼小連携教育」,「保育の質」チームとは,研究保育をはじめとした様々な試行や調査,カンファレンスを協力して行い,重要な成果が得られた。
  幼年発達支援教育講座と共同で,「省察から研究へと子ども理解を深める保育者育成指標の構築研究プロジェクト」に,保護者の協力も得て取り組んだ。主に4・5歳児が,大学構内の豊かな自然環境の中で多くの直接体験ができ,研究成果が上がった。
  地域連携センターと「幼児期の体験の多様性と関連性に配慮した指導内容と誘遊財の開発研究プロジェクト」に取り組み、遊誘財の開発とその指導のデータベース化を模索した。地域連携センターとは「保育者の“ナラティブ”を教材とした学生の観察力の育成」研究にも取り組み、事例研究についての成果が得られた。
  「教育実践の省察力をもつ教員養成プログラム」の「授業実践映像データベース」に本園の映像コンテンツを提供し、大学の講義における活用やコンテンツの拡充に貢献した。
エ 各種研修会・講座等への参加・協力 
  幼稚園長等運営管理協議会・保育技術協議会・教育課程研究協議会・中堅教諭研修・新規採用教員研修などの文部科学省及び県教委主催の各種研修会・講座等に参加したり、講師,指導助言者,保育公開,実技指導等を担当したりした。
  文科省主催の講座等には積極的に参加し、特に、堀江教育実習主任が「子育て支援指導者養成研修」、木下教頭が「教職員等中央研修」に参加し、その研修成果を園内外で活用した。
  その他,近藤副園長は,「幼稚園教育要領に定めるねらいの実現状況の把握に関する調査研究」指定園や岡山県や県内各研究協議会等で講演や指導助言を行った。木下教頭は,「幼稚園と小学校の連携」をテーマにして、高知県・兵庫県や県内各郡市幼稚園教育研究協議会や小学校生活科研究会等で講演や指導助言を行った。佐々木研究主任は,文科省の幼稚園教育要領解説作成協力者として会議に出席したり,滋賀県・香川県や県内の研修講座等で講演や指導助言を行ったりした。鍋山教諭が徳島国語教育実践研究会にて「“つながり”を育てる言葉の指導」を発表した。
オ 特別支援教育
  特別支援教育講座教員や附属特別支援学校教員の協力や指導を得て、特別支援教育の特に発達障害の特性やその指導法についての研修を実施した。特別支援教育コーディネーターを中心に、特別支援を要する幼児一人一人の教育的ニーズに応じた指導及び支援の在り方について協議を深めた。
カ 刊行物・資料提供等 
  ○「鳴門教育大学附属幼稚園 研究紀要第41集」2007年11月 
  ○「第41回全国女子体育研究大会徳島大会(第50回徳島県女子体育研究協議会)研究紀要」2007年11月
  ○「鳴門教育大学授業実践研究 第6号(2007)」
  ○「初等教育資料」平成19年10月号(文部科学省教育課程課・幼児教育課編集 No.826)に木下光二教頭が「幼稚園の環境に思うこと」を発表。
  ○「幼児の指導 ラポム」2007年4月号~2008年3月号(学習研究社)に、佐々木晃研究主任が、コラム“絵本”を連載。
キ 学部授業の担当
  附属幼稚園教員が,学部の授業「保育内容 言葉」を担当した。
ク 研究成果等の公表・情報発信・地域貢献等
  ウェブページで,研究事例や研究紀要の要約を掲載して研究成果や本園の教育活動の実情を公開した。
  「附属幼稚園教育講演会」を開催したり,子育て相談活動や入園希望者への保育・施設公開をするなど,地域の子育て家庭や教育関係者への子育て支援活動を積極的に行った。
  全国幼児教育研究協会徳島支部の事務局として,文科省幼児教育課の篠原孝子教科調査官講師による「新幼稚園教育要領の改訂について」の講演会や学習会や研修講座の開催等の中心的な役割を担った。
  県内はもとより,東京都・茨城県・京都府・滋賀県・兵庫県・岡山県・香川県・高知県・愛媛県等,全国各地からの視察参観希望があり,合計158名を受け入れるなど,開かれた幼稚園として,地域の住民や全国の教育関係者に情報発信や相談・研修・教育の場を提供した。
ケ その他
  木下光二教頭が「幼稚園教員の力量形成のためのDVDを活用した教材開発」について科学研究費補助金の交付を受け,教職員・保護者が研究協力をした。

