自己点検・評価報告書(杉浦裕子)

報告者 杉浦裕子

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

○二年目となる今年度は、教員を目指す(あるいは現職の教員の)学生にどう資することができるかという視点から英文学の講義を担当し、確かな読解力と幅広い視野を獲得して貰えるような授業を行うことが目標である。
○具体的には、①文学作品の精読を通じて英語をコンテキストとともに理解し、また背景の文化についての理解も深める。 ②その実践方法として、目で文字を読むだけでなく特に劇作品などは声に出して英語のニュアンスを体感する。 背景にある情報をこちらから提供したり、受講生に調べて発表してもらう。 ③発表、ディスカッション、試験、レポートなどをもとに、各自の取り組みを総合評価する。

(2)点検・評価

○学部・大学院の英文学の授業を通して、たくさんの英文を読むことを学生に課し、また学生もよく予習をしてくれたので英文読解力を鍛えることができたと思う。

○①授業内容として、「英文講読」や「英米文学研究」「英米文化研究」では英文の精読を行い、適宜背景・文化の説明を行った。「英語基礎研究」では英文を頭から読みこなすための文法のコツをおさらいした。②特記すべき授業実践方法として、「英米文学研究」では現代劇の精読とロールプレイイングを通して、セリフの背後の感情、セリフそのもの、そしてセリフを口に出したときの音声の3つを統合する作業を学生にしてもらい、とくに手ごたえのある授業であった。③評価は発表・ディスカッション・ロールプレイ等の授業中の取り組み、試験・レポート、出席をもとに厳正に評価した。

 

1-2.大学教員としての社会貢献

(1)目標・計画

○地域連携センター主催の公開講座(本学開催分)、また松茂町立図書館での大学連携講座などを通じて、自身の英国演劇に関する研究を一般市民に親しみやすい形で紹介する。

○教育支援アドバイザー制度に登録し、需要があれば地域の中・高などで生徒、教師、保護者を対象に、学校教育に資することのできそうな文学講義をする。

(2)点検・評価

○地域連携センター主催の公開講座では、受講申し込みが5人以下だったので閉講することもできたが、前田先生と地域連携センターと協議の上、少人数でも受講希望者がいるなら、ということで実施した。当日の欠席者もいたので益々人数は減ったが、講義そのものは大人数を相手にする場合となんら変わらない手抜かりない準備をして行い、受講者にも満足戴いた。

○松茂町立図書館での大学連携講座を担当させてもらい、シェイクスピア劇を親しみやすい形で町民の皆さまに紹介した。 好評を得て、来年度の講座の依頼も頂いた。

○教育支援アドバイザーに登録したが、要請はなかった。

 

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

○初年度であった昨年に、英語コースの学生を中心にコミュニケーションをとりつつ、ある程度スケジュールやカリキュラムを把握できたので、今年はより一層幅広い学生に適格な助言をできるようにする。 具体的には、来年担任をする一年生に対しての履修助言や、教育実習中、教員採用試験前の励まし、ゼミなどを通じて学生の生活と勉学を支援する。

(2)点検・評価

○一年生の担任として、新入生合宿研修、専修分け指導、学習キャリアノートの提出と面談、一年生だけのお茶会、日ごろの授業、その他の助言を通して、年間を通じて一年生の様子の把握に努めた。

一年生同士は非常に仲良くやっているし、今のところ特に問題を抱えることもなく勉強や留学への意識も非常に高いので安心している。今後も学年担任として支援していきたい。

○今年から大学院、学部のゼミ生を担当し、来年の卒業論文と修士論文の作成に向けて計画的かつかなり丁寧に指導している。

○教育実習中は、昨年よりも頻繁に附属中・附属小に様子を見に行った。

 

2-2.研究

(1)目標・計画

○平成20年度から科研費の共同研究として行っているシェイクスピアの材源・改作に関する研究を引き続き行う。 今年度はコリン・シバーの『リチャード3世』の研究を進める。 また、昨年度にこの研究会で扱ったウィリアム・ペインターの『ロミオとジュリエッタ』の翻訳をとりまとめ、解説をつけて紀要などで発表する。

○秋のシェイクスピア学会での研究発表を目指す。これがかなわない場合は英文学会の支部大会かどこかで学会発表をする。

○昨年度申請した科研費の若手研究が不採択だった場合、もう一度申請内容を考え直した上で再申請する。

○トマス・グラバーの伝記の翻訳(岩波書店から出版予定)を完成させる。

○授業に資するため現代演劇についての知識を得る。

(2)点検・評価

○鹿児島近代初期演劇研究会として、引き続き科研費の共同研究を行いつつ、昨年度に翻訳したウィリアム・ペインターの『ロミオとジュリエッタ』に解説をつけて、本学の紀要で発表した。

○10月に日本英文学会九州支部大会(於:九州大学)で「劇場戦争前後の『お気に召すまま』と『終わりよければすべてよし』」というタイトルで発表を行った。

○新たにエリザベス朝研究会のメンバーになって、5月には発表を行った他、この研究会のメンバーで科研費の共同研究に応募した。

○『トマス・グラバー伝』の翻訳は完成し、今は印刷を待っている状態である。

○イギリスの現代演劇の作家と作品の知識を深め、学部や大学院の授業で現代劇を講読して還元するとともに、自らの研究や比較対象の幅を広げた。

○『西洋思想史事典』の翻訳を依頼され、訳稿を完成させた。

 

2-3.大学運営

(1)目標・計画

○英語コースの中で果たせる役割の幅を広げ、コースに貢献する。

○担当の委員会(地域連携委員会、図書館運営委員会、教職実践演習委員会)の仕事を粛々と行う。

○モデル・コアカリキュラム開発チームのメンバーとして、カリキュラムに関する知見を広げる。

(2)点検・評価

○英語コースの中では、昨年よりもコースの運営に貢献できた。

○担当の委員会の仕事を粛々と行い、鳴風会の幹事長の役目も、他の幹事の方々の助けを受けながら務めることができた。

○モデル・コアカリキュラム開発チームのメンバーとしては、研究協議会に参加できたときもあったが、引越しや出張と重なって参加できないことも何度かあった。

 

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

○附属学校での研究会参加や教育実習見学や授業を通して大学と附属学校の連携を図る。

○公開講座を通じて社会との連携に貢献する。

○2010年3月に語学研修の引率としていくオーストラリアのアデレードで学生とともに国際交流をはかり、その経験を帰国後学生たちに伝え、今年度の研修参加者を募る。

(2)点検・評価

○研究会の参加、教育実習見学、観察実習引率、コアカリキュラムの授業を通して附属中学校、附属小学校との連携を図った。

○附属中学校でLFタイムの講義を行った。

○公開講座を通して社会との連携を行った。

○留学を希望する学生の相談に乗った。

○2010年3月にオーストラリアのアデレード大学における学生の語学研修を引率し、研修中の学生をサポートし、現地の小・中学校とも交流を持った。また、帰国後はその体験を新一年生に伝え、2011年の研修にも新一年生が数多く参加する運びとなった。

 

3.本学への総合的貢献(特記事項)

 

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