自己点検・評価報告書(町田 哲)

報告者 町田 哲

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

社会科教師には、社会科という教科内容を教諭する力だけでなく、地域の中に課題をみつけ、それを教材化していく力、地域の人々と共同していく力が求められている。そこで、①出来るだけ地域の素材の日本歴史の展開とを結びつけた授業内容を構築し、②それらの素材を理解する力を身につけていく演習形式を盛り込み、さらに地域に出て直接地域の人々と関係しあう方法を取り入れたい(調査実習など)。③したがって、その成績評価も、単に歴史的事象をどれだけ学び得たかという点だけでなく、その理解をいかに伝えることができるかという観点も組み込んだあり方を模索していく。

(2)点検・評価

①日本史特論Ⅱや学部阿波学(阿波藍の歴史と科学)、学部「地域社会研究」院「四国遍路と地域文化」で、阿波の具体的事例から日本史はもとより、世界史的視点からの授業内容を構成することができた。また、②授業ではないが、徳島県より四国遍路の札所調査の事業委託をうけ、それを院生と取り組むことによって地域に出て歴史を学ぶ取り組みを行い、事業を遂行することができた。今後その成果をまとめることで③の目標の実現にむけたい。③さらに、評価についても、レポートだけでなく、論文読解コメントを求めるなど、学生に対し理解を表現する努力を促し、それらも成績評価に反映させることができた。

 

1-2.大学教員としての社会貢献

(1)目標・計画

私は現在徳島における地域史研究を進めている。藍作地帯の村落、山間地域の村落および生業、四国遍路と地域、の3つを柱としている。これまで現代GP「遍路文化を活かした地域文化」プロジェクトの一員としても活動してきたが、こうした成果をふまえながら、研究論文や講義という形だけではなく、市民むけの講演会等の中で積極的に社会への還元を果たしていきたい。

(2)点検・評価

①昨年度遍路GPでの文化財調査事業の成果が徳島県より高く評価され、本年7月に徳島県より「世界に誇る四国遍路モデル事業(寺院詳細調査)」の委託事業を受託することができた。9月より調査を開始し、3月には事業を完了することができた。

②2010年度鳴門史学会研究大会「巡礼と信仰―四国遍路・熊野信仰―」を関係教員と連携して計画し、地域の学問的な交流を図った。また、2月上旬には6大学連携事業(学芸GP)の一環として連続講座「四国遍路と地域文化を考える」(鳴門教育大学・県立博物館・県立文書館主催、2011年2月)の企画を実現にさせることができた。参加者から大好評を得た。

③さらに個人としても講演「近世後期の藍師と藍流通―名東郡早淵村後藤家を中心に―」(財団法人徳島県文化振興財団主催;第28回郷土文化講座「阿波藍の歴史と文化」第8回、於あわぎんホール(徳島県郷土文化会館)5階小ホール・2010年10月2日)を果たし、講演「四国遍路と地域文化」(放送大学徳島学習センター・徳島県立図書館主催「まなびの森」講演会、2011年3月5日)を実施するなど、広く社会に研究成果を還元することができた。

 

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

①社会科教育で重要な、地域史の方法と実践について、理解を深められるよう授業を進める。具体的には、地域で誠実に生きる人々の営みが歴史を動かしていることの理解が得られるよう努力する。

②社会科教育の教材(日本史)に関する担当講義の充実を図る。その際、通史的視点と、その時代の特徴を多角的に捉えるような視点、この2つを養うようにする。

③学生の自主・自立を尊重しながら、学生の進路・悩み等の相談に随時応じる。

(2)点検・評価

①日本史学特論Ⅱ、史料講読、歴史学研究Ⅱなどで、地域で誠実に生きる人々の営みが歴史を動かしていることの理解が得られるよう、教材を工夫し、社会科教育で重要な、地域史の方法と実践について、理解を深められるよう授業を進めることができた。

②社会科教育の教材(日本史)に関する担当講義の充実を図り、通史的視点と、その時代の特徴を多角的に捉えるような視点、この2つを養うようにすることができた。

③学生の自主・自立を尊重しながら、学生の進路・悩み等の相談に随時応じた。

 

