自己点検・評価報告書(村井万里子)

報告者 村井万里子

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

教員養成のための授業の要件として、自らの取り組みを以下の目標のもとに行う。
①授業内容:国語科指導の基礎となる目標・方法・評価のあり方について具体的な実技・演習を交えた授業内容を構築する。言語の意義・働きの基礎論にもとづく学習指導要領の理解を深める。
②授業方法:4つの言語活動を国語指導力の要として捉える力量形成を行う。とくに「聞く力・書く力」の評価力の養成に重点をおいて実践的な方法をとる。
③成績評価:従来行ってきた授業内容の節目ごとの小レポート、作文評価の実験による演習、終末のレポート試験の実施及び解説を継続する。またあらたに音読の演習と評価、板書・視写項目の評価を試み、評価法の開発の第一歩を踏み出す。
④学生に広がっている「コピ-&ペイスト」問題に取り組む。

(2)点検・評価

目標とした4つの達成度は、大まかではあるが、①と②は100%以上、③は90%、④は70%である。

①前期・後期学部授業・大学院授業、ともに、具体的な実技・演習を交えた指導を行い、目標・方法・評価のあり方について、手応えを得た。

②「聞く力・書く力」について、個別の把握についてはこれまでのやり方で前進できることがわかった。ただし、一般化については糸口をつかんだ第一段階である。

③目標前半は100%実施した。後半部は、「演習」実施の際、具体的評価を行い、学生から個別の手応えを得た。方法論の一般化が②と同じく次の課題である。

④後期の学部授業で課したレポート(ワープロA4)を精査したが、問題となっている倫理性に関わる「コピペ」は見られなかった。しかしレポート材料となるデータがwebで調達されている例は複数見られる。書物でデータをさがす過程で養われる力と、Web活用で育つ力を明確に捉える必要がある。

 

1-2.大学教員としての社会貢献

(1)目標・計画

1.教育支援アドバイザー制度を有効に活用して、県内の小・中学校からの養成に積極的に応える。

2.毎月行っている「徳島国語教育研究会月例会」の実践を継続し、その充実発展をはかる。

3.第119回全国大学国語教育学会(鳴門大会)の内容を充実させ、県内の国語教育実践者に広く広報し、その教育実践研究に有力な示唆をもたらすようにつとめる。

4.第11回徳島国語教育実践研究大会を開催し、これを通じて県内諸学校の言語・国語実践者との交流を維持・発展させる。

5.継続して積み上げてきた「書く力・読む力・聞く力」の養成と評価の方法の研究をより進展させ、その成果を機会を捉えて実践者・研究者に伝え、その練度を高めていく。 

(2)点検・評価

目標1:「支援アドバイザー」制度ではなかったが、徳島県総合教育センターの夏期講習講師を依頼され、作文指導の基礎となる「発達をふまえた作文読解・評価」の講義を行って好評を得た。平成23年度は、その続きを依頼されている。

目標2:月例会は毎月充実した内容であった。ただし夏休み一日研修は実施できなかった。

目標3:第119回全国大学国語教育学会(鳴門大会)を、計画にしたがい準備し、予定どおり行った。

目標4:同僚教員の協力を得て、予定どおり実施できた。ただし個人的事情(父の訃報)により、当日不参加となった。大会そのものの成果は、順調に蓄積されている。分野別発表の導入が功を奏した。

目標5:目標に掲げた項目のうち、「書く力」評価の研究成果は、「先導的大学教育改革」の事業内容に生かす方向で認められつつある。

 

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

1.平成22年度新入生の担任として、彼らの勉学と学制生活のバックアップを積極的に行う。

2.学部ゼミ生(4年生・3年生)の実習・卒業論文研究・採用試験の指導・支援をはかる。

3.博士課程院生(3年目)の指導を充実し研究の進展をうながす。

4.国語科学部・院生全体の協力と親睦をはかり、コース長及びコース教員と力を合わせて国語コースの充実・発展に寄与する。

(2)点検・評価

目標1:平成22年度入学生を対象とする前期の授業で、文集1を作成し、後期は毎週短時間HRをもち3月はじめに文集2を作成した。

目標2:4年生(2名)の卒業研究、3年生(1名)の個人研究を指導・助言した。

目標3:博士課程院生(3年目)は、A論文5本目を達成するという快挙を成し遂げた。来年度博士課程4年目「博士論文執筆」に向けて、3月3日に兵庫から副指導教員を招き特別演習を実施した。

