自己点検・評価報告書(島田恭仁)

報告者 島田恭仁

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

①学部においては次のような授業を行いたい。【授業内容】知的障害や発達障害の特性に関する重要事項についての知識の定着を図る。【授業方法】講義形式を基本とするが,必要に応じて視覚的な教材を取り入れる。但し,パワーポイントで大量の情報を呈示することは避け,視覚刺激が過多になりすぎないように配慮する。【成績評価】論作文による評価を行い,知識の定着度のみでなく文章表現力を見る。
②大学院においては次のような授業を行いたい。【授業内容】知的障害児や発達障害児を対象にした心理学的アセスメントと指導の技法について,知識の定着を図る。【授業方法】講義形式と演習形式を基本とするが,心理学的アセスメントに関する実習を豊富に取り入れる。実習に際しては適度な量の視覚的教材を取り入れ,理解の深化を図る。【成績評価】論作文による評価を行い,知識の定着度のみでなく文章表現力を見る。

(2)点検・評価

①学部の後期の単独担当科目において,上述の方法に依拠した授業を行った。「知的障害者の心理」では知的障害児者の心理特性について,「重複・LD等の特性」ではディスレクシアなどの発達障害児の心理特性についての知識の定着を図ることができた。

②大学院の前期・後期の単独担当科目において,上述の方法に依拠した授業を行った。「特別支援教育学習心理学研究論」では,学習困難が生じる心理学的背景とアセスメントについての知識の定着を図り,授業評価では「専門的知識を深めるのに役立った」の平均評価点が5.0,「実践力の育成につながった」の平均評価点が4.9となり,授業の目標を達成できた。「特別支援教育学習支援演習」では,検査法についての実習をふまえて,発達障害児の個別指導計画を立案する実践的な技能の向上を図ることができた。

 

1-2.大学教員としての社会貢献

(1)目標・計画

認知心理学的な理論と障害児指導法とのリンクを形成する研究を中心に行い,その成果を特別支援教育の実践現場に還元する。具体的には,教育委員会・公立諸学校・附属特別支援学校等との連携の元に,研修型コンサルテーションの充実を図ると共に,スクールサイコロジストとしての間接的な支援や直接的な支援を実践現場に提供できるようにしたい。 

(2)点検・評価

県内町立小学校の学校教育研究会・特別支援教育研究会からの委託を受け,教育支援講師・アドバイザーとして町内の小学校へ赴き,発達障害児に対する認知心理学的指導法についての研修と間接支援を行った。また,徳島県立総合教育センターの特別支援教育専門家チーム員として,県内各所の公立小学校と特別支援学校へ赴き,通級指導と巡回相談のコンサルテーションを通して間接支援を行った。

 

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

①学部の授業科目においては,知的障害や発達障害の特性に関する重要事項を詳述し,特別支援学校の教員に求められる専門的な知識を涵養すると共に,研究と実践への動機付けを高める。

②大学院の授業科目においては,知的障害児や発達障害児を対象にした心理学的アセスメントと指導の技法を詳述し,特別支援教育の専修免許状や専門資格を持つにふさわしい知識を涵養し,研究と実践への動機付けを高める。

③学生及び院生に研究者としての自覚をもたせるため,本学在籍中の学会参加を奨励し,他大学の研究者と交流できる機会を提供する。

(2)点検・評価

①学部の特別支援教育のコア科目において,知的障害・発達障害の特性についての指導を行った。さらに,特別支援学校と特別支援学級の見学に引率し,研究と実践への動機付けを高めた。

②大学院の特別支援教育のコア科目(教育実践フィールド研究)の世話役を務め,知的障害・発達障害の特性についての指導を行った。特に,特別支援学校での実践を通じて,心理学的アセスメントと指導についての専門的な知識を涵養できた。

③大学院の授業科目「特別支援教育学習心理学研究論」においては,授業の総合評価の平均評価点が5.0となり,専門的な知識を涵養するという目標を達成できた。

④ゼミナールの院生に,全国規模の学会への参加を奨励し,開催日に所用のない院生は出席することを,慣例化することができた。

 

2-2.研究

(1)目標・計画

①情緒的に不安定で不登校傾向のある発達障害児に対して,物語の読み指導を通じて対人的な感情認知の促進を図る。さらに,そのような指導が事例のソーシャルスキルの向上に及ぼす効果について検討し,研究の成果を全国規模の学会において発表する。