(3)実地教育

ふれあい実習 1年生 6名 9月10日
附属校園直前観察実習 3年生
4年生
大学院生
5名
1名1名
6月19日~6月20日
実地教育V 附属校園実習 3年生
4年生
大学院生
5名
1名
1名
9月3日~9月28日
実地教育VII 協力校実習 4年生 4名 9月3日~9月14日
  実地教育Ⅴは,幼稚園における幼児との直接的なかかわりの過程を通して,指導教員のもと,教職の体験をつみ,教員となるための実践上の基礎的な能力や態度を養うことを目的として実施した。教育専門職にふさわしい実践的能力や研究態度を身に付け,子どもと共に生きるという基本事項についての気付きや課題の明瞭化が図られた実習であった。

(4)教職員

ア 教職員組織
  現員は,総勢11名で,内訳は,園長・副園長・部内教頭・教諭4名・養護教諭・非常勤講師2名,事務職員である。
  平成18年度末の人事異動がなかったため、新学期当初より安定した教育研究活動が展開できた。
  組織の活性化や教育の質の確保のためには,人事交流は不可欠であるため,平成17年度末以降休止となっている徳島市教委はもちろん,他の市教委にも幼稚園教員の人事交流ができるよう積極的に働きかけてきたが、実現には至っていない。
  これまでの懸案事項であった,附属幼稚園部内教頭の手当が今年度より支給されることとなったのは、画期的な前進であった。
イ その他
  今年度も,大学の協力を得てスクールカウンセラーが配置され,教員・保護者のメンタルヘルス支援体制が充実してきた。
  保育研究記録のDVD作成やウェブページの作成・更新によって、研究情報公開や質の高い保育者養成等に多大な貢献をしてしているが、これらは、専門的な知識や膨大な時間を要し、教職員の過重労働負担となっている。情報管理の安全性からも専門スタッフの配置が望まれる。

(5)施設設備

ア 教育研究設備の充実
  遊戯室耐震改修により、床・壁・ドア・窓際の棚等の内装も美しく一新された。遊戯室前の教材整理棚を移動したり一部新設したりして、遊戯室で使用する演壇・長机・椅子等の収納場所を確保した。
  老朽化して一部損傷していた、中棟・北棟資料室(ままごとのへや)の教材整理戸棚、及び4.5歳児4学級のシューズボックスを新設した。多岐にわたっている教材・教具等の効率よい整理収納が可能となり、幼児が自主的に安全や衛生面にも配慮できるような保育環境が充実した。
  中棟・北棟保育室南側のテラスを、緩衝効果があり水に濡れても滑らない床材に張り替え、中庭周辺での多様な活動や、基本的生活習慣形成等に効果が上がっている。
  東棟2階階段への昇降口フロアを廊下床との段差をなくして張り替え、重くて開閉が困難だった鉄製引き戸を木製の開閉容易な引き戸に作り替え、園児や保護者の安全確保や防犯対策に役立っている。
  家禽舎の排水口の補修工事で水はけがよくなり、園児が衛生的に飼育活動を行えるようになった。
  中棟屋上遊戯場全面に人工芝を敷設し、幼児の運動機能の開発や安全管理に成果が上がっている。

(6)その他

ア 学校安全対策
  「安全指導計画」の見直し・更新をして,より具体的な危機管理マニュアルを作成した。安全防犯講習会や救急救命法講習会等を開催し,教職員や保護者の安全管理意識や実践力の向上を図った。
  玄関前の防犯カメラ・テレビモニターをカラー化した。
  強化ガラス以外の園内の全ガラスに飛散防止フィルムを貼り、地震・防犯・安全対策を行った。
  毎月20日の「学校安全の日」に安全チェックを実施して不備な箇所は改善に努めた。特に、固定遊具の安全点検は専門業者にも依頼して万全を期し、総合的固定遊具のネットを張り替えた。
イ 大学の支援を得た教育活動の充実
  芸術系(美術)教育講座との連携で,5歳児が大塚国際美術館を見学をし,幼児の鑑賞教育を実践した。
  生活・健康系(保健体育)教育講座との連携で「冒険ランド」や「なるとピクニック」を実施し,鳴門教育大学ならではのマリンスポーツや自然体験ができた。
  大学構内への園外保育では,自然系(理科)教育講座の協力によるサツマイモ栽培や,幼年発達支援教育講座の協力による大学多目的広場における自然体験活動,大学附属図書館児童図書室での読書体験活動などができた。
  大学教員に歌唱指導や演技指導を受けた、保護者による創作表現活動オペレッタは、女体連全国大会でたいへん好評を博し、「鳴門教育大学第22回創作舞踊公演」にも賛助出演した。
  大学の施設設備を有効活用したり,大学の多方面から温かい支援を得て,園行事や保護者研修がとても充実した。
ウ 表彰
  全附P連主催平成19年度絵画コンテストに優れた作品を多く寄せ、全国国立大学附属PTA連合会より,「学校園優秀賞」の表彰を受けた。
最終更新日:2010年02月17日

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