4.附属学校部 附属特別支援学校

<附属特別支援学校>

(1)教育課程の編成

  本校では,教育目標を「 1 明るい性格と豊かな人間性を育てる。 2 日常生活に必要な習慣や態度を養う。3 生活を高めるため,知識・技能・態度を育てる。 4 強靱なからだと意志を養う。5 集団生活への適応能力を育てる。」と定めている。そして,児童生徒の障害特性や発達段階に応じ,教育課程を弾力的に運用している。特に,数年来増え続けている自閉症の子どもの障害特性に応じた取り組みは急務であり,その対応に力を入れている。
ア.小学部の教育課程
  小学部の子ども達の発達段階から考えると,系統性を重視した教科指導を行うよりも,生活の中で体験や感性を豊かにし,指導すべき数量の概念の獲得や言語活動の場を設定し,合科的・統合的な指導を進めていく必要がある。そのため,次のような学習時間を設けている。(ア)生活単元学習(イ)合同学習(ウ)朝の運動[リズム運動,サーキット,持久走](エ)遊びの時間(オ)ことば・かず(カ)図画工作(キ)音楽(ク)清掃指導[日常生活指導]
  自閉症の児童のために構造化された指導プログラムは,児童がやるべき課題を明確に把握し,先の見通しをもった行動ができるようにすることに効果を発揮した。
  また,「自立活動」を中心とし,個に応じた指導を進めることで指導効果が上がることも確認できた。
  本校の児童は,居住地の子ども達とふれあう機会がどうしても少なくなる。そこで,居住地校区内にある小学校の特別支援学級や通常の学級の児童と授業や遊びを共にする居住地校交流を実施している。本年度は,2名の児童が藍住南小学校と北井上小学校において交流し,人間関係形成に役立てている。
イ. 中学部の教育課程
  この時期は,身体的な成長が大きく,また,精神的にもいろいろな変化が見られる。そのため,個々の生徒の状況に応じた集団編成に特に配慮している。国語や数学などの教科における指導は能力別に行い,個に応じた指導を図っている。体育や音楽といった教科は,生徒の興味関心や適正を考慮した集団を取り入れている。その他,宿泊学習や各種行事における集団など,指導目標や指導内容に応じ,それぞれに合った適切な集団を構成している。
  生徒が生涯にわたり生き甲斐をもって生活していく上で,働く意識や自覚を養うことは重要である。そこで,「作業学習」を中学部から取り入れ,「(ア)プラスチックもぎり (イ)紙箱づくり (ウ)木工 (エ)陶芸 (オ)手工芸」の作業職種に取り組んでいる。高等部の生徒が就業体験を終えた後,全校児童生徒の前で,その内容を発表する機会があるが,その話を熱心に聞くなど,仕事に対する生徒の関心は高まっている。
ウ. 高等部の教育課程
  学校卒業後の進路の問題は,高等部の生徒にとって重要である。そこで,卒業後の生活を見据え,身体作りや作業学習を進めている。そして,作業学習の評価や就業体験を実施する中で,卒業後の進路を決定するようにしている。しかし,最近の社会情勢や障害の重度重複化に伴う生徒の実態を考えても,企業への就労は非常に厳しい。そこで,少しでも多くの生徒が就労できるよう,実習先の開拓を行っている。また,早期からの取り組みとなるよう,1年生から就業体験を実施している。

(2)教育研究

  本年度から,「一人一人の教育的ニーズに応じた支援について」のテーマのもと,2年計画で研究を進めている。内容としては,校内支援システムと校外支援システムの在り方の2側面から研究を深めることにした。本年度の成果や課題の概要は次のとおりである。 校内支援システムの在り方については,校内コーディネーターを中心に,校内支援の流れやスケジュールに沿った個別の教育支援計画や個別の指導計画を策定した。しかし,学部内で発生した事案について,学部と学校全体が双方向で情報交換や討議が行えるラインを設定する必要がある。また,児童生徒の教育的ニーズを明らかにするための実態把握の尺度表作成については,フォーマルなアセスメントに関する調査を行い,具体的な校内研修に関する実施計画を立案して取り組んだ。課題として,研修時間の確保,研修会の回数,研修会の在り方などが浮かび上がった。
  校外支援システムの在り方については,公開研修における研修内容のアンケートの充足度調査の結果,概ね好評だったと言える。ただ,支援対象の方のニーズをこちらが明確に把握する必要性があること,支援ツールの改善・検討が必要なこと,個別の指導計画の作成および指導実践を効果的に進めるためには,詳細なタイムスケジュールの提示が必要であることが明確になった。

