自己点検・評価報告書 (自然系(理科)教育講座) 粟田高明
報告者 粟田高明
1.学長の定める重点目標
1-1.大学の活性化を目指す教育活動
(1)目標・計画
主に授業補助を行っている「物理学実験I」では, 高等学校で「物理」を受講していない学生にも分かりやすい説明を日頃から心がけており, 平成18年度も一層努力したい。特に科学的なものの考え方が出来にくい学生やレポートの記述が的をいない学生が最近増えてきているため, 実験前のオリエンテーションでは実験の背景や目的をしっかりと説明していきたい。レポート等の成績評価に関しては, 従来どおりの評価方法(テキストに沿った書き方か文章に論理性があるかなど)を踏襲する予定である。
(2)点検・評価
本年度の「物理学実験I」では, 単位や有効数字, 実験値の不確かさ(誤差), 実験における注意点をできるだけ分かりやすく説明するとともに, 実験のこつを学生自ら気づくことのできる工夫を考え, それを実践した。またレポートの書き方については, 他人に分かりやすく且つ論理的な文章を心がけること, テキストのまる写しでなく, 自分の言葉で適切に表現することを, レポート提出後の添削, 返却時に厳しく指導した。以上のことから, レポートの平均評点が前年度の75点から78点に上昇した。「物理学実験I」の学習成果を, 教員採用試験の論述試験受験時に発揮してもらえることを願ってやまない。
1-2.学生支援、地域連携活動
(1)目標・計画
徳島県現職教員と連携し, 授業実践等に必要な理科(特に物理分野)教材の開発を目指す。
(2)点検・評価
できるだけ身近にあり且つ安価な材料を用いた, 児童・生徒により分かりやすい形の物理教材の開発を目指し, 徳島県中学校現職教員とそれぞれアイデアを出し合い, 以下の教材を試作した。(単極モータの製作, 簡易モータの製作, 慣性の観察, 静電モータの開発, 光音フラワーの製作, LEDおよびレーザ通信装置の開発等。)これらの教材は, ラオスからの研修生に披露するとともに, 一緒に製作し, 研修後のレポートにその一部が使われた。以後のラオスの教員研修ワークショップに利用される予定である。
2.分野別
2-1.教育・学生生活支援
(1)目標・計画
授業補助を行う予定である「物理学実験I」および「物理学実験II」では, オリエンテーションや実験等を通じて, 実験データの処理の仕方や関数電卓の使い方, レポートのまとめ方などについて懇切丁寧に指導したい。
(2)点検・評価
物理学実験Iおよび物理学実験IIでは, 実験開始のオリエンテーション時および実験中は適宜, 実験で得られた数値の取り扱い(有効数字や不確かさ(誤差))をきめ細かく指導した。加えて計算機やパーソナルコンピュータ(特にマイクロソフト製エクセル)を用いて, 実験で得られた数値を計算する際の注意点を特に強調した。以上の成果として, 実験値を正確に扱う学生が前年度に比べて格段に増えた。加えてレポートの平均評点が前年度の75点から78点に上昇した。
2-2.研究
(1)目標・計画
従来から行っている「高融点化合物」の照射場による照射誘起欠陥と導入欠陥」について, 京都大学原子炉実験所の平成18年度共同利用研究公募に応募し, 所内の研究員と共に共同研究を進めるとともに, 得られた結果等を関連する学会およびワークショップ等で発表する。
(2)点検・評価
本年度は, 「高融点化合物」の照射場による照射誘起欠陥と導入欠陥」という研究題目で, 京都大学原子炉実験所の共同利用研究公募に応募し, 研究課題がプロジェクト研究として採択された。現在, 重点的な研究題目として, 重照射酸化アルミニウムの金属析出の可能性」「着色方解石中の不純物と熱発光の関連性の検討」を中心に京都大学原子炉実験所の教員と共同実験を推進しており, 得られた成果を, 京都大学原子炉実験所のアンニュアルレポート(平成18年5月), および京都大学原子炉実験所学術講演会(プロジェクト研究の一部)(平成19年1月)として公表した。
2-3.大学運営
(1)目標・計画
各種試験監督の依頼については, 可能な限り承諾し, 大学運営に貢献する。
(2)点検・評価
本年度は, 大学院入試試験直前点検, 大学入試センター試験監督(第1日目, リスニング試験を含む), 学部入試面接試験委員の依頼があり, それぞれ誠実に入試業務をこなした。
2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等
(1)目標・計画
前年度に引き続き, 国際協力機構の国内研修について, 貢献する。
(2)点検・評価
平成18年度「ラオス初等中等理数科教育」国内研修(18.10.23~18.12.15)の物理分野担当の指導教員として, ラオス人研修員の理数科教育に関する資質能力向上を目指した研修に携わった。研修を行うに当たり, 物理分野の研修生に対する, 研修計画の作成, カリキュラム(講義, 実験, 実習)の作成, 受け入れ, カリキュラムの実施, 研修生が行う成果発表, 研修報告書の指導を行った。
研修生の頑張りもあり, 予定どおり研修を無事終了し, 立派な研修報告書を作成することができた。これらの成果は後日予定されている現地でのワークショップや研究会等で活かされる。
研修生の頑張りもあり, 予定どおり研修を無事終了し, 立派な研修報告書を作成することができた。これらの成果は後日予定されている現地でのワークショップや研究会等で活かされる。
3.本学への総合的貢献(特記事項)
本年度は以下の二点について貢献できたと考えている。
- 物理学実験を通じて, 学生に科学的なものの考え方, 数値や単位の正確な取り扱い方, 論理的な文章の書き方などが, 効果的に伝わったのではないかと考える。これはレポートの評点の結果から明らかである。
- 初等中等ラオス理数科教育研修において, 短期間であったが, ラオス人研修員に対して, 日本の理科教育方法や実験教材を伝えることで, 彼ら自ら簡易で安価な教材を作成し, 模擬授業を組み立てることができた。
最終更新日:2010年02月17日