自己点検・評価報告書(永田良太)

報告者 永田良太

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

高度な教育の専門性と実践力および豊かな人間性を培うために,以下の点を意識しつつ,授業を実践していきたい。
まず,「授業内容」(①)に関して,「音声学」,「語彙論」,「日本語文法」など,教育実践を行うための基礎的な知識を授けるとともに,習得上の問題点についての理解も深めたい。そのための「授業方法」(②)として,日本語学習者でもある留学生とのディスカッションを積極的に取り入れ,より実践に即した形での知識の習得に努めたい。
「成績評価」(③)に際しては,ディスカッションへの参加やレポート等,複合的な視点から評価を行う。レポートに関しては,知識の深化とともに,教育実践との関わりについて,受講者自身が深めることができるような課題を課したい。

(2)点検・評価

授業では,教育実践のための専門的知識の習得に留まらず,留学生とのディスカッションを積極的に取り入れることで,習得上および指導上の問題点について理解を深めることができた。ディスカッションに際しては,留学生のみならず,現職教員や日本語教師など,様々な立場の受講生の参加が得られたため,議論を深めることができた。

また,評価に関しては,受講生自身が深化させた問題意識にもとづくレポートに加えて,授業中の活動やディスカッションについても評価の対象とすることで,受講生の学習意欲を高めるとともに,学習の達成度を多面的に測ることが出来た。授業評価アンケートからも,受講生がそれぞれ,教育実践への高い意識を持って主体的に授業に取り組んだことがうかがわれる。

 

1-2.大学教員としての社会貢献

(1)目標・計画

社会への還元・貢献に関して,①公開講座の実施,②教育支援講師への登録,③地域日本語教室への参加,という3点を中心に取り組みたい。

①に関して,コースの教員とともに「徳島方言」に関する公開講座を実施する予定である。本講座を通して,方言の面白さ,奥深さを市民の方々と共有したい。

②に関して,教育支援講師への登録を継続して行うとともに,要請があれば講演を行い,日本語の面白さを市民の方々に伝えたい。

③に関して,鳴門国際交流協会と連携して開設してきた地域日本語教室への参加を継続して行う予定である。本教室は,鳴門市在住の外国人を対象にしたものであるが,学生とともに支援にあたることで,多文化共生社会の実現に貢献したい。

(2)点検・評価

①に関して,コースの教員とともに,徳島方言についての公開講座を実施した。アンケート結果から,方言の面白さ・奥深さを市民の方々と共有することができたことがうかがわれる。②に関しては,教育支援講師への登録を行うとともに,日本語教育に関する市民からの相談にも個別に応じた。③に関しては,鳴門国際交流協会と連携して開設している地域日本語教室に学生とともに参加し,鳴門市在住の外国人に対する日本語の支援を行った。

 

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

指導学生に対して,教員採用試験や学会発表などの目標を早期に意識化させることで就職および学習・研究に対する動機づけを行う。また,地域の日本語教室など,学生が日本語指導に携わる機会を学外にも多く設けることで,学生の教育実践力の向上に努めたい。

(2)点検・評価

教員採用試験や学会発表といった目標を,指導学生に早期に意識化させて指導を行った結果,学部生・大学院生ともに学習意欲が高まり,研究を深化させることができた。また,鳴門市在住の外国人を対象とした日本語教室など,日本語指導の機会を積極的に設けることで,地域における日本語教育の現状と問題点の理解を深めるとともに,教育実践力の育成を図った。

 

2-2.研究

(1)目標・計画

日本語教育に生かすため,日本語学習者のコミュニケーション上の問題点を,日本語母語話者と比較しつつ,明らかにする。具体的には,日本語学習者が会話中で情報要求をどのように実現しているかを談話資料にもとづきつつ解明する。

また,前年度,コースの教員と共同で行った,徳島方言の語彙を意味論的に解明するという研究テーマにも,引き続き,取り組みたい。さらに,これまでの研究成果をもとに科学研究費補助金に応募するなど,外部資金の獲得にも努めたい。

(2)点検・評価

談話における日本語学習者の言語行動(「繰り返し」と「言い換え」)について,日本語母語話者と比較することで,その特徴を明らかにした。また,コースの教員と共同で,徳島方言の動詞(「はめる」)について,意味論的に分析を行った。これらの研究成果はいずれも学会誌に投稿し,掲載された。さらに,これまでの研究成果をもとに,科学研究費補助金への申請を行い,外部資金の獲得にも努めた。

 

2-3.大学運営

(1)目標・計画

大学院入試委員として,大学院定員の充足のための広報活動や入試業務を遂行する。また,第4回日中教師教育学術研究集会の準備委員として,円滑な運営に努める。さらに,自らの専門を生かし,留学生の支援にも尽力するとともに各種の大学行事やコースの行事に積極的に関わりたい。

(2)点検・評価

大学院入試委員として,県外における大学院説明会への参加や他大学における大学院説明会の実施を通じて,大学院の定員確保に努めた。また,平成22年12月に本学で開催された第4回日中教師教育学術研究集会において,準備委員として尽力したほか,大学およびコースの各種行事にも積極的に参加した。

 

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

本年度は,特に社会貢献および国際交流に重点を置いて活動したい。まず,鳴門国際交流協会と連携して開設した日本語教室の運営にも関わり,鳴門市在住の外国人に対する日本語支援を行う。また,国際交流に関して,協定校等からの留学生を受け入れるとともに日本人学生との交流を積極的に促し,学生レベルでの国際交流の実現に努めるとともに,自らも海外の大学の研究者との交流を積極的に行いたい。

(2)点検・評価

鳴門国際交流協会とともに開設した日本語教室を通して,鳴門市在住の外国人に対する日本語支援に努めた。また,国際交流に関して,協定校等からの留学生を受け入れ,日本人学生との交流を促すとともに,自らも留学生や協定大学の研究者との交流を積極的に行った。

 

3.本学への総合的貢献(特記事項)

平成22年度の特記すべき事項として,国際交流および社会との連携が挙げられる。国際交流に関しては,北京師範大学や青島大学といった協定校からの学生を受け入れ,学生間の交流を図った。また,平成22年12月に開催された第4回日中教師教育学術研究集会では,北京師範大学をはじめとした中国の多くの研究者と交流を行った。社会との連携に関しては,地域日本語教室を通して,鳴門市在住の外国人の日本語支援に学生とともに携わった。

近年,大学における留学生の受け入れと国際交流の必要性はさらに高まりつつある。また,日本国内における外国人の増加に伴い,地域における日本語支援の必要性も高まりつつある。このように協定校をはじめとした海外の学生や研究者と積極的な交流活動を行うことができたこと,および,地域の日本語教育に貢献できたことは,平成22年度の成果として挙げられる。 

 

お問い合わせ

経営企画戦略課
電話:088-687-6032