教員教育国際協力センター

記載責任者 教員教育国際協力センター所長(命) 服部勝憲
<自然・生活系教育部 教授>

(1)教員名簿

センター所長(命) 服部勝憲 (任期:平成20年4月1日~平成22年3月31日)
氏名 職名 専門分野 氏名 職名 専門分野
<理数科教員養成研究分野>
服部勝憲
教授 数学教育学 <派遣人材養成・事業評価研究分野>
小澤大成
准教授 理科教育学,地質学
<IT教育人材養成研究分野>
松嵜昭雄
(平成20年10月1日採用)
講師 情報教育,数学教育 <IT教育人材養成研究分野>
青山和裕
(平成20年9月30日退職)
講師 情報教育

*教員氏名は、当該教員の自己点検・評価報告書へリンクしています。

 

(2)センターの活動状況,今後の課題等

1 教員教育国際協力センター(以下「本センター」)の組織と運営

  平成17年4月に新設された本センターの設置目的は, 開発途上国の教育課程に対応した国際教育協力の計画・実施・評価に係る研究・開発を進めるとともに, 本学の国際教育協力経験を社会に還元し,国際的視野を持った人材育成に貢献することである。
  このような目的を実現するために, 本センターは, 「理数科教員養成研究」,「IT教育人材養成研究」及び「派遣人材養成・事業評価研究」の3つの研究分野を組織し,教育協力を行ってきた。こうして培った教育協力経験のさらなる発展並びに大学院国際教育協力コースの開設を受け,平成20年4月に改組を行い,「理数科教育協力研究」,「ICT教育協力研究」,「シニア教育人材養成研究」及び「国際教育開発研究」の4分野で事業展開することとした。

2 平成20年度の事業展開

平成20年度には, 次のような事業・教育研究活動を展開してきた。

 

  1. 南太平洋大学におけるICTネットワーク基盤整備に関する研究会の開催
      大洋州地域(南太平洋大学のUSPnet)コンテンツの開発への支援の可能性について,岡山理科大学情報処理センター所有「サイバーキャンパス基盤ネットワークシステム」の視察,同様の有識者を集めて現地にて研究会を開催し,意見を聴取した。
  2. 国際教育オープンフォーラム「インターナショナルフェスタ徳島2008」の実施
      (独)国際協力機構四国支部,NPO法人TICOのほか,徳島県,鳴門市及び北島町の国際交流協会の共催並びに徳島県内の国際交流団体の協力を得て,平成20年12月に徳島市の徳島県郷土文化会館において開催した。本フォーラムには,現職教員,学生,国際協力関係者及び地域市民100名余の参加者があり,国際教育協力に対する理解を深め,国際教育協力事業の意義と内容についてより広く共有する場を提供した。
  3. ウガンダワークショップ及びシニアボランティア専門家会議の開催
      ウガンダにおいて,学校での授業研究支援の方法についてワークショップで検討を行ったほか,専門家会議では,ウガンダ,エチオピアの初等学校管理職及び教員,教員養成大学教員,JOCV(青年海外協力隊員)を集めて,シニアボランティアの活動対象である授業研究の組織的な実施に関する成果と課題について議論した。
  4. 事業外部評価会議の開催
      平成17~19年度及び平成20年度の事業展開に関して,今後の事業計画とその実施 の改善・向上を図ることを目的として,学外の有識者(筑波大学教育開発国際協力研究 センター長,広島大学教育開発国際協力研究センター長,(独)国際協力機構(JICA) 四国支部長及び徳島県立総合教育センター所長)を招へいし,評価及び意見聴取を行った。

3 海外調査と専門家としての活動

本センター教員の海外調査や専門家としての活動の主なものは,次のとおりである。

 

  1. 南アフリカ共和国調査
      平成19年度の南アフリカ共和国ムプマランガ州の日本国内研修修了者に対し,研修 フォローアップ及び評価を行うとともに,シニア人材の活動モデルを考察した。
      ケープタウンで開催された日本南ア副学長会議にも出席し,本センターの取り組みについて報告した。
  2. パラオ国「初等中等算数・数学教育向上」フォローアップ協力
      パラオ国JICA駐在員事務所並びに教育省表敬訪問。日本研修成果の活用を目指したワークショップに参加した。
      また,JOCV(青年海外協力隊員), SV(シニアボランティア)との学習会でコメントを加えた。
  3. 南アフリカ共和国ムプマランガ州授業研究調査
      広島大学/鳴門教育大学で行う「南ア理数科教員養成者研修」の平成20年度研修候補者の教員が勤務する学校を訪問し,授業観察や聴き取り調査を行った。
  4. フィジー国実地調査
      平成18年度より始まった大洋州研修後のフォローアップの充実を図ること及びこれまでの研修の成果を今後の現地での事前研修に役立てるため,南太平洋大学(USP)の所有する衛星システムUSPnetを活用して教員教育研修を番組化した情報を提供することを提案した。
  5. 中東理数科研修フォローアップに関するチュニジア国調査
      昨年度及び本年度に受け入れた3名の研修員を対象にして長時間のインタビューを実施するとともに,JICAチュニジア事務所長,副所長及び同SVに面談し,情報交換,資料収集を行った。
  6. ガーナ・タンザニア調査
      大学院学校教育研究科・国際教育協力コースの秋季入学の可能性について調査を行ったほか平成19年度から取り組んでいる「国際協力イニシアティブ」教育協力拠点形成事業に係るハンズオン事業に関する協議を行った。

4 「JICA」プロジェクトに係る受託事業の実施

以下の7件の研修事業を受託した。

 

