自己点検・評価報告書(小倉正義)

報告者 小倉正義

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

①学生が教師の専門性の資質として,カウンセリングやアセスメント,コンサルテーションなどの専門性を知識として習得することはもちろん,実践力として活かせる形で伝わるように授業を行う
②講義形式の授業だけでなく,体験的なワークや事例(架空事例を含む)を扱うことで,実践の知として習得できるように授業方法を工夫する
③知識を問うだけでなく,実践的な課題への取り組みやその内容を評価する。また,評価したことが学生にも還元できるように工夫する。

(2)点検・評価

①計画通り,学生の専門性の資質を高めるために,生徒指導・カウンセリング・アセスメント・コンサルテーションなどについて,実践力をつけることを意識して講義・演習を行った。

②講義形式の授業の中にも,できるかぎり実践例を取り上げたり,時事問題について扱うなどすることで,できるだけ実践の知を習得することができるように工夫した。また演習形式の授業では,ワークを中心に授業を構成し,体験のなかでの学びを重視して授業を行った

③知識を問う問題に加えて,自分で考える力を問う問題もテストにできるだけ取り入れて,より実践的な力について評価できることを意識した。

 

1-2.大学教員としての社会貢献

(1)目標・計画

①授業等を通して実践力のある教員,臨床心理士の養成に貢献する。具体的には,授業,卒論指導,ケースのスーパービジョンの中で,学生一人一人の特性に応じた指導をする。

②これまで行ってきた研究から得られた知見を,実践の形で還元する。具体的には,発達障害児/者支援に関する研究での知見を生かした実践を行う。また,その実践活動を実践研究として効果測定し,よりよい支援方法の在り方を模索する。

③これまで行ってきた研究から得られた知見を,専門書等などの形でまとめる。また,教員・臨床心理などの専門家や広く一般市民対象の講演会なども積極的に行う。 

(2)点検・評価

①特に卒論などの研究指導,大学院生へのケース・スーパビジョンでは,一人ひとりのニーズや特性に応じた形で指導を行った。また授業や自主的に開催した勉強会の中で,できるかぎり一人ひとりの学生に目を向け,疑問の解決を図ることができるように工夫した。

②当大学心理教育相談室での活動,附属小学校スクールカウンセラー,愛知県自閉症協会でのSSTの活動,小児科クリニックでのカウンセリング活動など,様々な形でこれまでの研究や実践の成果を生かした実践を行ってきた。また,これらの活動の一部は,実践研究としてまとめ学会発表を行った。

③共編著書として『認知的個性』(新曜社),分担執筆として『子どもの臨床心理アセスメント』(金剛出版)などを執筆した。専門家や保護者などを対象とする講演会も積極的に行った。

 

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

①学部の授業では,学生が主体的に授業に参加できるよう,体験的なワークや事例検討などを取り入れたい。また,卒論(3年生)の指導では,まずは学生が自分自身で課題を見つけ,主体的に取り組むことができるように,サポートしていきたい。

②大学院では,ケースのスーパービジョン等を通して,臨床心理士の基礎的な力を養成し,臨床心理士の資格試験に必要な知識を伝える

③学生の進路や研究,臨床上の悩みなどに答えながら,職業的な意識も育てることができるように指導していきたい。

(2)点検・評価

①予定通り,学部の授業ではできるだけ体験的なワークや実践事例を取り入れた。卒論指導では,学生自身が自分で自分の課題をみつけ,どのようなテーマで卒論をすすめるかを決めた。

②スーパービジョンなどを通して,臨床心理士の基礎的な力を養成した。また授業時間外で大学院生向けに発達障害に関する勉強会を行い,基礎的な知識や実践の知などについて伝えた。

③日々の会話や雑談を通して,教員として,臨床心理士として必要な職業的意識をもつことができるように関わった。必要に応じて,様々な相談にも応じた。

 

