自己点検・評価報告書 (障害児教育講座) 八幡ゆかり
1.学長の定める重点目標
1-1.大学の活性化を目指す教育活動
(1)目標・計画
- 教職に就くことへの意欲に結びつけるために,今日の教育問題について話題を提供して望ましい教師像を喚起する。また,基礎学力をつけさせるために,制限時間内に授業内容,感想・意見をワークシートにまとめさせる。そして,応用力が身に付けさせるために,課題を提示して討議・発表させる。
- 学生自身が適正な自己評価ができるようにしたい。そのために,シラバスに次のように具体的に書き,授業第1週に説明する。ア.授業内容の把握,イ.自己の考えを深める,ウ.授業中の積極的な発言等。ア.とイ.に関しては,毎回,ワークシートにまとめさせ,評価結果(S~C)とコメントをつけて翌週に返却する。また,成績優秀な学生に授業中に発表させ,当該学生の意欲を高めるとともに,他の学生のやる気を喚起する。そして,学生による自己評価や他者評価を実施し,学生自らが客観的な評価ができるようにする。
(2)点検・評価
- 具体的な教師像や教育問題の話題を毎回提供したり,障害のある子どもの保護者に「期待する教師像」について話をしてもらった。また,現職教員から問題提起してもらい討議した。そして,毎回,ワークシートに授業内容と感想・意見を書かせて提出させた。その結果,ワークシートに多くの学生が目指す教師像を頻繁に書いたり,保護者との定期的な交流やボランティア希望者,障害児学校見学希望者が現れた。
- シラバス以外に授業の流れと評価の説明書を作成し,配布した。ワークシート返却時に毎回,評価をつけ,C評価の学生には具体的に指摘した。また,他学生の発表を聞いて自己との比較をさせた。こうして,評価を速やかにフィードバックーさせたことで自己評価を高めて授業への意欲を喚起させることができた。
1-2.学生支援、地域連携活動
(1)目標・計画
地域貢献に最も重点的に取り組みたい。具体的には,教育支援講師・アドバイザーとして障害児教育諸学校等への助言を行う。また,助言に出向くだけでなく,メールによる相談を受け付けたり,研究室に来てもらってアドバイスを行ったりする。
(2)点検・評価
主な地域貢献として,障害児教育諸学校への助言を行った。県下の障害児学校主催の「特別支援教育学会」の助言者として実践研究のアドバイスを行ったり,当日の助言者として学会に関与した。また,学校評議員として鴨島養護学校の学校経営上のアドバイスを行ったり,県総合教育センター特別支援教育課の依頼を受けて障害児就学指導研修会や認定講習会の講師を担当したり,研修担当者と現職教員の専門性向上について話し合いを重ね,平成19年度から共同で特別支援教育コーディネーターの専門性向上に取り組むことに合意を得た。そして,公開講座を開催し発達障害に関する具体的なアドバイスを行ったが受講希望者が多く,定員枠を広げて受け入れる等,好評であった。さらに,教育研究支援プロジェクト経費(代表)で特別支援教育に関するシンポジュウムムを徳島県と共催で開き,啓発活動に努めた。
2.分野別
2-1.教育・学生生活支援
(1)目標・計画
- 学生が主体的に授業に参加できるよう,グループによる話し合いや発表の場を設定する。また,発言を促すために,肯定的な対応を心がける。
- 学部1年生には教職への意欲を高めること,学部3年生には授業内容をまとめる力や自身の意見を述べる,といった系統性を持たせた授業を心がける。
- 担任として,また卒業論文や修士論文の指導教員として,学習面だけでなく学生の生活上の悩みなどについて対面指導やメール相談に応じて適切なアドバイスができるように心がける。
(2)点検・評価
- グループによる話し合いは,理解力が遅い学生にとって効果的であった。また,巡回中に発表グループを選び合意後に発表してもらったり,肯定的対応を心がけたことで活発に発言を展開することができた。
- 学部1年生には毎回,具体的な教師像を例を挙げて説明したことでワークシートに各々が目指す教師像を頻繁に書いたり,積極的な受講態度を維持できた。3年生にはワークシートに授業内容のまとめと意見を書かせた。制限時間を設け,提出させ毎回評価したことで,適度な緊張感をもたらし,教員採用試験向けの練習としても役立てることができた。また,毎回,前回の授業の復習を行ったことで理解力が遅い学生の学力を高めることができた。
- 卒業論文や修士論文を指導する上で個々の学生の性格を考慮してアドバイスしたり,生活上の悩みや教員採用試験の論作文の指導を行ったり,メールによる相談に応じる等,学生との信頼関係を築いた。
