自己点検・評価報告書(前田一平)

報告者 前田一平

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

①授業内容:英語教員養成の中でも「内容学」と呼ばれるアメリカ文学に携わる立場にあるが、このことの利点は、小手先の英語教育技術を越えて、英語で書かれた物語を読む「読解力」「思考力」および「表現力」を養う授業を実施できるということである。この利点を生かした上記三つの能力養成を意識した授業内容を展開する。
②授業方法:上記三つの能力はいずれも「他者」を慮る姿勢が基本にある。物語の中で、ある人物はなぜ泣いているのか、なぜ何も言わないのかなどを問うことは常に他者へ配慮することである。このような問を発することによって、受講生と議論を展開し、発言を誘発する授業方法をとる。
③成績評価:知識の数量や暗記力を確認する評価ではなく、「読む」という行為に根ざした能力、たとえば「まとめる力」や「理解する力」あるいは「表現する力」を評価する。

(2)点検・評価

①授業内容については、目標・計画どおり「読んで、考えて、表現する」ことを受講生に意識的に実践させた。本学学生は学部・大学院のいずれにおいても、これら三つの能力に著しく欠けていることを知り、来年度はこの指導をさらに強化する予定である。

②授業方法については、①と同様に、計画どおりの方法を採ったが、やはり受講生の読解力不足は著しく目立った。

③成績評価については、ふたつのクラスで教科書およびハンドアウト持ち込みで試験を実施した。それでも、教科書に書かれていることを「まとめる」力は弱く、「読解力」養成は継続の必要な教育課題であることを認識した。

 

1-2.大学教員としての社会貢献

(1)目標・計画

①要な学会の要職において、学会の運営に携わる(日本ヘミングウェイ協会事務局長および評議員、日本英文学会中国四国支部理事、中・四国アメリカ文学会評議員)。

(2)点検・評価

①以下の学会要職を務めた。日本アメリカ文学会大会運営委員、日本ヘミングウェイ協会評議員・事務局長・編集委員会選考委員、アジア系アメリカ文学会編集委員、日本英文学会中国・四国支部理事、中・四国アメリカ文学会評議員。

②「日本アメリカ学会ニューズレター」および学術誌「英文学研究」(日本英文学会)に書評を掲載した。

 

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

①教育に関しては I-1 で示したとおりであるが、授業以外ではゼミ生の教員採用試験合格に向けて指導を強化する。また、授業に新聞記事を導入し、時事問題や教育問題について学生の理解を促すことを継続する。

②ゼミ生を中心に学生の生活全般にわたり注意を払う。

③留学を促す。

(2)点検・評価

①教員採用試験指導の結果、英語コースとしては学部と大学院のいずれの卒業者、修了者とも教職に就いた。担当ゼミ生としては、徳島県小学校教員に正採用、徳島県中学校に臨時採用という結果であった。

②学生生活支援においては、常に注意を払ってきたので、特に心身両面において問題になることはなかった。

③留学については、コースをあげて支援しているところであり、オーストラリア、アメリカ、ドイツに数名の学生が留学した。

 

2-2.研究

(1)目標・計画

①ライフ・ワークのヘミングウェイ研究は昨年、博士論文および単著という形でまとめることができたので、新たなテーマを設定して研究を再開する。日本ヘミングウェイ協会の事務局長として、日本におけるヘミングウェイ研究に尽力する。

②アジア系アメリカ文学研究会との関係をより密にして、特に日系アメリカ文学研究を推進する。

③申請中の科研が採択されれば、その研究に専心する。不採択であれば、再度応募する。

④研究課題であるヘミングウェイ研究および日系アメリカ文学研究に関して、学会発表をする。

(2)点検・評価

①学会の要職を務めたことはI-2に述べた。ヘミングウェイ研究としては『ヘミングウェイ事典』の編集に携わり、『ヘミングウェイ没後50周年記念論集』の出版を手掛けた。

②アジア系アメリカ文学会でも編集委員という要職に就いた。中国系と日系アメリカ人を描くJamie Ford著Hotel on the Corner of Bitter and Sweetの翻訳を終え、出版社(集英社)に原稿を渡した。

③科研は不採択であった。応募方法を再考するため、申請は控えた。

④ヘミングウェイ研究では『ヘミングウェイ没後50周年記念論集』に論文を投稿した。日系アメリカ文学研究では前項の小説翻訳を完成させた。

 

2-3.大学運営

(1)目標・計画

①新たに選任される学内各種委員会の委員として大学運営に尽力する。

②小学校英語教育センター所長(再任なれば)として、同センターの運営に尽力する。

③言語系コース(英語)の教授として、コースの運営にあたる。

(2)点検・評価

①大学院教務委員、予算・財務管理委員、大学公開委員として大学運営に携わった。

②小学校英語教育センター所長の任期を終え、任務を終了した。

③コース幹事を務めた。

 

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

①附属学校との連携:教育実習や研究授業等に参加する。

②社会との連携:教育支援講師として依頼があれば積極的に応じる。

③国際交流:本学学生に海外姉妹校への留学を奨励する。

(2)点検・評価

①附属小・中学校の教育実習に参加した。

②教育支援講師に登録したが、依頼はなかった。

③国際交流としては、Ⅱ‐1で挙げた学生の留学のほかに、自ら米国ワシントン大学の教授およびWing Luke Asian Museum館員との交流をはかった。

 

3.本学への総合的貢献(特記事項)

①個人の貢献だけではなく英語コース全体の貢献として、学部・大学院学生の教員採用状況100%(1人は本学大学院進学)という結果は特記すべき貢献かと思われる。

②『ニューヨークタイムズ』のブックレビューでベストセラー入りしたアメリカの現代小説の翻訳について、集英社が出版を引き受け、日本における翻訳版権を取得してくれたことは、研究上、本学への貢献につながるものと思える。出版は平成23年秋の予定である。 

 

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