②物語の内容についての記憶を増進する方略を使用することが,発達障害児の読み技能の向上に及ぼす直接的な効果と,コミュニケーション技能の改善に及ぼす汎化的な効果について,実験的な指導法を取り入れて検証を行う。その成果を論文にまとめて,学会誌または研究紀要に投稿する。

(2)点検・評価

①情緒的に不安定で不登校傾向のある発達障害児の対人的な感情認知の促進を図ることを目的にして,事例研究を実施した。さらに,その研究成果を全国規模の学会において発表した。

②広汎性発達障害児の対人的な感情認知の促進を図ることを目的にして,事例研究を実施した。さらに,その研究成果を全国規模の学会において発表した。

③発達障害児の読み技能とコミュニケーション技能の改善を図ることを目的にして,事例研究を実施した。その研究の成果を論文にまとめ,全国規模の学会の機関誌である学術雑誌に投稿した。

 

2-3.大学運営

(1)目標・計画

①学内における各種委員会の委員並びに大学評価のワーキングチーム員として,本学の運営に参画するとともに,特別支援教育専攻の教育研究内容のより一層の拡充を図る。

②大学院におけるフィールド研究の充実方策に対応するため,附属特別支援学校並びに協力校におけるフィールド研究担当者とともに,特別支援教育の現状と今後の課題について分析し,ユニークで斬新なフィールド研究を推進する。

(2)点検・評価

①各種委員会の委員を努めるとともに,大学評価の現況分析(教育)チームの委員を努め,確定評価のための準備作業に従事した。

②専攻内で大学院のフィールド研究の世話役になり,附属特別支援学校と公立小学校の協力校における実践研究の切り盛りを行った。特別支援教育の現状と今後の課題について分析した上で,知的障害児に対する支援ツール(教材等)を作成するなどの,ユニークで斬新なフィールド研究を推進した。その成果を23年度の成果報告会で発表することにした。 

③大学院におけるフィールド研究を通じて,特別支援教育の専門資格を取得するのに必要なポイントを取得する方策について,専攻内及び大学と協力校の担当者間で協議した。

 

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

①前年に引き続き,附属特別支援学校や公立諸学校における研修会に協力し,特別なニーズを有する児童生徒に対する支援のあり方について検討する。

②県や市の教育委員会と連携し,公立の小中学校に在籍する特別なニーズを有する児童生徒に対して,スクールサイコロジストとしての支援を提供する。具体的には,コンサルテーションを通じた間接的な支援やアセスメントと指導を通じた直接的な支援を行う。

(2)点検・評価

①夏季に開催した公開講座において,教育相談の部の世話役を担当し,特別支援学校教員,公立諸学校教員,及び保護者からの種々の相談事項に対応した。

②秋に特別支援教育の事例検討会を開催し,公立諸学校・附属特別支援学校からの多くの参加者と当専攻の修了者を対象にした公開講演会を実施するとともに,各種のワークショップを企画して,特別なニーズを有する児童生徒に対する支援のあり方について参加者とともに検討した。

③県内町立小学校の学校教育研究会・特別支援教育研究会からの委託を受け,教育支援講師・アドバイザーとして町内の小学校へ赴き,発達障害児に対する認知心理学的指導法についての研修と間接支援を行った。

④徳島県立総合教育センターの特別支援教育専門家チーム員として,県内各所の公立小学校と特別支援学校へ赴き,通級指導と巡回相談のコンサルテーションを行った。

 

3.本学への総合的貢献(特記事項)

今年度は,認知心理学的な理論と障害児指導法とのリンクを形成する研究を中心に行い,その成果を特別支援教育の実践現場に還元したという点において,総合的な貢献を行うことができた。公開講座や事例検討会での教育相談においても,教育支援講師アドバイザーや特別支援教育専門家チーム員としての活動においても,様々な事例に遭遇したが,教師・保護者・本人に対して,スクールサイコロジストとしての間接的・直接的な支援を提供することができた。教員個人としての研究や,修士論文・卒業論文の指導を通じて,理論と指導法とのリンクの有効性を検証したため,自身の特別支援教育の実践においても,それらの理論と指導法を活用できたのだと言える。

 

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