自己点検・評価報告書(木原克司)

報告者 木原克司

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

①授業内容
・一方的な講義中心の授業ではなく、課題を与えて個々の学生が積極的に参画し得る授業を計画したい。
②授業方法
・与えた課題に対して、実習形式で学生に作業を行わせ、すべての学生が授業に参加できるような方法を実施する。
・授業の内容をより深く理解させるために、授業期間中および授業終了後に学生と期日を定め、授業内容に関連する地域・施設(博物館・資料館など)・事業(発掘調査現場)を訪問し、現地講義を行う。
③成績評価
・授業への出席状況、課題とした実習作業の成果品、現地講義への参加、授業終了後のテストなどを総合して評価する。

(2)点検・評価

学部学生対象の地理学概論では、講義型式の授業以外に空中写真を使用した地形判読という課題を与え、グループによる実習形式を授業に取り入れ、受講生全員が積極的に授業参加できるように努めた。

同じく考古学や博物館資料論では、鳴門市から借用した土器を講義の中で活用し、遺跡からの出土土器の整理や修復および展示などの方法を学ばせた。また、2コマを利用して実際に石材から勾玉を作成させ、古代の装飾品の加工技術を習得させた。さらに、土曜日の午前中を利用して、徳島県埋蔵文化財センターで開催された県内発掘調査成果の講演会に受講生を参加させ、講演会終了後に、センター展示室の展示解説を行った。

大学院の地理学研究Ⅰでは、例年通り奈良文化財研究所や明日香村教育委員会等の協力を得て、8月末に1泊2日の飛鳥・藤原地域の巡検を実施し、日本・中国・朝鮮の都城をテーマとした講義内容に関す

る現地講義を行った。上記の授業内容は、いずれも受講生の高い評価を受けた。

 

1-2.大学教員としての社会貢献

(1)目標・計画

①研究活動によって蓄積された学識を基に、徳島県内の委員会・審議会に積極的に参加し、徳島県の文化財行政、県内の諸地域での史跡整備計画や文化財の保存・活用に貢献する。

②徳島県内や鳴門市内での講演や出張講義を積極的に受け入れ、教育研究会にもできる限り参加して意見を述べる。

(2)点検・評価

徳島県教育委員会が県内文化財の積極的活用を目指す「いにしえ夢街道県民会議」に副委員長として参画し、実施計画をまとめた。以前から実施してきた石井町の阿波国分尼寺や美馬市の郡里廃寺の整備委員会に委員長として参画し整備事業を進めた。また、今年度から徳島県埋蔵文化財センターの評議員となりセンターの管理・運営に対して指導・助言を行った。さらに、同じく今年度から国土地理院が主催する全国児童生徒地図作品展連絡協議会の会長となり、1月には国土交通省三井副大臣室で実施された表彰式に出席した。昨年11月には、徳島県教育委員会主催の市町村埋蔵文化財担当専門職員等研修会で講師として講演を行った。

 

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

①学生が主体的に授業に参加し、授業内容をよく理解できるように、従来から試みている実習形式の授業方法を継続し、さらに調べ学習・討論を中心とした演習形式の授業も取り入れる。

②学生の授業への関心度や授業内容理解度を向上させるために、これまでにも実施している休日を利用した授業内容に関連する現地巡検をでき得るかぎり実施する。

③担任として学生の進路、悩みごと等の相談に応じるとともに、勉強方法を指導し、社会人としての常識についても身につけさせるよう指導する。

(2)点検・評価

学部授業では、グループでの空中写真利用の地形判読や実際の石材を利用した古代の勾玉製作技術の習得など実習形式を取り入れた授業を実施し受講生の高い評価を得た。また、学部では、学生の授業内容の理解度向上や授業への関心度を高めるため、休日を利用して学外の講演会や博物館施設の見学などを実施した。また、大学院でも夏休みを利用した1泊2日の巡検を行い、授業内容に関する現地講義を行った。

学部3年生の担任として学外研修会に参加し、学生の就職指導などを行い、大学院の指導学生に対しては、修士論文作成に向けて計画的な資料収集など具体的な指導を展開した。

 

2-2.研究

(1)目標・計画

①従来からの研究テーマである日本・東アジア都城についてまとめ、学位論文とする。

②もう一つの研究課題である古代阿波国の条里と交通路についても調査研究を進めて論文等の成果品を提示する。

③①については、近畿圏の研究者との共同研究を進める。

(2)点検・評価

大阪時代から継続して来た研究テーマである日本および東アジア都城論については、「難波宮・京と宮都の歴史地理学研究」と題する学位論文(A4版約300頁)を昭和女子大学に提出し、3月に博士の学位(昭和女子大学乙第67号)を取得した。

また、日本都城に関しては、「日本都城における条坊制都城の成立とその政治・社会的要因」と題する論文を滋賀県立大学の林博通教授の退職記念論文集に執筆した。

もう1つの研究課題である古代阿波国の条里と交通路については、「古代阿波国吉野川下流域の歴史的景観」と題する論文を学会誌に執筆した。これら2編は6月に刊行されることになっている。

さらに、日本を含めた東アジア都城に関しては、大阪および東京で共同研究を進めた。

 

2-3.大学運営

(1)目標・計画

①前年度に引き続き、学内の委員会に参画し、本学の運営に貢献する。

(2)点検・評価

教授会、部会、コース会議に出席し職務を遂行した。学内委員会では、部を代表して施設整備委員会の委員を務め意見を述べた。

 

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

①前年度に引き続き、附属学校・地域社会との交流や連携を積極的に行い、地域社会に貢献する。

(2)点検・評価

11月26日に、徳島県教育委員会が主催する平成22年度第1回市町村埋蔵文化財担当専門職員等研修会(於:徳島県立埋蔵文化財総合センター)において、「古代阿波国の条里・道・荘園を考える」と題する講演を行った。また、徳島県教育委員会が平成20年から3ヵ年計画で進めて来た史跡等埋蔵文化財を核とした地域振興ネットワークの構築を目的とした「いにしえ夢街道県民会議」(副委員長)・同第2部会(委員)・同第3部会(委員長)、石井町教育委員会主催の阿波国分尼寺整備委員会(委員長)、美馬市教育委員会主催の郡里廃寺整備委員会(委員長)や鳴門市文化財審議会(委員長)などで専門的な立場から助言と事業の推進を行い、教育文化行政に積極的に協力した。

また、鳴門市教育委員会が進める「鳴門板野古墳群」の国史跡指定申請に向けての調査検討委員会(平成21年1月発足)では、副委員長として指導・助言を行った。さらに、徳島県立埋蔵文化財総合センターの評議員としてセンターの管理・運営について指導・助言を行った。

 

3.本学への総合的貢献(特記事項)

学会出張等を利用して本学の大学院定員確保のため他大学の教員に学生の社会系コースへの受験を積極的に依頼した。

 

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