自己点検・評価報告書(南 隆尚)

報告者 南 隆尚

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

本学の恵まれた水辺活動や四国の自然を活用した野外教育活動に従事している。また水泳の指導プログラム開発,さらにスポーツ科学・運動学的な立場から水球競技に関する研究を進めている。水をキーワードとしながら個別課題に言及してきた。学校における水泳教育は国の教育指針の一部と考えてきた。しかし戦後教育の中で,児童の体力低下に見るように,その位置づけや成果は決して望ましい方向にはない。そこで目標の多様化や環境課題に対応できる教員育成には,教師自身の専門性向上と,逆に幅広い指導力の習得,さらに社会評価にも耐えうるマネージメント能力が必要だと考えている。水泳で言えば,教員に最低限必要な基礎泳力習得と専科としての泳力,スイミングなど民間組織と競合することも含め,広くマネージメントの視点や普及活動について,教員養成の立場から戦略的な提言に繋がるような授業を進めたい。そのため①授業内容の実技は基礎・基本の確実な習得と専門家として習熟。知識・技術は最新情報と幅広い指導方法を提示する。②授業方法は小テストや細かな課題を示し,スモールステップを主に授業を展開する。ロールプレイング等模擬指導を繰り返し,基礎的知識と指導法の習得を目指す。③成績評価も,基礎的学力の習得とそれぞれの課題の習得。レポートとしてマネージメントの視点を持った授業・事業計画を作成してもらい,評価する。

(2)点検・評価

H22年度の大きな目標の一つ日本水泳教育の一助となる取り組みを掲げていたが,松井教員の実施する学校水泳研究会や他大学教員との連携,スイミングなど外部団体との協力,科研費受諾などを目指したがどれも十分な成果を上げるには至らなかった。
本学授業において,上記に掲げた授業内容・方法・成績評価は実践することができた。特に授業方法の細かな課題の設定による基礎学力の修得や模擬授業の実施については例年より多くの時間を割くことができた。ただし知識の応用やマネージメント能力の育成については,今後の課題としたい。

 

1-2.大学教員としての社会貢献

(1)目標・計画

○水泳活動に恵まれた本学の環境を生かし,指導プログラムや環境教育としての里海活動を具体化する。教員10年研修や指導者養成で活用し,教員養成のための野外活動基盤整備を進める。
○新旧指導要領の十分な理解と次回改訂に提言できるような取り組みを心掛ける。
○トレーニング科学の研究成果を水球競技日本代表の活動フィードバックし,パフォーマンスの向上とスポーツ活動の普及・啓蒙に努める。
○日本赤十字の活動に協力し,本学でも救急法普及に努め,大学のリスク管理能力を高める。 

(2)点検・評価

○10年研修の講師を担当。受講教員の受講動機と内容に若干の齟齬を感じ,今後の課題が残る。
○新学習指導要領を意識した授業を展開した。特に大学の柔道授業担当者として教育委員会の指導資料作成にも協力した。
○アジア大会男子日本代表水球チームに帯同し,3位獲得に貢献した。
○日本赤十字の活動に協力し,本学や高校での救急法普及活動に努めている。

 

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

○講義においては小テストを実施し,基礎的な学力を習得できるよう授業方法を工夫する。
○発言・討論の場面を設け,自己肯定力と同時にコミュニケーション能力の育成を狙う。また授業への積極的な参加を促し,教師としてのプレゼン能力の向上を図る。
○実習においては,野外での活動を伴うことが多く,事前のオリエンテーションを充実したものにし,安全かつ自律的に参加できるよう工夫する。実技に関して「リスクマネージメントの観点を設け,教員としての危機意識を高める。
○研究に関するゼミ活動の他,指導教員に関わらず学生に時事の諸問題を取り上げ発表してもらう時間を共同で設けている。学生の言語能力に役立つため今後も継続して実施する。
○実技指導において,教員採用試験対策をはじめ,積極的に指導機会を設ける。

