4.附属学校部 附属幼稚園

<附属幼稚園>

(1)教育課程の編成・実施

  本園の教育課程は,子どもたちの遊びを中心とした生活を総合的に組織し,一人ひとりの子どもの発達に合わせて考えている。
ア  教育方針
  学校教育法および国立大学法人法にもとづいた幼稚園教育の実現及び附属幼稚園としての使命を達成すること。
イ  教育目標
(ア)自主・自立・創造・感謝の精神の芽生えを培うこと。
(イ)健康でたくましい心身をはぐくむこと。
(ウ)それぞれのよさや違いを認め合う感性を養うこと。
(エ)身近な環境に対する興味や,大切にしようとする心情を養うこと。
(オ)喜んで話したり,聞いたりする態度や言葉に対する感覚を養うこと。
(カ)創作的表現に対する興味を育てること。
ウ  保育の基本姿勢
  人の生涯の基盤となりうる「人間性」を養う保育を目指している。
(ア)真に子どもたちのための保育を創造すること。
(イ)豊かな環境作りを重要な任務とすること。
(ウ)子どもらしく遊ぶ生活を保障すること。
(エ)子どもたちの可能性を信じて,一人一人に合わせた指導をすること。
(オ)子どもと共に子どもの自治による園生活を営むこと。
エ  めざす子ども像
(ア)たくましい子ども
(イ)しなやかな子ども
(ウ)育ちあう子ども

(2)教育研究

ア 幼児教育研究会
主題 保育の質を問う -遊誘財について考えるⅢ-
期日 平成19年2月9日(金) ※附属小学校と同日開催
内容 保育/授業公開
全体会
挨拶  (田中弘之園長)
研究発表 「遊誘財研究が高める保育の質」 (佐々木晃研究主任)
「遊誘財研究からもたらされる学びを深める保育者のかかわり」(田村隆宏助教授)
ビデオフォーラム 「遊誘財としての砂・土・水」
佐々木宏子名誉教授・森田範子附属小教諭・木下光二教頭・近藤慶子副園長)
特別講演 「育てる楽しみ」(金沢星陵大学 山下智茂特任教授)
イ 大学教員並びに大学院生と連携した研究活動
  本学幼年発達支援講座教員をはじめ各講座からの合同研究会への参加も定着してきた。保育のVTR記録やカンファレンスを中心として「遊誘財研究」に取り組んできた。佐々木晃研究主任・木下光二教頭が平成18年度全附連幼稚園教育研究集会(神戸大会)にて本研究成果を発表した。
  また,大学院の実践研究「幼小連携教育」,「保育の質」のチームとは,研究保育をはじめとした様々な試行や調査,カンファレンスを協力して行い,重要な成果が得られた。大学教員との自主的研究も数例行った。成果の一部は全国幼児教育研究協会幼稚園経営研修会(鎌倉大会)にて,木下教頭が発表した。
  幼年発達支援講座と共同で,「自然環境を利用した教員養成カリキュラムの開発に向けての基礎的研究プロジェクト」に,保護者の協力も得て取り組んだ。主に4・5歳児が,大学構内の豊かな自然環境の中で多くの直接体験ができ,研究成果が上がった。
ウ 各種研修会・講座等への参加・協力
  幼稚園長等運営管理協議会・保育技術協議会・教育課程研究協議会・中堅教諭研修・新規採用教員研修などの文部科学省及び県教委主催の各種研修会・講座等において,講師,指導助言者,保育公開,実技指導等にあたった。
  その他,近藤副園長は,香川県幼稚園教育研修会をはじめ県内各研究協議会で講演を行った。木下教頭は,「幼稚園と小学校の連携」をテーマにして滋賀県幼小連携推進協議会や高知県保・幼・小連携教育講座などで講演を行った。佐々木研究主任は,幼稚園教育要領改善の協力者として文科省の会議に出席したり,県内外の研修講座で「幼稚園の環境と保育の質」について講演を行ったりした。木下教頭は日本教育大学協会四国地区研究集会(鳴門大会)にて「幼稚園教員の力量形成のためのデジタルコンテンツ」の研究発表を行った。
エ 刊行物・資料提供等
○「鳴門教育大学附属幼稚園 研究紀要第40集」2007年2月
○「学びと発達の連続性」2006年5月 社団法人全国幼児教育研究協会
オ 学部授業の担当
  本年度も昨年度に引き続き,附属幼稚園教員が,学部の授業「保育内容 言葉」を担当した。
カ 研究成果等の公表・情報発信・地域貢献等
  インターネットホームページで,研究事例や研究紀要の要約を掲載して研究成果を公開した。
  「附属幼稚園教育講演会」を開催したり,教育相談活動や入園希望者への保育・施設公開をするなど,地域の子育て家庭や教育関係者への子育て支援活動を積極的に行った。
  全国幼児教育研究協会徳島支部の事務局として,学習会や研修講座の開催や研究報告書発刊等の中心的な役割を担った。
  県内はもとより,東京都・愛知県・滋賀県・大阪府・兵庫県・香川県・高知県・愛媛県等,全国各地からの視察参観希望があり,合計150名を受け入れるなど,開かれた幼稚園として,地域の住民や全国の教育関係者に情報発信や相談・研修・教育の場を提供した。
キ その他
  佐々木晃研究主任が「子どもの履修能力を高める幼小連携教育課程の開発」について科学研究費補助金の交付を受け,教職員・保護者が研究協力をした。

