自己点検・評価報告書 (教育臨床講座) 兼松儀郎
報告者 兼松儀郎
1.学長の定める重点目標
1-1.大学の活性化を目指す教育活動
(1)目標・計画
- 本学の学部学生は、教職という明確な目標がありながら、入学後何をどのように学習していくかにとまどいがあるように思われる。担当科目について、身に付けるべき基礎的事項を整理するとともに、学習指導案の作成や、実地指導講師の招聘などにより、学部の教員養成段階での実践的指導力の育成を図る。
- 大学院修士課程の学生については、現職教員としての経験を生かすような教育課題へのアプローチや課題解決の方法について指導する。
- 成績評価については、筆記試験のみならず、レポート作成、ディスカッションへの参加など、学習の過程を重視し、複数の資料をもとに、多面的かつ総合的に評価する。
(2)点検・評価
- 平成18年度の学部学生対象の「道徳教育指導論」は、受講生が大学院長期履修学生を含め190名となり、一層の授業方法の工夫が求められた。基礎的事項の修得の徹底を図るとともに、ワークシートの活用、班別討論など、主体的な授業参加をうながした。また学習指導案の作成、実地指導講師の招聘などにより、実践的指導力の育成を図った。受講生の増加に対応するため、平成19年度は、受講生全体を2つに分けリピート科目とする。
- 大学院修士課程の学生については、「教育課題探究」において大学院での研究方法の進め方を中心に指導した。また「道徳教育指導論研究」「道徳教育指導論演習」においては、現職教員の経験を生かし、研究発表・討論を積極的に取り入れた。「教育実践研究」「道徳教育指導論演習」については、研究の整理方法についても指導し、授業のまとめを冊子として作成した。
- 成績評価については、学部・大学院ともに、筆記試験のみならず、研究発表、討論、レポート作成、など、学習過程を重視し、複数の資料をもとに、多面的かつ総合的に評価した。
1-2.学生支援、地域連携活動
(1)目標・計画
- 就職支援に関しては、平成17年度に引き続き、就職支援室の就職ガイダンスに協力し、模擬面接・模擬授業の指導にあたる。
- 兵庫県教育委員会事務局職員から、教育行政上の課題、教員採用の動向等について情報収集を行い、あわせて教育委員会事務局職員に対して本学の教育の特色などについて説明を行い、PR活動を行う。
- 文部科学省、国立教育政策研究所、独立行政法人教員研修センター等の事業について、専門的見地から、研究活動及び教員研修に協力する。
(2)点検・評価
- 就職支援に関しては、就職支援室の就職ガイダンスに協力し、模擬面接・模擬授業の指導にあたった(5月・8月)。
- 就職支援室職員とともに兵庫県教育委員会事務局・神戸市教育委員会事務局を訪問し、教員採用の動向等について情報収集を行い、また本学の教育の特色などについて説明を行い、PR活動を行った(2月)。
- 文部科学省「学習指導要領の改善協力者」、国立教育政策研究所「教育課程実施状況調査のための結果分析の協力者」「研究指定校(教科別指定)に係る企画委員会の協力者」、独立行政法人教員研修センター「道徳教育を推進するための中核となる指導者の養成を目的とした研修(中央指導者研修ほか)の講師等」などを務め、専門的見地から、教育政策立案の基礎となる研究活動及び中央研修をはじめとする現職教員の研修の充実に協力した。
2.分野別
2-1.教育・学生生活支援
(1)目標・計画
- 学部生については、学校教育の基礎的知識の修得を徹底したい。また、卒業研究などを通じて、個別に教員としての問題意識の醸成に努める。
- 大学院生については、研究・演習の科目を通じて、教育実践に関する研究能力とともに、学校の中堅教員として、あるいは教育委員会等の教育行政職員として求められる発想力・分析力・表現力の向上を目指す。
(2)点検・評価
- 学部生については、担当科目の授業を通じて、学校教育の基礎的知識の修得を徹底した。また、ゼミ生として3年次生2名を担当し、「卒業研究」において、教育実践と関連付けた研究課題の設定及び研究の取組について指導するとともに、教員採用試験に向けて、参考書を活用しながら基礎的知識を身に付けるよう指導した。
