自己点検・評価報告書(藤村裕一)

報告者 藤村裕一

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

教師を目指す学生の「質保証」のために,下記の通りの授業を行う。
①授業内容
専門である情報教育及び教育の情報化に関して,人間教育として不易の部分と最先端の情勢を反映 した流行の部分の両面を盛り込んだ内容とする。
②授業方法
教員として身に付けるべき知識については繰り返し指導により定着を図り,理念・理論部分は講義と 共に学生自ら考え討論する場面や学校現場での実践に即したワークショップを取り入れる。
③成績評価
知識については筆記試験を厳正に行い,思考力・判断力については小論文や討論で評価し,一定水 準に達しない学生については,追試験を行うか追加レポートを課す

(2)点検・評価

①授業内容…学部の基礎情報教育及び,大学院情報教育総論・同特論Ⅰ・Ⅲにおいて,人間と情報との かかわりについて不易部分を盛り込むと共に,クラウドコンピューティング,Twitterなど最新の情報環境 や世界各国の先進事例に関する内容も取り入れて授業を行った。   
②授業方法…教員として身に付けるべき知識をプレゼン資料等で明示すると共に繰り返し指導し,情報教 育や教育の情報化の在り方に関しては,グループ討論や実践化のためのワークショップも行った。
③知識として理解しておくべきことについてはミニテストも行って定着を図り,各授業の最後には難易度が 高く思考力・判断力が要求される論文試験またはレポート課題を課し,行って水準に達しない学生には 追加レポートを課した。

 

1-2.大学教員としての社会貢献

(1)目標・計画

○文部科学省,総務省,経済産業省,NHK,JST等の各種委員として,研究成果を社会に還元する。
○全国の教育委員会と共同で,デジタルコンテンツの活用,情報モラル,情報セキュリティ,校務情報化等 の研修会を行う。
○学会発表・論文だけでなく,教員向け雑誌などで,研究成果の学校現場への普及を図る。

(2)点検・評価

○文部科学省では,「学校教育の情報化に関する懇談会教員支援WG」委員として「教育の情報化ビジョ ン」の策定を行ったり,文部科学省「情報モラル教育の在り方に関する調査研究委員会」主査として『情 報モラル教育実践ガイダンス』を作成し,全国すべての小・中学校のすべての学年に配布したりした。総 務省では,アプリケーション委員会教育WG主査として全国の指導要録等の電子化を規定した「教育情 報データ連係標準仕様」を策定したり,NHKのデジタル教材,ティーチャーズ・ ライブラリーなどを開発 したりして,学校や教育委員会に研究成果を還元した.
○徳島県,長崎県,島根県,宮崎県,仙台市,札幌市などの教育委員会と共同で,校務情報化,学校情 報セキュリティ,情報モラル等に関する研修会を実施した。
○雑誌『学校図書館』での連載記事,『社会科教育』などの教育の情報化に関する記事等で,最先端の研 究成果を紹介し,学校現場の先生方が学び日々の実践に生かすことができるようにした。

 

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

○現代教育課題総合コース担当の他の教員と連携し,これまでの教員採用試験担当経験を生かして,大 学院生の教員採用試験対策講座を実施する。  
○現代教育課題総合コースの学生に対してだけでなく,全学部生・大学院生を対象に,パソコン利用相談 ・メンテナンスサービスを行って,学生の研究活動を支援する。

(2)点検・評価

○現代教育課題総合コースの大学院生などを対象に,模擬面接指導と模擬授業指導を複数回にわたっ て行った。   
○全学の学部生・大学院生を対象に,パソコンやインターネット等のことで相談があったらいつでも相談に来るようにアナウンスし,数多くの学部生・大学院生のパソコンのメンテナンス作業やパソコン利用相談を行い,大変好評であった。

 

2-2.研究

(1)目標・計画

実証実験及び国内・海外先進事例調査に関する費用は,文部科学省・総務省・経済産業省・各種公的団体の委員会に参加することで予算を獲得して行うと共に,民間企業と共同研究を行い,必要な研究資金を獲得する。       
○教育用デジタルコンテンツに関する研究を深化し,その成果を科学技術振興機構の「理科ねっとわーく」 やNHKデジタル教材・ティーチャーズ・ライブラリー等に反映させる。
○国内外の校務情報化先進事例の調査を行い,校務情報化,学校情報セキュリティのモデルを提言する とともに,実証実験を行ってその可能性と課題を明確にする。
○情報学に基づく「人間教育としての情報教育」の在り方について調査・研究を進め,実証実験等を行う。