2-2.研究

(1)目標・計画

①鳴門教育大学附属図書館所蔵『後藤家文書』を使った研究を深め、四国遍路文化や藍作地域の構造など、徳島の地域に根ざした歴史研究を継続的に進める。

②「近世阿波における山村の生業と流通に関する構造的研究」と題して、科学研究補助金の新規申請を行っているが、その採択いかんを問わず、研究を進める。

(2)点検・評価

①科学研究費(若手B)「近世阿波における山村の地域特性に関する構造的研究―生業・流通・社会構造―」が採択され、外部資金を獲得することができた。現在、着実に調査・研究を進めている。

②以下の研究を論文発表した。とくに前2者は四国遍路文化や山村社会の地域構造など、徳島の地域に根ざした歴史を対象としたものである。最後のものは、去る3月に韓国慶北大学院で行った「近世韓日地域社会比較研究」で発表したもので、地域史研究の国際的な交流に参加することができた。

・「近世前期の祖谷山請負商人と大坂」(塚田孝編『身分的周縁の比較史―法と社会の視点から―』清文堂出版、2010年5月、107-150頁)

・「近世後期阿波における『他国無切手・胡乱者』統制と四国遍路―打廻り・番非人・御救小屋―」(『部落問題研究』193、2010年6月、39-104頁)

・「地域史研究の方法と意義―日本近世史の立場から―」(『嶺南学』〈慶北大学院嶺南文化研究院〉17、2010年6月、299-341頁ハングル語訳を含む)

 

2-3.大学運営

(1)目標・計画

①社会系コース、人文・社会系教育部の一員として、所定の各種会議に参加し、職務を遂行する。

②創立30周年記刊行委員会委員(学長指名)として、刊行に向けて事業推進に努力する。

③大学評価のためのワーキングの一委員(学長指名)として、職務を遂行する。

(2)点検・評価

①社会系コース、人文・社会系教育部の一員として、情報環境推進委員会、および第59回中国・四国地区大学教育研究会のプロジェクトなどの会議に参加し、職務を遂行することができた。

②創立30周年記刊行委員会委員(学長指名)として、刊行に向けて事業推進に努力した。

③大学評価のためのワーキングの一委員(学長指名)として、職務を遂行し、その提出に協力することができた。

 

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

①鳴門史学会等における研究活動を通じて、地域との人的、学術的な交流を図る。   

②附属小中学校の実習・研究会等にできるだけ参加・支援する。

(2)点検・評価

①2010年度鳴門史学会研究大会「巡礼と信仰―四国遍路・熊野信仰―」を関係教員と連携して計画し、地域の学問的な交流を図ろうとしている。また、2月上旬には6大学連携事業(学芸GP)の一環として講座「四国遍路と地域文化を考える」(鳴門教育大学・県立博物館・県立文書館)の企画を進めている。さらに個人としても講演「近世後期の藍師と藍流通―名東郡早淵村後藤家を中心に―」(財団法人徳島県文化振興財団主催;第28回郷土文化講座「阿波藍の歴史と文化」第8回、於あわぎんホール(徳島県郷土文化会館)5階小ホール・2010年10月2日)を果たし、講演「四国遍路と地域文化」(放送大学徳島学習センター・徳島県立図書館主催「まなびの森」講演会、2011年3月5日)を予定している。

②附属校のゼミ生の実習に、評価授業や研究授業に参加・支援するのはもちろんのこと、授業の指導・支援もおこなった。ただし、附属小学校の研究事業には都合により参加できなかった。

 

3.本学への総合的貢献(特記事項)

①昨年度遍路GPで実施した札所寺院の文化財基礎調査事業の成果が、徳島県より高く評価され、その信頼を基礎に、本年7月に徳島県より「世界に誇る四国遍路モデル事業(寺院詳細調査)」の委託事業を受託することができた。遍路GPの継続・発展を内外に示すことができた。

②科学研究費(若手B)「近世阿波における山村の地域特性に関する構造的研究―生業・流通・社会構造―」が採択され、外部資金を獲得することができた(2010-12年度)。

 

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