- 大学院生については、研究・演習の科目を通じて、研究発表・討論の機会を多く設け、現職教員の経験を生かした授業展開に努めた。「教育実践研究」については、受講生の問題意識や関心を尊重して、附属小学校と共同して取り組んだ。ゼミ生として、1年次生3 名、2年次生1名を担当し、「課題研究I・II」においては個別指導に重点をおいた。その際、教育実践の分析・考察の方法を指導し、大学院修了後の教育活動あるいは教育行政実務に求められる資質・能力の涵養に努めた。
2-2.研究
(1)目標・計画
- 科学研究費補助金については、平成18年度に最終年を迎える研究課題を遂行するとともに、19年度以降の研究課題について応募する。
- 論文発表、学会発表等を積極的に行い、大学院における自己の研究指導能力を向上させる。
- 中等教育における道徳教育や公民科教育を中心に、個人研究のみならず、文部科学省等の職員との協議を通じて今後の方向性を探るとともに、中学校・高等学校の学校教育の現実を踏まえつつ、指導内容・指導方法について研究を進める。
(2)点検・評価
- 科学研究費補助金により、平成17年度~平成18年度に中等教育における道徳教育に関する研究を進め、平成18年度は最終年度として研究成果を報告書にまとめた。また、19年度以降の研究課題について科学研究費補助金に応募し、交付内定を受けている。
- 日本道徳教育方法学会(6月)、日本道徳教育学会(10月)において学会発表を行った。また、学会誌『道徳教育方法研究』に投稿し、論文発表を行った。
- 『中等教育と高等教育とのアーティキュレーション』の出版事務を進め、平成19年4月に刊行した。
- 道徳教育について、研究開発学校(茨城県立岩井西高等学校・石川県立金沢錦丘高等学校・京都府立久美浜高等学校)と連携して研究を進めるとともに、文部科学省の教科調査官等との協議を通じて今後の道徳教育の方向性を探った。特に高等学校における道徳教育については、実証的研究を踏まえ、今後の実践的課題について提言した。
2-3.大学運営
(1)目標・計画
所属する組織、あるいは委員会の職務の遂行において、担当事務の迅速化とともに、会議の効率化を図る。
(2)点検・評価
- 学部入学試験委員会副委員長として、大学入試センター試験、推薦入学、前期日程、後期日程の試験実施等について、責務を果たした。
- 学部入学試験委員会委員として、学校教育コースに関係する人間形成講座・学校改善講座・授業開発講座・教員臨床講座の4講座間の連絡調整を行った。
- 大学院入学試験委員会委員として、責務を果たした。
- 教育臨床講座教員として、生徒指導分野を中心に円滑な講座運営に努めた。
2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等
(1)目標・計画
- 「教育実践研究」において、道徳教育に関する附属小学校との共同研究を行う。
- 徳島県立総合教育センターと連携して、道徳教育に関する実践研究を推進する。
- 高等学校の道徳教育を研究課題とする研究開発学校と連携し、今後の道徳教育に関する研究を推進する。
(2)点検・評価
- 「教育実践研究」の一環として道徳の研究授業・授業研究会の実施(12月)や、「第53回小学校教育研究会」(2月)における助言など、道徳教育について附属小学校との共同研究を行った。
- 徳島県道徳教育推進協議会会長として、徳島県立総合教育センターと連携して、道徳教育の充実に協力した。
- 茨城県議会文教治安委員会において、高等学校における道徳教育について参考人として意見を述べた(7月)。また、茨城県教育委員会の高等学校道徳教育指導資料作成に協力した。
- 福岡県立福岡魁誠高等学校・広島市立基町高等学校において、人間としての在り方生き方に関する教育について講演を行った(2月)。また、香川県高松市立十河小学校の校内現職教育において、道徳教育について指導助言を行った(6月・1月)。
3.本学への総合的貢献(特記事項)
- 学校教育の重要課題となっている中等教育段階の道徳教育について、理論的・実践的研究を進めるとともに、その成果を文部科学省・国立教育政策研究所・独立行政法人教員研修センター等の事業に生かすことができた。
- 高等学校の道徳教育について、学会発表(2回)及び学会誌(A論文1本)発表を行った。
- 教育委員会における実務経験を生かし、就職支援室の事業に協力した。
- 学部入学試験委員会副委員長として、円滑な入試業務の遂行に努めた。
最終更新日:2010年02月16日