自己点検・評価報告書 (総合学習開発講座) 小西正雄
報告者 小西正雄
1.学長の定める重点目標
1-1.大学の活性化を目指す教育活動
(1)目標・計画
- 新たに大学院授業として「現代の諸課題と学校教育」を立ち上げる。これまで散発的に行ってきた環境教育や国際教育,いのちの教育,アイデンティティの学習などを一つの流れのもとに集約しようとする野心的な試みである。シラバスは一応完成しているが,実際の展開には相当な工夫が必要だと思われる。大学院の授業としては恐らく全国の教員養成系大学院のそれの中でも異彩を放つコンセプトをもつものとなることは明かであり,その内容構成の充実に全力を傾注したい。
- 評価については,単なる論述式や記憶再生型ではなく,より教育実践研究に有効なケースメソッド型(場面設定を行い,そのなかでの自分の立場や主張を根拠をもって述べさせる)のペーパーテストを試行する。
(2)点検・評価
- 新たに立ち上げた「現代の諸課題と学校教育」は,非常な好評を得た。開講直後から評判を伝え聞いて受講生が増加するという近年にないありがたい状況であった。授業の方は,初年度ということもあり若干の迷走の結果シラバスを途中で2回も修正する羽目になったが,その背景等も受講生に丁寧に説明した結果,受講生にも「ともに講義を創る」という意識が芽生え,まさに学びあいの15コマとなった。新設授業ならではの展開であった。それゆえか,期末のレポートは力作揃いであったし,また最終回の主張発表会には,立候補した3名が意見を述べ,それをもとに受講生の質疑応答が交わされたが,白熱した議論で予定を大幅に超過してしまった。なおこの新設授業のあれこれについては,折にふれて小ホームページの「研究室日誌」で全国の先生方に公開した。
- 最終回での主張発表と質疑応答は,上述したように大幅に時間を超過してしまった。この点については反省しており,19年度については,その機会を2倍に増やして対応することにした。
1-2.学生支援、地域連携活動
(1)目標・計画
18年度はゼミにストレートマスターが入ってくる予定であるので,本人の進路希望を聞き,それに応じた適切な進路指導を行いたい。
(2)点検・評価
4人のゼミ生各自について,研究室PCのハードディスク内に「カルテ」を設置し,面談の結果等を記録した。幸いにもゼミ生は順調に学生生活をこなしており,「カルテ」をとくに多用するような事態はなかった。
2.分野別
2-1.教育・学生生活支援
(1)目標・計画
講座として導入予定の授業研究会(前期・後期各1回)を引き受ける。現時点では新規開設授業である「現代の諸課題と学校教育」の授業を公開する予定である。
(2)点検・評価
前期については「文化間教育総論」のうちの,グローバリズムの問題点に関する授業(7月)を,後期については,「現代の諸課題と学校教育」のうちの,環境教育に関する授業(1月)を研究公開授業と位置づけて講座会議に提案し,講座教員の参観を得た。終了後はメールにて参観者からの意見,指導を受け,事後の授業づくりの参考とした。
2-2.研究
(1)目標・計画
文化の本質主義批判ないし通時的自己認識と共時的自己認識に関する発表を全国レベルの学会で行うとともに,その結果をふまえて全国学会誌に論文を投稿する。
(2)点検・評価
- 本質主義批判については,日本国際文化学会(7月,東北大学)において発表するとともに,その要旨をとりまとめた論文=「戦略的本質主義-人間学的考察」を,国際異文化学会機関誌『異文化研究』3に,査読審査を経て掲載した。
- 通時的自己認識・共時的自己認識については,教科教育批判の観点からその研究成果の一端を教育大学協会研究集会(10月,千葉大学)にて報告した。
2-3.大学運営
(1)目標・計画
学長補佐としての職務に全力を傾注し,これまでの未訪問地も加えてできるだけ多くの教育委員会を訪問し,委員会との密接な関係の構築に努め,大学院学生定員の確保に努める。
(2)点検・評価
- 5月に,福岡県,佐賀県,長崎県,熊本県,宮崎県,鹿児島県,沖縄県,三重県,岐阜県,愛知県,静岡県,神奈川県,東京都,千葉県,埼玉県,栃木県の各教育委員会を合計7泊の日程で訪問し,教職大学院の実現可否が不透明ななかでの現職教員派遣について,本学としての対応措置を説明し,教育行政現場の事情についても情報収集を行った。
- 業者主催の大学院説明会(7月,東京)ならびに秋の大学院説明会(11月,福岡会場)に出席し大学院PRに務めた。
- 10月~11月,1月に,都留文科大学,立教大学,帝京大学,麗澤大学,日本大学聖徳大学を訪問しキャリアセンター等でPRを行った。
2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等
(1)目標・計画
- これまでも附属小学校の研究を支援するスーパーバイザー的役割を果たしてきたが,18年度もこれを継続し,校内研究会での講演や研究発表会での指導助言に積極的にかかわっていく。
- 平成22年度版小学校社会科教科書の編集を開始する。
(2)点検・評価
- 研究発表会(2月)にむけて,研究発表の方向の検討,研究紀要の編集等,さまざまな面から附属の研究にかかわり,大宮副校長,横山研究主任と何度も会合を重ねた。その結果,研究発表会において総括講演を引き受けることになり,附属学校の先生方の協力も得て無事大任を果たすことができた。
- 教育基本法改正の遅れにともなって,学習指導要領の見直し作業も大幅に遅れ,次回教科書改訂は平成23年度にずれこむ見通しとなった。指導要領の方向性がいまだ不鮮明な状態にあるので,19年度は基礎的研究が中心となった。
3.本学への総合的貢献(特記事項)
所期の目標を達成することができたと確信する。
最終更新日:2010年02月17日