(3)実地教育

ア 実施状況

(ア)実地教育I ふれあい観察 1年生 6名 9月11日
(イ)実地教育III 附属園実習直前指導 2年生 5名 9月20日~9月21日
(ウ)実地教育V 附属校園実習 3年生 5名 9月4日~9月29日
(エ)実地教育VII 協力校実習 4年生 3名 9月4日~9月15日
  実地教育Vは,幼稚園における幼児との直接的なかかわりの過程を通して,指導教員のもと,教職の体験をつみ,教員となるための実践上の基礎的な能力や態度を養うことを目的として実施した。教育専門職にふさわしい実践的能力や研究態度を身に付け,子どもと共に生 きるという基本事項についての気付きや課題の明瞭化が図られた実習であった。

(4)教職員

ア 教職員組織
  現員は,総勢11名で,内訳は,園長・副園長・部内教頭・教諭4名・養護教諭・非常勤講師2名,事務職員である。
  徳島市教育委員会とは,これまで協定書に基づき人事交流を円滑に実施してきたが,市教委からの申し出により,平成17年度末の定期異動以降は,休止することになった。
  学内の附属間で,附属小学校教頭が附属幼稚園の部内教頭(教諭)として転入したのは,画期的な人事交流であったが,管理職からの降任人事となり,手当もなくなるなど,課題が残った。
  組織の活性化や教育の質の確保のためには,人事交流は不可欠であるため,徳島市教委へ人事交流の早期再開はもちろん,他の市教委にも幼稚園教員の人事交流を根気強く積極的に働きかけて行きたい。 平成16年度末に教務助手の定年退職に伴う後任補充はなく,平成17年度は定員削減となったが,学長裁量経費で週30時間勤務の非常勤講師が1名増員され3名となっていた。平成18年度は,非常勤講師は2名となった。
  人件費削減の重要性は共通理解しているが,多大な仕事量を少人数で分担し協力して運営している幼稚園での定員削減は,教育研究の質や環境整備・園児の安全確保等に支障をきたすおそれが大きい。今後,経費削減へのさらなる努力,園務分掌の見直しによる仕事のスリム化・省力化等が重要な課題となる。
イ その他
  今年度も,大学の協力を得てスクールカウンセラーが配置され,保護者のメンタルヘルス支援体制が軌道にのってきた。

(5)施設設備

ア 教育研究設備の充実
  巧技台やソフト跳び箱,エバーマット等の運動遊具を整備した。幼児の運動機能の開発や安全管理に大きな成果が上がっている。
  各保育室に材料棚・カラーテーブルを購入し配置した。造形・表現活動等に必要な素材や用具等が分類整理して収納できるため,幼児が主体的に選択したり,それぞれの発達に合った活動意欲を高め,友達との共同活動や表現力の向上を促したり,基本的生活習慣形成等に効果が上がっている。
  園長室のテレビを更新し,モニター用テレビを壁面に設置し,防犯用カメラを常時モニターしたり,大学とのテレビ会議やパソコンのプレゼンに活用するなど,園児の安全確認・保育活動の観察や記録・研究等が効率よくできるようになった。
  狭隘・老朽化していた園庭倉庫を拡張して外壁をリニューアルした。大型運動遊具の収納が安全に容易に取り出しやすくなり,教材・用具等の保管・整理等に役立っている。
  遊戯室のエアコンの設備更新をした。

(6)その他

ア 学校安全対策
  「安全指導計画」の見直し・更新をすると共に,より具体的な危機管理マニュアルを作成した。
  警備専門家による安全防犯講習会や救急救命法講習会等を開催し,教職員や保護者の安全管理意識や実践力の向上を図った。
  保護者の協力を得て,自宅周辺や通園路の危険箇所等の点検等,通園時の安全対策を実施した。自転車・自家用車に「防犯パトロール」ステッカーを装着し,地域の子どもの安全確保に意識を向けた活動となった。
イ 大学の支援を得た教育活動の充実
  美術教育講座との連携で,5歳児が県立近代美術館を見学をし,幼児の鑑賞教育を実践した。
  保健体育講座との連携で「冒険ランド」や「なるとピクニック」を実施し,ネイチャーゲーム・5歳児の親子カヌー・内の海クルージングなど,鳴門教育大学ならではのマリンスポーツや自然体験ができた。
  大学構内への園外保育では,理科教育講座の協力によるサツマイモ栽培や,幼年発達支援講座の協力による大学多目的広場における自然体験活動,大学附属図書館児童図書室での読書体験活動などができた。大学の施設設備を有効活用したり,大学の多方面から温かい支援を得て,園行事や保護者研修がとても充実し,本園の教育活動が充実した。
最終更新日:2010年02月17日

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