自己点検・評価報告書(藪下克彦)

報告者 藪下克彦

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

①教育学部の教育内容学だからといって,妥協することなく,あくまで,教科の専門家としての教師として必要とされる専門性の高い内容を扱っていく。
②授業で扱う専門的内容を,小・中・高での教科教育との関連性を常に学生に意識させるような方法で提示していく。
③中間テスト,期末テストに,また,授業中に,専門的内容に関連する内容を小・中・高の生徒でも分かりやすく説明させるような問題を出題し,その結果を成績評価に反映させる。

(2)点検・評価

①現代言語学(生成文法)の基本的概念,方法論,知見を,特に,英語と日本語の具体例を通して紹介するスタイルを基本とした。

②私の授業内容の小・中・高の教科内容との直接的接点は英文法(指導)であるため,折に触れて,授業て扱う専門内容項目と英文法(指導)との関連に言及した。

③定期考査や期末試験レポートにおいて,専門的内容をそのまま問う問題のほかに,小・中・高の生徒が疑問に思うような問題を,専門的知識に基づいているが,専門用語や概念をそのまま用いるのではなく,小・中・高の生徒でも分かるように説明させる問題を課した。

 

1-2.大学教員としての社会貢献

(1)目標・計画

私の専門は理論言語学,その中でも,形式意味論である。社会との接点で一番分かりやすいのは,英語教育における文法指導である。最近,中高での英文法は,「暗記」科目になってしまい,それに伴い,その教育を受けた大学生の英文法の能力は目を覆うものがある。私は,担当しているいくつかの科目で,理解して覚える英文法指導を実践して,「初めて英文法が分かったような気がする」などの感想をもらい,好評を得ているが,その実践を私の科目の受講生だけでなく,もっと社会に広く還元できるような形で公表したいと考えている。

(2)点検・評価

2010年8月25日開催公開講座『英文法指導の言語学的基礎』において,「コミュニカティブ」な文法とはどんなものか?―情報伝達の観点からのひとつのアイデア―,という題目でセミナーを行った。現在の日本の英語教育において,学校でのそれかそうでないかに関わらず,一般的に「実践的コミュニケーション能力」の育成の名の下に,会話活動を重視して文法を軽視する風潮が有る。外国語学習において,文法が不可欠であることは自明のことである。しかし,それにも関わらず,文法が軽視されているのは,理解を伴わない暗記中心の「質の悪い」文法教育の現実と「とにかく会話練習すれば,英語ができるようになる」といった過った考え方の結果であることを確認し,「質の良い」文法教育,また,真のコミュニケーションに必要な文法とはどのようなものであるかについて提案を行った。その後,参加者全員でディスカッションを行った。

公開講座の数日後,参加者のひとりで幼児のための英会話教室を主催されている方から,講演内容を支持し,また,同僚の方にも内容を紹介し,さらには,ご自身のブログにも紹介してくださった旨のメールを頂いた。今回の公開講座で,英語教育における文法教育のあり方に関して私が社会に貢献することができることを再確認することができた。これからも,英文法教育に関する研究を進め,その知見を,公開講座だけでなく他の機会を利用して,広く社会に還元していきたいと思っている。

 

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

ゼミ生に対する論文指導を中心に,勉学はもちろんのこと,進路に関する相談,教採対策など,幅広く学生の教育・生活支援を行っていきたいと思っている。

(2)点検・評価

ゼミ生として学部4年生2人と学部3年生1人がいたが,4年生に関しては,小論文,模擬面接等の教採対策が功を奏したのかどうか定かではないが,幸いにも2人とも中学校の英語教員として正式採用された。3年生に関しては,卒論の指導を中心に学修指導をした。

 

2-2.研究

(1)目標・計画

①現在行っている日本語の「も」の様々な用法の統一的分析に関する研究を継続して行うが,その成果を内外の研究発表大会,学術誌で積極的に発表する予定である。

②科学研究費補助金などの研究助成の公募に申請し,学外資金の調達に努める。

(2)点検・評価

①研究成果を発表予定であった東北大学で開催された研究集会とレセプション班係,分科会司会として参加した本学で開催された第4回日中教師教育学術研究集会の日程が重なるなどして,残念ながら,計画通りに研究成果を発表,公表することができなかった。

②平成23年度科学研究費補助金の研究助成の公募に申請する予定であったが,準備が間に合わず,断念した。24年度の申請に向け,申請の準備,一部執筆を行った。

 

2-3.大学運営

(1)目標・計画

今年度、大学院入試委員,そして,モデルコア・カリキュラム調査研究委員会の一員としての業務を中心に大学運営に貢献する。

(2)点検・評価

①大学院入試委員会委員としての業務(10月16・17日に京都と大阪で開催されて学外説明会に修士課程教員代表として参加するなど)に真摯に取り組んだ。 

②本学が文部科学省より痛くされた先導的大学改革推進事業「教員養成に関するモデルカリキュラムの作成に関する調査研究」の研究開発検討部会,モデルコア・カリキュラム調査研究委員会のメンバーとして,事業実施に携わった。

 

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

①授業(「教科教育実践」、研究授業)などの機会に、附属学校教員との交流を深め、共同研究の環境づくりに務める。(附属学校)

②大学と地域・社会また留学生との交流、相互理解を図りたい。特に,海外の学術交流協定大学との交流事業に積極的に参加したいと思っている。(社会連携、国際貢献)

(2)点検・評価

①研究授業も含め教育実習期間を中心に附属学校に何度か足を運んで,附属学校教員との交流を図ってきた。しかし,共同研究の実現までには至らなかった。

②国際交流としては,本学の外国人留学生の学業と生活をより楽しく,実り多いものにしたいという趣旨で,出来るだけ多くの留学生と交流しようと心がけている。授業のみならず,院生会主催の交流パーティーに出席したり,また,自分自身でも留学生のためにパーティーを開催した。また,12月11日,12日に本学で開催された第4回日中教師教育学術研究集会にレセプション班係,分科会司会として参加し,教師教育に関する知見を深めるだけでなく,北京師範大学を中心とした中国からの参加者と意見交換,レセプションでの交流を通して,国際交流に貢献することができた。

 

3.本学への総合的貢献(特記事項)

本学が文部科学省より委託された先導的大学改革推進事業「教員養成に関するモデルカリキュラムの作成に関する調査研究」の研究開発検討部会,モデルコア・カリキュラム調査研究委員会のメンバーとして,事業実施に貢献することができた。 

 

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