自己点検・評価報告書 (総合学習開発講座) 村川雅弘

報告者 村川雅弘

1.学長の定める重点目標

1-1.大学の活性化を目指す教育活動

(1)目標・計画

  担当である「生活科教育論」「総合学習論」「教育課程論」はいずれも学生には馴染みの薄い教育内容であり,将来教師として学年または学校で主体的・協同的に作り出す部分が多いものである。カリキュラム開発や授業づくりの実践力を育成するために,研究過程において得た優れた事例を題材にし,具体的な手だてを示すとともに学生自身に考えさせたり協議させる活動を数多く組み入れる。また,適宜ワークシートを作成し,自己の考えをしっかりと文章化させる活動も重視する。学部3年の「総合演習」では,チームによる協同的創造的活動を組み入れ,総合的な学習の実践における教師の役割を体験を通して理解させる。評価についてはレポートだけにとどまらず,適宜定着を図るためのミニテストを入れたり,また協同的な作業場面における取り組み状況を加味する。

(2)点検・評価

  「生活科教育論」「総合学習論」「教育課程論」はいずれも160~170名の受講生であった。
  1. できる限り視聴覚資料等を駆使し具体的事例を紹介するように工夫した。
  2. 多人数による受動的な授業に陥らないようにするために,毎回のようにワークシートを準備し,紹介した具体的な実践事例や論文等について自分の意見を書いたり,ポイントを整理させることで「自分の頭で考えること,自分の言葉でまとめること」を重視した。
  3. 人数の多さのために個々に発言を求めることにとどまり,グループワークを組み入れることができなかった。また,ミニテストも十分に実施できなかった。
  4. 「総合演習」に関しては十数名であったために,合宿型の体験活動,協同的・創造的なグループワークを豊富に組み入れることができた。

1-2.学生支援、地域連携活動

(1)目標・計画

  平成17年度の「総合演習」をきっかけにサークルが誕生し,その顧問となった。学生の総合表現力を育むためのサークルである。将来教壇に立つ学生にとって,協同的・創造的に活動する体験,自らを表現する活動体験は重要である。学生の今後の学びを彼ら自身や学内だけにとどめるだけでなく,他の学生や近隣の地域の子どもたちに総合表現の場を提供し,学生が支援することで子どもたちの協同性や表現力育成に貢献するとともに,学生の子ども理解や支援の力を伸ばしていきたい。

(2)点検・評価

  1. 平成17年度の「総合演習」がきっかけに生まれ顧問となったサークル「劇団どや!!」は他のクラブとの掛け持ちの学生が多く,主メンバーが採用試験や卒業論文作成のために継続的な活動は殆ど行えなかった。しかし,年度末の1か月ほどで集中的に台本製作や練習を行い,3月21日に講堂において初公演を行った。出演者及び参加者はそれほど多くはなかったが,出演者の達成感と参加者の感動が極めて高いものとなった。年間通しての継続的な活動のスタイルではなく,個々が他のグラブ等で異なる体験を積み重ね,それを繋げ活かし合う形の集中型の取り組みの方向性が見えた。
  2. 近隣地域の子どもたちの表現力育成のための場は実現できなかった。

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

  文部科学省研究開発学校制度創設(昭和51年度)以降の各校の報告の大半を所蔵している。現在は講座に資料室がないために,院生室の一部(間借り),教官研究室および自宅に分散している状態である。18年度は転出教員の研究室を講座資料室に転用するなどの方策を講じ,集中管理を行い,学内の教官および院生に開放していくための準備を進めたい。これまでに指導した院生・学生は100名近くになった。これまで十数年にわたって春夏と年2回程度,「鳴門セミナー」を実施し,修了生等の研究・実践交流の場としてきたが日常的な支援が不十分であった。18年度は通信ネットワークを活用した支援を開始し,修了生へのアフターサービスを充実させるとともに,彼らの仲間や後輩との新しい繋がりを得ることで大学院の学生定員の充足にも貢献したい。

