自己点検・評価報告書(麻生多聞)

報告者 麻生多聞

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

教員としての資質・能力を涵養するという文脈において、法学教育を専門とする立場から、学生が将来において教壇に立つ際に必要となる専門的知識を教授することを目指す。裁判員制度の導入が既に開始され、法教育の重要性はますます高まっている。教育現場において高められた需要に応えることができるよう、実践的見地からみた講義を行うよう努めたい。

(2)点検・評価

目標を十分に達成できたと考えている。授業内容については、法律学概論、法律学特論のシラバスを従来のものから変更し、裁判員裁判の対象となる「重大な刑事事件」をめぐる多面的な考察が可能となるようなものとした。また、裁判員制度開始後に判決が続々と下されるようになっており、かような判決に関する報道を逐一講義で取り上げて、具体的文脈から刑事司法の諸原則がいかに機能しているか、するべきかについて解説するという方法論を徹底した。成績評価についても、かような具体的素材を前にして、学生がいかに主体的に思考を展開しているかを重視するよう留意した。

 

1-2.大学教員としての社会貢献

(1)目標・計画

これまでに、新聞社からの取材要請や各種市民活動による講演の要請、あるいは市役所からの情報公開審議会メンバー就任要請などを受け、可能なかぎりでそれらに応じてきた。本業としての教育・研究活動の妨げとならないかぎりにおいて、本年度も社会貢献に努めたい。

(2)点検・評価

例年通りに、本業の妨げとならない程度において社会貢献ができたと考えている。

 

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

昨年度は学生生活相談委員、セクシャルハラスメント相談委員、学生連絡会教員メンバーとしての学生支援活動に従事した。また、教員採用試験対策として、論作文の添削や模擬集団討論などを行い、学生の需要に応じてきた。本年度も昨年度同様、可能なかぎり教育・学生生活支援に努めるものとしたい。

(2)点検・評価

目標を十分に達成できたと考えている。本年度は、セクシャルハラスメント相談委員、学生総合相談室相談委員、学生連絡会委員を務め、その職責を果たすよう努めた。また、教員採用試験対策として、ゼミ生から論作文添削指導を要請されたことに応えた。

 

2-2.研究

(1)目標・計画

2008年度から継続的に進めてきた研究テーマ「平和的生存権論の脱構築」について、その研究成果をまとめることができた。その成果は2010年5月刊行予定の法律時報臨時増刊『日米安保改定50年』(日本評論社)に「立憲民主平和主義の可能性‐平和的生存権論の脱構築」という論題の論文として掲載が決定している。本年度からは新たな研究課題として、憲法の制定過程と憲法の規範性をめぐる研究に従事したいと考えている。

(2)点検・評価

新たな研究課題として、当初は、「憲法の制定過程と憲法の規範性をめぐる研究」というテーマを設定したが、研究を進めるなかで、憲法9条の規範性を支えるものとしての市民の政治的能動性という観点に強い関心をもつに至った。防衛力強化や紛争地域への自衛隊派遣などの政策が政府により打ち出され、憲法9条という規範の空洞化が進行する要因に、平和運動における全国民的統一行動が困難化するという事態の常態化があると考えられるためである。かような見地からの研究を進め、「多数派構築に向けた平和運動の方法論について」という論文を執筆し、『法と民主主義』(日本民主法律家協会)454号に発表した。

 

2-3.大学運営

(1)目標・計画

昨年度は中期目標・計画策定委員会委員として、大学の運営に携わった。本年度は大学院教務委員会委員としての活動が予定されているほか、モデルカリキュラム策定委員会委員としての活動にも従事することとなっている。精力的に業務に従事したい。

(2)点検・評価

大学院教務委員、モデルコア・カリキュラム開発チーム実行委員として、職責を果たすよう努めた。

 

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

従来、ゼミ生の模擬授業担当日には附属学校に赴いて参観し、また研究授業にも毎年参加するよう心がけてきた。教員養成大学において、教育実践力を涵養する教育実習はきわめて重要な意味を持つものであり、その教育を附属学校に丸投げしてしまうのではなく、大学教員の立場から可能なかぎりそれに参画することが求められていると考える。本年度も従来どおりに附属学校と連携しつつ学生の教育実践力涵養をバックアップしたい。また、依頼があれば、附属学校のLFタイム講演も精力的に引き受けていきたい。

(2)点検・評価

例年通りに、教育実習期間においては附属学校を精力的に訪問し、学生の教育実習を参観した。参観の際には、学生の授業において評価されるべき点や改善されるべき点につき、詳細な指導を実施するよう努めた。今年度は、附属小学校、附属中学校のみならず、附属特別支援学校も訪問し、ゼミ生の評価授業を参観した。小学校や中学校とは異なる教育的使命を帯びる特別支援学校での参観から、非常に多くのことを学ぶことができたように思う。

また、今年度も附属中学校でのLFタイム講演を1回担当した。

 

3.本学への総合的貢献(特記事項)

 

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