(2)点検・評価

○講義において,小テストやプレゼンテーション,討議などに時間を割き,知識の活用を重視した。
○野外で行う夏季・冬季の実習では事故無く終えることができた。特に自律的な活動については例年以上に積極的であった。指導実習では危機意識は芽生えているが今後検証が必要である。
○ゼミ活動は学生のプレゼンテーション能力も向上している。また卒論でも全国教育大学系保体論文集への推薦を受けた。

 

2-2.研究

(1)目標・計画

○科学研究補助金の申請・獲得を目標に「学校における水泳教育の現状と課題(仮)」の研究を進める。全国的な活動チームを組織し,情報収集と新たな指針の作成を目指す。
○スポーツのスカウティングに関するゲーム分析とインターネットによるフィードバックシステムを開発している。映像データベースの構築とネットワーク開設を計画している。
○競技スポーツにおける股関節に着目したパフォーマンス向上に関する研究を進める。
○四国遍路における体育学的な視点からの研究を継続する。また身体と精神性について視野を広げた研究を試行する。
○野外教育における指導者養成プログラムの開発にあたっている。野外活動の心理的影響,危機意識などに着目し,研究を進める。同時に指導者育成のためのプログラムや自己肯定感・環境意識の育成を含んだプログラムの開発を進める。

(2)点検・評価

○科学研究補助金の獲得には至らなかった。しかし全国的な活動チームを組織し,情報収集など新たなネットワークは形成できてきた。
○映像データベースの配信には至らなかったが映像ソースの収集や競技現場へのフィールバック方法が充実し,アジア大会でも好成績を収めた。
○GPを終了した四国遍路においても,講義・実習とも体制を維持し実施できている。
○野外教育における指導者プログラムおいては,開学30年を迎えるにあたり,施設・設備の老朽化に伴い,プログラムの変更を行いながら,10年研修や本学実習の充実を図っている。授業受講者数は最近増加している。

 

2-3.大学運営

(1)目標・計画

○現在,各種専門委員を務める。教育大学として先駆的な取り組みに寄与する。
○課外活動など学生との交流を持つことにより,学生の立場での意見を大学運営に活かす。
○野外活動施設の整備ならびに維持管理を積極的に行う。
○本学新規6カ年目標の初年度であり,大学の将来像に寄与しうる発信を心がける。

(2)点検・評価

○各種専門委員会において,特段の業務を行ったとは言えない。
○課外活動など学生指導に当たっているが,部員の現象など活性化を要する。
○野外活動施設の整備ならびに維持管理を積極的に行っている。

 

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

○附属幼稚園のペアレンツセミナー等に協力する。
○附属中学校を利用した公開講座を開設する。
○民間スイミング設立や学校プールの老朽化に伴う,学校水泳の崩壊が始まっている。教員間・学校間・官民間の協同関係のマネージメントを考慮した活動を行う。
○徳島県教育委員会,徳島県体育協会,鳴門市健康福祉部の活動に協力する。
○日本赤十字の活動に協力する。

(2)点検・評価

○附属幼稚園のペアレンツセミナー等に協力し,実施した。
○附属中学校を利用した公開講座を行った。受講生が定員及ばす,一層の広報を要する。
○学校水泳に寄与する協同関係のマネージメントを考慮した活動には至らなかったが,そのモデル地域との情報交換を行っている。
○徳島県教育委員会,徳島県体育協会,鳴門市健康福祉部の活動に協力し,幼稚園教諭の救急法指導や武道必修化に伴う資料作成に寄与した。
○日本赤十字の活動に協力し,本学や高校において救急法の指導を行っている。

 

3.本学への総合的貢献(特記事項)

○日本水泳連盟ならびにオリンピック強化スタッフならびに審判として水泳競技の普及・強化に協力している。外部活動を行う際には本学所属を明記している。水球競技を専門とする大学院生もおり,入学者増員にも少なからず寄与している。

 

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