(2)点検・評価

  1. 18年度に転出した教員の研究室を借用し,文部科学省研究開発学校の研究成果物を多くを集中管理することができた。
  2. 臨時的に借りている部屋であるために,その管理の問題から院生等に自由に公開・閲覧できるシステムにすることはできなかった。
  3. 卒業生・修了生を対象とした「鳴門セミナー」は8月に徳島と東京で実施することができた。いずれも50名程度の参加者を集めることができた。
  4. 平成19年1月に本学において日本教育工学会冬合宿を実施し,そこでも多くの修了生が集まり研究協議を行うことができた。約50名程度の参加者を集めることができた。
  5. オンラインによる修了生へのアフターサービスとしてはネットワークを介した情報交換・交流の場を試行的に準備し活動し始めることができた。

2-2.研究

(1)目標・計画

  専門である生活科や総合的な学習,カリキュラム開発は常に流動的に動いており,教育行政や学校現場との連携が重要である。そのために,教育委員会や学校現場との共同研究を重視していきたい。特に,三重県教育委員会との共同プロジェクトおよび科学研究費プロジェクトは最終年度であるために研究成果の構築に向けて,プロジェクトリーダーとしてチームを統括していきたい。これらの研究成果は研究報告書にとどまらず,編著書や論文,学会発表等で公開していく。

(2)点検・評価

  1. 三重県教育委員会との共同プロジェクトの中で学校のカリキュラム開発や授業改善のためのワークショップ型研修を多数開発・実施した。その成果はA4判約450ページの報告書として提出した。その成果の一部を日本カリキュラム学会において発表した。
  2. 科学研究費プロジェクトも最終年度として報告書(A4判180ページ)にまとめた。また,その成果を日本教育工学会において発表するだけでなく,広島県や岡山県,三重県等での「総合的な学習の時間コーディネーター養成講座」においても活用した。
  3. これらの研究成果の発信として,編著『ワークショップ型研修の手引き』(ジャストシステム社)及び『総合的な学習充実化戦略のすべて』(日本文教出版)にまとめた。

2-3.大学運営

(1)目標・計画

  現時点では大学院教務委員会委員を継続的に行う。それ以外に委員会等,大学運営にかかわる依頼があるときにはできるかぎり引き受けて貢献したい。

(2)点検・評価

  1. 本来の大学院教務委員会委員以外に,17年度の同委員会副委員長職の継続として「大学院長期履修学生」の世話役を務めた。
  2. 戦略的教育研究開発室のメンバーとして特に「特色GP」の採択に大きく関与し,採択後においてもその開発及び定着,広報のために奔走している。札幌,福岡,徳島でのフォーラムでその計画や進捗状況について発表を行った。
  3. 遠隔教育準備室のメンバーとしてその具現化のために寄与した。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

  附属学校からの指導・支援の依頼はできる限り引き受けたい。文部科学省(研究開発学校企画評価委員や中央教育審議会専門部会委員など)および教育関連の各種財団の委員,独立行政法人教員研修センターや教育委員会,学校からの指導等の依頼は本務に支障のない範囲で引き受け,社会貢献を果たすとともに,可能な限り本学の大学院学生充足や教育活動等に反映していきたい。また,日本教育工学会の企画委員会委員長を任命されているので,各種企画を成功させ学会活動活性化に寄与したい。

(2)点検・評価

  1. 附属学校園からの要請はなかった。(附属学校)
  2. 香川大学附属坂出小学校や京都市立御所南小学校,観音寺市立観音寺南小学校,長崎市立稲佐小学校,鳴門市立林崎小学校,文部科学省研究開発学校の上越市立高志小学校,同市立大手町小学校等の指導・支援を行った。(社会との連携)
  3. 学外委員としては文部科学省の研究開発学校企画評価委員及び中央教育審議会専門部会委員を務めた。(社会との連携)
  4. 独立行政法人教員研修センター主催の中央研修の講師を4回務め,その都度本学大学院の広報を行った。それ以外に,各都道府県の講師を務めた際には広報を行った。(社会との連携と本学の広報)
  5. 日本教育工学会の企画委員長として,1年間に5つの大きな企画を成功させ,その一つとして19年1月に冬合宿を本学で実施し,全国から研究者や現職教師約50名の参加があった。(学会活動)

3.本学への総合的貢献(特記事項)

  目標時には設定していなかったが,「特色GP」の採択と実施に寄与した。
最終更新日:2010年02月17日

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