自己点検・評価報告書(小野由美子)

報告者 小野由美子

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

①日本の公立学校に在籍する日本語を母語としない児童生徒は特別なニーズをもつ児童生徒であり,日本語によるコミュニケーションのスキルを獲得することは彼らにとって権利である。権利を保障するために専門的職業人として必要な第二言語習得の最新の理論と実践の成果を紹介し,教材開発力の育成を促す内容とし,
②実際にそうした児童生徒の支援を体験することを通して,自らの支援活動を批判的に振り返る方法を取る。
③成績評価は,従来から行っているように,自己評価,グループ評価,ルーブリック評価により,学生一人一人の学びを学生とともに多面的に評価する。
④国内外の人的リソースを最大限に活用して,学生の学びの場を国外にも広げるように試みる。

(2)点検・評価

①第二言語習得の理論や最近の異文化学習の実践に関する文献の購読を行った。

②今年度は、日本語教育分野の受講生が現場(鳴門西小学校)にいって日本語支援を行うことはあなかった。その理由は、留学生で日本語が外国語である、長期履修生で授業時間が詰まっている、仕事を持っているため、大学に来る日が限られている、というような理由である。その代りとして、学校現場を体験する機会を増やすことを意図して、学部生に協力を求めた。

③成績評価は公明性を高め、事前に評価の方法を明確にし、自己評価、ルーブリック評価を取り入れた。

④外国人特別講師による英語授業(James Williams)、インドネシア、アメリカで学生が授業するのを支援した。

 

1-2.大学教員としての社会貢献

(1)目標・計画

①徳島県内の学校に在籍する日本語を母語としない子どもへの支援を組織すること

②日本語を母語としない子どもたちを教える教員への指導助言を積極的に行い,有用な教材の紹介を行うこと。 

(2)点検・評価

①鳴門西小学校に入学した日本語を母語としない子どもの支援のため、ボランティア学生を募り、支援組織を立ち上げた。

②日米教員養成協議会国際フォーラム「多様なニーズを持った子どもたちのための支援教育」(JUSTEC:2010年7月25日於玉川大学)において指定討論者をつとめ、教員養成の立場からコメントした。発表後、会場から寄せられた質問に対する回答をJUSTECウエッブ上で公開している。 (http://justec.tamagawa.ac.jp/

 

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

①国際交流プログラム・コーディネータとして,生活,学業の面で,留学生の支援を行う。

②休部している茶道部を復活させるため,茶道サークルの活性化を図る。

③留学生・JICA研修員と学生・院生との教育交流を活発化させる。

④日本語教育分野の学生には,学内外で日本語学習支援に積極的にかかわる機会を作りだす。

(2)点検・評価

①留学生の日本語学習、家族の就学、学校との連絡を支援した。また、海外の研究者が鳴門を訪問する折には、JICA長期研修員、教員研修留学生が英語により指導を受けられるよう機会を設けた(James Williams, Carol Merz, John Rogan)。

②茶道同好会「一期一会」を立ち上げ、裏千家淡交会徳島支部の支援を得て、毎週1回、稽古を続けている。

③新留学生の歓迎会の企画・実施支援、大学祭ファッションショー実施を通して、本学留学生と日本人学生との交流を深める機会を提供している。

④本学で実施するJICA受け入れ研修において、日本文化理解の一助として、茶道同好会、日本語教育分野学生の協力を得て、茶道体験、日本語学習体験を組み込み、相互理解を深めた。研修員、日本人学生双方から、高く評価された。

⑤アフガニスタン研修員と教職大学院学生との交流を企画実施した。

 

2-2.研究

(1)目標・計画

①教師の継続的職能開発というテーマを通して,途上国,先進国の研究者と行っている共同研究の成果を国際学会で発表する。

②学生や現職教員の変容的学習の契機としての異文化体験に関する研究を行う。

(2)点検・評価

①これまでの研究をInternational Journal of Intercultural communication(共著:第3著者), Journal of Professional Development(共著:第1著者)に投稿し、掲載された。

②科研(挑戦的萌芽研究)に採択された。

③これまでの成果をもとに、新たな共同研究プロジェクト(KAIZEN)を立ち上げ、研究計画、教材開発を行った。2012年、南アフリカの学会で発表予定。

 

2-3.大学運営

(1)目標・計画

①国際交流委員として,留学生の学修,生活の向上に努力し,本学の国際交流に尽力する。

②大学の国際化のため,途上国・先進国の人的ネットワークを活用し,英語による授業,セミナー,ワークショップ,シンポジウムの企画を積極的に提言する。

(2)点検・評価

①日本語能力試験の受験を希望する留学生の意思を尊重し、ボランティアによる受験対策クラスを 立ち上げた。

②留学生の学修(例:英語によるアンケート作成、参考文献の提供など)、生活(就学児童、就学援助などに関する事務手続き)に関係し、アドバイスと実質的な支援を行った。

③教員教育国際協力センターの内部評価委員として、センター事業の評価を行った。また、国際教育コースのカリキュラム改革では、インターネットを用いた遠隔教育の必要性を提言した。センター主催の国際教育フォーラムにおいて、教員養成の視点から、国際理解教育について提言を行った。

 

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

①附属学校園からの指導助言及びLFタイムなどにおける講演等の依頼には、積極的に対応する(特に特別支援学校の学校概要の英訳など)

②アフガニスタン国教師教育強化プロジェクトに短期専門家として参加する。

(2)点検・評価

①附属学校等からは特に講演依頼はなかった。

②アフガニスタン国教師教育強化プロジェクト、識字教育強化プロジェクトに短期専門家として参加し プロジェクト遂行に尽力した。

③「第3回インドネシア国際授業研究大会」において基調講演を行った。また大会プログラムの一環として、本学大学院生(窪地育哉氏)がインドネシアの中学校において、英語で理科の授業を行うよう企画し、実施を助けた。同大学院生は、その成果を第2回東アジア教師教育学会において共同発表した。本学大学院生を4名同行した。その研修の成果を報告書にまとめた。

④本学大学院生(3名)を科研調査補助員として南アフリカに同行し、国際的な視野を広げるのを助けた。その研修体験を報告書にまとめた。

⑤5月と11月に、フレンドシップ・プログラム(日米の教員養成プログラムの学生の相互訪問)を実施した。5月にはアメリカから学生を5名受け入れ、鳴門西小学校で授業するのを支援した。11月には本学学生(学部2、大学院1)が、アメリカの小学校で授業をするのを、授業案作成、模擬授業、授業検討会のすべての過程で支援した。

 

3.本学への総合的貢献(特記事項)

本学で学ぶ大学院生、学部生に対して、大学の内外で、国際的体験をするように企画し、支援した。

l  JICA受け入れ研修での「日本語体験」、「茶道体験」、教職大学院生との意見交換会

l  インドネシア授業研究大会への参加(大学院生4名)と、現地中学校での理科授業(窪地)支援

l  大学院生(3名)が、南アフリカの農村で聞き取り調査をする機会を提供。差別の歴史、教育の意味を考えさせる機会となった。

l  学部生・大学院生(3名)がアメリカの小学校での授業を念頭に、教材研究、授業案づくり、教材作成、模擬授業を行うのを支援し、授業を成功させることで自信を得た。また教職への動機づけを高めることに成功した。

l  ケニアの研修を受注した。

 

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