(2)点検・評価

○デジタル教材に関する研究を進め,単に教材を提示するだけでなく,その利用法をも含めて提供する授 業支援システムの開発を行った。また,本システムとタブレットPCなどの携帯情報端末を子どもと教師に 1人1台供与し活用する実証実験を提案し,NTT持株会社及び全NTTグループ企業に採択され,実証実 験事業費15億円を獲得した。その他,NHK等においてもデジタル教材の研究・開発を行った。
○韓国,イギリス,フランスでの先進事例調査を行うと共に,世界最大の教育工学会BETT Internationalに おいて,これまで研究成果をまとめ「Secure and Low Cost Cloud Computing for Education」として発 表し,世界最先端の教育クラウド研究であるとの評価を受けた。 また,この実証実験については,上記 NTTグループによる「教育スクウェア×ICT」事業で行うことになった。
○「人間教育としての情報教育」を宮崎県と長崎県において実践してもらい,データ分析を行い研究を進め た。また,千葉県教育委員会と協力し,千葉県立袖ヶ浦高等学校にの理念に基づく「情報コミュニケーシ ョン科」を新設させた。

 

2-3.大学運営

(1)目標・計画

○大学院における遠隔教育を遠隔教育推進室員や遠隔教育メンターと協力して推進し,教育委員会等に対して積極的に広報活動を行って,全国各地から科目等履修生を募る。

(2)点検・評価

○平成22年度に新設された「インターネット大学院検討委員会」委員,「インターネット大学院検討部会」 部会長,遠隔教育推進室長として,本学の遠隔教育のあり方について検討を進め,その成果を報告書 にまとめた。また,北野情報企画専門員,植林教務課職員(e-ラーニング担当)と連携し,インターネット 大学院へ向けた具体的な準備作業を精力的に進めた。それと平行して,教育委員会を訪問し,教育庁 や研修担当課長らに対して広報活動を行った。本年度は,在り方検討を最優先とし,科目等履修生の 募集は行わないこととした。

 

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

○附属養護学校をはじめ各附属学校の教育の情報化や情報モラル教育の推進や学校情報セキュリティ の向上に協力する。
○各種公的団体と連携し,情報モラル教育の推進や教育の情報化の推進を行う。
○世界最先端の校務情報化を行っている韓国教育学術情報院の研究者と連携し,校務情報化に関する 共同研究を行う。

(2)点検・評価

○附属養護学校の学校情報セキュリティに関する相談にのると共に,板野支援学校や城ノ内高等学校で 学校情報セキュリティ研修を実施した。 また,情報モラル研修を徳島県教育委員会を始め,全国各地 で行った。
○コンピュータ教育開発センター「親子のためのネット社会の歩き方セミナー検討委員会」委員長として, 情報モラル教育用Web教材「ネット社会の歩き方」や指導者用教材を開発し,情報モラル教育の実施を 支援する教師用教材を提供した。また,校務情報化に関しては,高松市,札幌市などの教育委員会のコ ンサルタントや民間企業のソフトウエア開発のアドバイザーを務め,校務情報化の推進に努めた。また, 携帯情報端末の学校での利用については,総務省の「地域雇用創造ICT絆プロジェクト」の評価委員と して,全国24地域での導入・活用を支援した。
○世界最先端の校務情報化システムに関して,韓国教育学術情報院のキム・ボソン氏を私が昨年度出向 していた東京工業大学へ招聘し,共同研究を行った。

 

3.本学への総合的貢献(特記事項)

インターネット大学院の在り方の検討及び具体的準備作業の進行で,大学改革に貢献することができた。
また,文部科学省・総務省等から校務情報化と学校情報セキュリティについては,鳴門教育大学の研究が最先端であるとの評価を受け,国の政策立案時の中核を担うことができた。
さらに,国際的にも教育クラウド研究では鳴門教育大学が最先端との評価を受け,海外にも鳴門教育大学の名を広げることに貢献することができた。   

 

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