  1. 大洋州地域初等中等算数・数学科教育(平成20年6月~7月,研修員9名)
  2. 地域特設「中東地域小学校理数科教育改善」(平成20年10月~11月,研修員10名)
  3. 国別研修 南アフリカ共和国「理数科教員養成者研修」(平成20年11月~12月,研修員10名)
  4. 地域別研修「仏語圏アフリカINSET運営管理(校内研修導入・改善支援)」(平成21年1月~2月,研修員10名)
  5. 国別研修「アフガニスタン教授法改善」(平成21年1月~2月,研修員10名)
  6. 国別研修「教師教育強化プロジェクトフェーズ2 C/P研修」(平成21年1月~2月,研修員2名)
  7. 国別研修「住民参加型初等教育改善プロジェクト」【エチオピアを対象】(平成21年2月,研修員2名)

5 その他の受託事業

文部科学省から以下の2件を受託した。

 

  1. 「授業を中心とした校内研修の導入による初中等教育の質的向上」【継続事業(平成 18年度~),平成20年6月~平成21年3月】
  2. 「日本国内での実践知を反映したハンズオン素材の集約」【新規事業(平成19年度受託課題と関連),平成20年8月~平成21年3月】

6 事業のまとめと情報発信

  平成19年度までの3か年の焦点であったIT教育人材養成事業を一区切りとし,平成20年4月,従来の3分野を4分野に改組して,新たにシニア教育人材養成教育及び国際教育カリキュラムの開発に着手した。各分野の取り組みは以下のとおりである。

 

  1. 従来の理数科教育,IT(ICT)教育においては,これまで培ってきた成果を継続・発展させ組織化・効率化を図った。
  2. シニア教育人材養成においては, 国内外から要請の多いシニア人材養成を目指す大学院の「国際教育協力コース」と連携して, 国内外の教育協力に活躍できるシニア人材の養成,派遣及び関係機関, 諸国, 地域との連携強化を目的とした動きを展開し,国内外のJICA機関,海外教育機関を訪問し,調査や資料収集を行った。
  3. 国際教育カリキュラム開発においては, これまでの本学の学部, 大学院カリキュラムと国際教育協力との関係を洗い直して, より優れた総合的人間力,かつ国際感覚を有する教員を養成する国際教育カリキュラムを開発・実践し,他の教員養成系大学教育・国際教育等の展開に向け提言をするためのプログラム作りに着手し,検討を行った。
      なお,平成20年度を含めた過去4年間の取り組みについて,外部有識者を招き,評価及び意見をいただくことで,今後の事業展開への見直しや改善につなげている。
      また,発刊が取りまとめの都合から平成21年度となった本センターの研究紀要である「国際教育協力研究」第4号,そして受託研究の成果として,「School Improvement by Implementation of "Lesson Study" -A Guidebook for School Leaders- 」,「開発途上国で手に入る素材を活かすハンズオン教材の作り方」を発刊したほかセンターのホームページ をさらに充実し,これまでの成果をオンラインで提供できるよう集約している。

7 事業展開と活動の評価

  学長の定める重点目標に関しては, 本センターの設置目的から, 途上国からの学生増加,研修員の受入れを積極的に展開した。教員採用率の向上に関しては, 国際教育オープンフォーラム等を展開し, 国際的視野に立った教員養成に貢献したほか,本センター教員,専門家派遣教員, 青年海外協力隊隊員の諸外国での活動経験を写真, 国際教育協力情報誌等で紹介し, 教員養成と教員研修の充実に資するようにした。さらに, 上記のような様々な事業展開においては 文部科学省, JICA, 県市町村教育委員会, 国際交流協会, 附属学校(園)を含む国公立学校(園)等との連携・協力を密にして活動を展開しており, それぞれの事業の目的達成とともに, 多様な国際化(経験の共有, 国際理解, 国際交流等々)のために貢献している。このことは, 本学の教育・研究の幅を広げるとともに教員教育の国際化に向けて積極的に貢献しており, 大学の社会貢献に重要な役割を果たしているといえる。

8 新教育・研究組織及び教員組織の運営状況について

  1. 組織が新しくなり,教育部会議での協議に基づくコース会議やセンター打合せが重要であるが,共通の開催時間・場所の設営が難しいことがある。
  2. 国際教育協力コース国際教育協力専門家養成分野では,平成20年度までの院生募集条件(教職15年以上の経験)を緩和したことにより,志望者が増える可能性がある。
  3. 平成20年度の国際教育協力コースの授業「国際教育協力演習II(現地演習)」では,パラオ国における図画工作・美術教育の実践(2週間)に取り組み,子どもたち,保護者,教師はもとより,現地教育省担当者からも大きな評価を得た。またこれに取り組んだ院生は国際教育協力についての自信と見通しを得ることができた。
  4. 教員教育国際協力センターから強く要請してきた開発途上国からの外国人留学生を国際教育協力コースに受け入れるJICAプロジェクトが平成20年度に採択され,21年度入試から各年度5名(3年間)の受入が始まる。
  5. 国際教育協力コース新設に伴う授業科目であるが,領域等内容科目として12科目,領域等方法科目として6科目が開設されており,それをコース教員3名,言語系(英語)教育コース教員2名,現代教育課題総合コース教員1名,嘱託講師2名で担当している。特に教員教育国際協力センター教員にとっては,センターの事業展開のための業務と重なりかなりの過重負担を生じている。
  6. 上記とも重なるが,教員教育国際協力センターの事業(例えば,開発途上国からの研修員受入,国際教育協力シンポジウム・フォーラム等)についての企画担当は明確にしているが,それについての協議,関係諸機関との連携・協力,諸準備,運営,評価等々については,センター教職員全員が一体となって取り組み,成果をあげてきたと確信している。
最終更新日:2010年02月17日

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