目標4:学部4年生は、担任物故の不幸に耐え、後任担任の指導のよろしきを得て勉学に励み、採用試験合格に向けても健闘した(正採用7名)。

 

2-2.研究

(1)目標・計画

1.4年間かけて準備・計画してきた理論の総括としての論文の執筆を継続するようつとめる。

2.第119回全国大学国語教育学会(鳴門大会)の企画・経営を、コース内学会員と協力して行い、国語科教育の研究の進展をはかる。

3.これまで継続してきた研究分担者としての科研への参加を通じて得た知見を報告書にまとめる。

4.継続してきた「発達科研」を一次中断し、独自の研究構想を準備する。

(2)点検・評価

上記4つのうち、2は達成し、学会誌編集長もつとめたが1.3.4.は達成できなかった。しかし目標にない下記2つの事業に参加することを命じられた。①②とも、これまで取り組んできた教育研究の成果を生かすことのできる内容であり、充実感をもって取り組むことができた。

①日本教育大学協会特別研究助成「教員養成における『教科内容学』研究」

②文部科学省「平成22-23年度 先導的大学改革推進受託事業」(「教科専門と教科教育を架橋する教育研究領域に関する調査研究」)

この2つは、三大学(上越・兵庫・鳴門)協力事業であるため、教科の責任者に指名された。

 

2-3.大学運営

(1)目標・計画

1.モデルコアカリキュラム開発の一委員として、大学全体の研究に積極的に寄与する。

2.コースの教育・研究環境をととのえ、コース内の個人だけでなく、コースが全体として大学運営に協力できるよう、意見交換・協議を密にする。

(2)点検・評価

目標1・モデルコアカリキュラム開発は、通常の参加の仕方であったが、研究欄で述べた①日本教育大学協会特別研究助成「教員養成における『教科内容学』研究」、②文部科学省「先導的大学改革推進受託事業」(「教科専門と教科教育を架橋する教育研究領域に関する調査研究」)は、大学運営に関わる事業であるとの自覚のもとに、仕事をした。

目標2・コース長が今年度から評議委員を兼ね、これにコース全体が協力をした。若手准教授3名が大学運営の具体的な担い手としても活躍した。

目標外:連合大学院の担当教員として、院生指導に力を注ぐとともに、通常の入試業務などの仕事にたずさわった。

 

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

1.教育実践フィールド研究を通じて、附属小・中学校との連携を密に行う。

2.これまでと同じく、附属学校の研究に協力を惜しまない。

3.学部附属国語科連絡協議会を通じて意見交換を密に行う。

4.京仁教育大学国語科と行ってきた日韓国語教育セミナーのあり方を総括し、次の段階への発展の道をさぐる。

(2)点検・評価

目標1・教育実践フィールド研究は、附属教員の協力のもと、附属中学校をフィールドとして3時間の授業(現職院生3名ただし、小・中・高)、その他院生1名)を実施することができた。

目標2・3 学部生実地授業で学生指導に協力を仰ぎ、学生の様子を把握することができた。

目標4・本年度中断した研究交流の再開に向けてとくに具体的進展はなかったが、3月11日に発生した東北関東大地震・津波災害、及び原子力発電事故について、京仁教育大学校国語教育学科長 李昌徳(イ・チャンドク)教授(外一同)から「お見舞いのメイル」を3月17日に受け取り、これに対して翌日3月18日に、お礼のメイルを返した。返礼のメイル本文の韓国語訳に関しては、家庭科教育コース金貞均教授の協力を得た。京仁教育大学国語教育学科からの韓国語メイル本文(日本語訳つき)は以下のとおり。

「鳴門教育大学語文系教授方へ/日本東北方面の地震と海溢と原電事故によってひどい苦痛をあじわっている日本国民と今回の災難にあって傷心が大きくなったはずの鳴門教育大学語文系教授方に慰労と激励を送ります。災難に勝ってがんばるようになることを京仁教大国語科教授一同が厚い友情で切に祈ります。」

このお見舞いメイルへのお礼メイルを、韓国語及び日本語の両言語で返信した。(返信本文省略)

 

3.本学への総合的貢献(特記事項)

国語科の9割のメンバーが、学内全体の仕事に具体的に協力をしている。各人の担当する仕事の一端は、十分な時間はとりづらいがコース会議等で交流し得ていて、これが相互理解と本学の役割の自覚に役立っている。

 

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