(3)実地教育

  特別支援教育に関心を持つ学生が増え,実地教育に参加する人数も非常に多くなっている。そのことは喜ばしいことであるが,実習生の数が本校の受け入れ能力を越えるようになっている。本校の任務の中で,実地教育は重要である。そこで,従来2週間だった期間を4週間に伸ばし,1回の実習生の数を半分にすることにより対応した。しかし,期間が延びたことにより児童・生徒の負担は増え,落ち着いて授業を行える状況は難しいのが現状である。実習生の対象学年や期間等については,次のとおりである。
区   分 対 象 学 年 人数 実 習 期 間
ふれあい実習 学部生 1年次 177 9月4日(火)~7日(金)
実地教育 観察実習 (障害児教育専修) 学部生 4年次 5 10月22日(月)~26日(金)
実地教育 障害児教育実習 免許取得希望者 39 11月5日(月)~11月17日(土)
10月22日(月)~11月2日(金)
実地教育 障害児教育専修 学部生 4年次 5 10月29日(月)~11月9日(金)
介護等体験 運動会 学部生 2年次 43 5月20日(日)
介護等体験 学校展 学部生 2年次 46 11月18日(日)
介護等体験 平常日課 学部生 2年次 24 9月12日(水)
介護等体験 青年学級 大学院生   161 5/20 6/3 7/1 9/2 10/7
11/18 12/16 2/3

(4)特別支援教育におけるセンター的機能

実施の概要については,次のとおりである。
ア. 小中学校の教員を対象にした公開研修会:計5回の参加人数合計234名
イ. 教育相談:146件
  • 来訪による教育相談24件 ・訪問による教育相談23件
  • 効果的な学習を指導助言するための心理検査の実施14件
  • 徳島市保育巡回指導34件 ・研修支援(研修会講師等)33件
  • 知的障害者の施設(授産・更生)NP0法人(自閉症協会)等への参加協力9件
  • その他 メール・電話による教育相談3件

(5)教職員

  校長・副校長・教頭各1名と教諭26名・養護教諭1名・非常勤講師1名・栄養職員1名・事務職員1名・技能職員2名(自動車運転手1名・教務助手1名)事務補佐員1名の合計36名の構成である。
  小学部:3学級に各2名の担任を配し,学部主事と専科教諭1名を加え9名で運営した。
  中学部:3学級に担任と副担任を配し,学部主事と専科教諭2名を加え8名で運営した。
  高等部:3学級に担任と副担任を配し,学部主事と専科教諭2名を加え9名で運営した。
  なお,本年度は,看護休業・育児休業・鳴門教育大学長期研修生等の対応のため,期限付き教諭・非常勤講師で対応した。

(6)施設・設備

  夏の水泳指導で欠かせない,プールの日差し避けの取り付け工事がなされ,児童生徒の学習環境が向上した。校舎は,建設後37年が経過しており,老朽化が進んでいる。部分的な補修を繰り返し行い,維持管理に努めている。

(7)安全管理の状況

  交通安全指導や日常の事故等への安全指導は,学部・学級において適宜指導した。全校的には,次のように計画的に取り組んだ。
対象 種      別 実施月 備考(実施回数)
児童
生徒
職員
不審者侵入を想定した訓練 7・2月 (2回)
スクールバス乗降避難訓練 4・9月 (2回)
地震時の避難訓練 6月 (1回)
火災時の避難訓練 5・11月 (2回)
交通安全教室 10月 (1回)
職員 火災報知器・スクールバス非常口取り扱い研修 4月 (1回)
救急法講習会・AED取り扱い講習会・放水訓練 8月 (1回)
救助袋取り扱い研修 9月 (1回)
最終更新日:2010年02月17日

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