自己点検・評価報告書 (教育臨床講座) 吉井健治
1.学長の定める重点目標
1-1.大学の活性化を目指す教育活動
(1)目標・計画
教育臨床コースの指導体制は充実してきているが、院生が依存的になってきている面が気になる。院生の自主性および切磋琢磨の関係性を育てていく方策を検討したい。
(2)点検・評価
学生同士の学びのネットワークを活用して、各自の研究・実践・学習を推進していくように、教員として支援した。
1-2.学生支援、地域連携活動
(1)目標・計画
- 教育臨床コース修了生の臨床心理士合格率を高めるには、在学中から受験勉強を始める必要がある。筆者のゼミでは、院生が勉強会を毎週1回2時間、自主的に行っている。これをコースの院生全体に拡大していきたい。
- 徳島県の新規スクールカウンセラーの採用枠は非常に狭くなったので、スクールカウンセラーを希望する院生の就職が県内では難しくなってきた。そこで、他県で、大学院修了直後のスクールカウンセラーを採用する可能性が高いところをあたって、就職を支援していきたい。
(2)点検・評価
- M1を対象に、臨床心理士試験予想問題を自作させ、早い段階からの心構えをもたせた。また、修了生の協力を得て、M1、M2を対象に、臨床心理士試験の勉強会を1回(3時間)開催した。この際に、修了生の受験体験記やアンケートなどをまとめた資料を配布した。
- スクールカウンセラーを希望する院生に対して就職の現状などについて説明を行った。また、他県の県教育委員会および県臨床心理士会に問い合わせやお願いをするとともに、院生の推薦書を書いたり、面接のアドバイスを行ったりした。
2.分野別
2-1.教育・学生生活支援
(1)目標・計画
教育臨床コースにおけるスクールカウンセラー養成のためのカリキュラムについて具体的に検討する。
(2)点検・評価
スクールカンセラー実習の計画・運営を行った。学校管理職およびスクールカウンセラーと連携して、実習希望の院生30人を10校に配置した。今後のカリキュラムへの位置づけのために、依頼文書、実習記録、授業内容などについて具体的に検討を行った。
2-2.研究
(1)目標・計画
- 「過敏型自己愛人格傾向の青年との面接」を学術雑誌に投稿する。
- 「分身自己対象に関する研究の展望」を大学紀要に投稿する。
- その他として、共著論文の投稿、学会発表を行う。
(2)点検・評価
- 学術雑誌に単著の1編を投稿した。
- 最後のまとめが十分ではなかったので投稿は見送ったが、おおよその執筆はできた。
- 学術雑誌に共著の2編を投稿した。また、学会発表(共同)を3件行った。
2-3.大学運営
(1)目標・計画
平成17年度、教育臨床コースの受験者は本学大学院受験者の41.4%(362人のうち150人)であり、また同コースの入学者はM1院生の25.9%(259人のうち67人)である(鳴門教育大学学報第63号、平成17年6月発行)。ところが、臨床心理士養成の指定大学院はここ数年で100校以上に急増しており、今後は大学院の競争の時代に突入すると予想される。人気のある大学院は競争率10倍もある。それゆえ教育臨床コースにおいては、受験生のさらなる増大、教育体制の充実、そして修了生の就職に、今以上に取り組んでいく必要がある。そこで筆者は、「教育臨床コース九州圏人会」(平成16年から開始)を充実させ、九州各県をターゲットとして受験生の獲得および修了生の就職に取り組んでいきたい。
(2)点検・評価
受験生からの問い合わせや見学には積極的に対応し、また大学院説明会を担当した。とりわけ九州各県からの受験生や入学予定者については、同じ九州各県から来ている在学院生を紹介して、さまざまなサポートについて配慮した。他方、九州各県での就職を希望する院生には、修了生を紹介したり、地域の情報提供を行った。こうした関係づくりによって、教育臨床コースの九州各県の受験生、入学予定者、在学院生、修了生のネットワークが少しずつ形成されつつある。
2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等
(1)目標・計画
- 徳島県立総合教育センター、徳島市教育研究所、徳島県下の小・中・高等学校と連携して、閉じこもり傾向の不登校児童・生徒を対象に、本学大学院教育臨床コースの院生が家庭訪問による心理的支援を行っている。筆者は本事業の運営に中心的に関わっている。そこで平成18年度は、訪問を受けた家庭の意識調査、訪問の効果測定などを実施し、今後の事業の発展に貢献したい。
- 徳島県スクールカウンセラー活用事業の運営に中心的に関わっていきたい。
(2)点検・評価
- 訪問を受けた家庭を対象に意識調査を実施することができ、今後の事業の推進に有益な示唆が得られた。徳島県立総合教育センターおよび徳島市教育研究所に対して、結果の報告を行った。
- 徳島県スクールカウンセラー・コーディネーターとして、徳島県教育委員会と積極的な連携を図って、本県のスクールカウンセラー活用事業の推進に貢献した。
3.本学への総合的貢献(特記事項)
平成18年度に筆者が担当したゼミ生はM2が11名、M1が7名と多く、またスクールカウンセラー実習や訪問臨床などでも日頃から非常に多くの院生と関わっている。また、教育委員会、学校、スクールカウンセラーなどからの依頼に対応したり、連絡・調整なども毎日のように行っている。時には煩雑さも感じるが、こうした地道な関わりが臨床心理士養成においては大事な仕事だと思っている。