2-2.研究
(1)目標・計画
- 従来からの研究テーマである「障害児・者の公的処遇史」について引き続きまとめて公表する。
- 学校における実践上の課題について助言者として関わった結果をまとめ,学会誌に投稿する。
- 特別支援教育に関する研究課題を検討するために本学の教育支援プロジェクトに応募する。
- 学生の修士論文を指導して,雑誌に共同で投稿する。
(2)点検・評価
- 他の研究テーマを共同で本学研究紀要に今年度掲載予定である。歴史研究については,継続研究の段階である。
- 共同研究者として予定していた障害児学校教員の都合がつかなかったため,次年度に延期した。
- 本学の教育研究支援プロジェクトに代表者として「特別支援教育をめぐる連携支援体制に関する研究」のテーマで応募し採択された。
- 修了生である現職教員と共同で特殊教育学研究に「校内の連携・支援体制づくりを目指すコーディネーターの役割-個別の指導計画の作成と実践をとおして-」のテーマで応募して採択された(連合A論文)。
2-3.大学運営
(1)目標・計画
前年に引き続き,大学院教務委員会委員として本学の運営に貢献する。
(2)点検・評価
大学院教務委員として職務を果たした。特に,長期履修学生について検討していること(1年次に2年制への変更を2年次に延期す案件)を議題に挙げてもらい検討した。
障害児教育講座主任として,講座運営のまとめ役としての職務を果たした。具体的には特別支援教育免許状にともなう一連の作業や定員確保のための他大学訪問,附属養護学校との連携強化,大学院生の要望を受ける窓口,外部のボランティア依頼の窓口等,多方面にわたってとりまとめた。
2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等
(1)目標・計画
- 附属養護学校教員と教育・研究の協働体制を敷く。特別支援学校のセンター的機能について教育研究支援プロジェクトを立ち上げる。また,教育実習について連携指導を行う。(附属学校)
- 教育支援講師・アドバイザーとして積極的に障害児教育諸学校等に出向き,社会に貢献していきたい。(社会連携)
- 今年度も,中国の留学生の研究指導並びに生活上の悩み事などについてアドバイスする。(国際交流)
(2)点検・評価
- 附属養護学校との講座の窓口になり,連携強化に努めた。附属養護学校の研究主任や班別研究に積極的に関わり,助言したことを研究方針や研究内容・方法に反映させた。また,講座教員全員が附属養護学校の研究に関わる体制を確立した。
- 教育支援講師・アドバイザーとしての依頼ではなく,個人的に電話やメールによる相談が多く受けたが,その都度,アドバイスした。
- 中国の留学生1人の修士論文指導を丹念に行うとともに生活上のアドバイスや米山ローターりーの集会に一緒に参加した。また,学会参加や博士論文公聴会の参加を促し,勉学への意欲を高めさせた。
3.本学への総合的貢献(特記事項)
最も力を注いだのは以下の3点である。
- 大学の活性化を目指す教育活動として,授業計画を綿密に立て,学生の実態に応じることを心がけた。事前・事後の準備に時間をかけ,最新の資料配付,ビデオ視聴だけでなく,保護者に来学してもらい話をしてもらう等,彼らの興味・関心を喚起し授業への意欲を高める努力を行った。そして,毎回,授業評価をし(学部生は2科目100人余り),学生のやる気を引き出した。
- 地域連携活動のうち,特に力を注いだのは県や市教育委員会との連携強化である。そのために県との共催でシンポジュウムを開いたり(教育研究支援プロジェクト経費代表者),県総合教育センター特別支援教育課主催の講師を引き受け,受講者から高い評価を得,次年度も講師を頼まれた。また,徳島市教育委員会の学習支援ボランティア受け入れ等,個人として,また講座主任として積極的に対外的活動に努めた。
- 附属養護学校との連携については,本学赴任当初から今日まで積極的に研究授業や研究大会の助言者として関わってきたが,今年度は,特に時間を割いて取り組んだ。研究テーマとして,「特別支援学校の役割」を提案し,合意を得た後,教育研究支援プロジェクト代表者として予算を獲得した。そして,頻繁に研究会に参加したり,研究内容や方法について逐次アドバイスを行った、また,メールによる相談(研究方針やアンケート作成など)にも速やかに対応することを心がけた。そして,講座教員に呼びかけて全員が研究に携わる体制づくりを整えることに努力した。