2-2.研究

(1)目標・計画

①従来からの研究テーマである学校と家庭の連携に関する研究,発達障害児/者への支援に関する研究を論文の形にまとめ,学会誌(A論文)に投稿する。

②学内外の研究助成の公募に積極的に申請し,特に学外資金の調達に重点を置く。

③厚生労働省 精神・神経疾患研究委託費『児童思春期強迫性障害(OCD)診断・治療ガイドラインの検証及び拡充に関する研究』 (主任研究者:金生由紀子),分担研究者・本城秀次の研究協力者として,幼児期の強迫性障害・強迫様行動に関する研究をす

すめる。また,研究成果を学会で発表する。

④名古屋大学軽度発達障害分野における治療教育的支援事業の研究協力者として,研究をすすめる。また,研究成果を学会で発表する。

(2)点検・評価

①学校と家庭の連携に関する研究,発達障害児/者への支援に関する研究を論文にまとめ,学会誌(A論文)に投稿した。掲載には至らなかったが,再び投稿準備をしている。また,学校と家庭の連携に関する研究は,鳴門教育大学研究紀要第26巻に論文をまとめた。

②平成22年度日本心理臨床学会研究助成事業の研究代表者として助成金を得た。また,平成22年度

(財)電気通信普及財団の助成金を共同研究者として得た。さらに,平成23年度科学研究費補助金の若手B研究に研究代表者として,基盤C研究に分担研究者として応募している。

③厚生労働省 精神・神経疾患研究委託費『児童思春期強迫性障害(OCD)診断・治療ガイドラインの検証及び拡充に関する研究』 (主任研究者:金生由紀子),分担研究者・本城秀次の研究協力者として,幼児期の強迫性障害・強迫様行動に関する研究を予定通りすすめた。

④名古屋大学軽度発達障害分野における治療教育的支援事業の研究協力者として,研究を予定通りすすめた。また,日本教育心理学会・日本LD学会・日本心理臨床学会・日本小児精神神経学会・日本乳幼児医学・心理学会で研究成果を発表した。

 

2-3.大学運営

(1)目標・計画

今年度着任したばかりなので,委員会等には所属していないが,まずは大学の運営組織や運営目的をしっかりと意識し,委員会に属している他の先生方のサポートを積極的にしていきたい。

(2)点検・評価

大学の運営組織や運営目的を意識して,日々の業務に取り組んだ。また委員会に所属している先生方のサポートを積極的に行った。また平成23年からの新コースの学校教育実践コースのカリキュラム検討部会のメンバーとして,新コース起ち上げの準備に寄与した。

 

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

①附属学校における新任研修やスクールカウンセリングなどで,特に附属学校の教育相談部門での連携を図りたい(附属学校)。

②徳島を中心に様々な地域・社会との交流・連携を積極的に行い,臨床心理学の専門性から広く貢献したい。(社会貢献)。

(2)点検・評価

①附属学校における新任研修はほぼ計画通りに実施した。またスクールカウンセリングも隔週で実施し,附属学校との教育相談部門での連携を図ることができた。

②今年は一年目だったので教育分野を中心に徳島のいろいろな地域・機関との連携を図ることを意識して,一年間取り組んできた。特に徳島県総合教育センターや徳島市教育研究所,徳島県発達障害者支援センター,各地の発達障害児・者の親の会とは積極的に連携を行い,自らの専門性からある一定の貢献ができたと考えている。

③フィンランドのトゥルク大学の研究者との共同研究を開始した。

 

3.本学への総合的貢献(特記事項)

・前述したように,臨床心理士養成コースにおいて,大学院生の発達障害児・者への支援力の育成の充実を図るために,自主的な勉強会を後期から10回程度実施した。

・当該年度に本学に赴任して一年間で,本学の理念に基づいて教育研究を行う基礎となるものを築くことができたと考えている。

・初めての地域で,いかに地域にコミットしながら,教育・臨床・研究を行っていくかを意識して取り組み,ある一定の成果を得ることができたと考えている。

 

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