自己点検・評価報告書(皆川直凡)

報告者 皆川直凡

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

単独ならびに本学大学院修了生(現職教員)等との共同によって推進してきた,協同的学習ならびに情操教育に関する認知心理学的研究を基盤として,高度な教育実践力と豊かな人間性を兼ね備えた教員の養成を目標とする教育活動を構想し実践する。具体的には,①学部ならびに大学院の担当科目において,上述の研究をふまえた教育実践を内容として授業を構成する。②視聴覚機器による教材提示と,学生の積極的反応を誘発するワークシートを有機的に結合させ,学生の理解を促し知識の定着をはかる。また,学生による発表や課題提出の機会を随時設定し,授業内外の自主学習を促す。③学生の授業への積極的態度を評価するとともに,日頃の学習成果を忠実に反映する試験問題を作成する。平常点と試験の得点を総合し,学生の努力と能力に見合った成績評価を行う。

(2)点検・評価

目標・計画の項に記載した教育活動を構想し実践した。具体的には,学部ならびに大学院の前期担当科目において,目標・計画の項に研究をふまえた教育実践を内容として授業を構成した。視聴覚機器による教材提示と,学生の積極的反応を誘発するワークシートを有機的に結合させ,学生の理解を促し知識の定着を図った。また,小課題提出の機会をほぼ毎回設け,発表機会も随時設けて,授業内外の自主学習を促した。学生の授業への積極的態度を評価するとともに,日頃の学習内容を忠実に反映する試験問題(大学院はレポート課題)を作成した。平常点と試験(レポート)の得点を総合し,学生の努力と能力を忠実に反映する成績評価を行った。後期担当科目では,学生の発表機会をさらに多くし,ほぼ毎回提出を求める小レポートと合わせて成績評価を行った。上記のほか,四国遍路という地域文化について体験的に理解させることを通して人間力の育成を図るという本学の特徴的科目を複数コースの教員との協同体制のもとで担当し,体験的理解を深め他者と共有する手段として俳句の創作を指導した。

 

1-2.大学教員としての社会貢献

(1)目標・計画

他大学の教員や企業の研究所員と協力して日本心理学会年次大会でワークショップを4度開催し,本学大学院修了生(小・中学校教諭)と共同で教育実践研究を行ってきた実績をふまえて研究課題を設定・計画し,実行する。このようにして得られた,協同的学習ならびに情操教育に関する認知心理学的研究とそれを基盤とする教育実践の成果を,継続開催する日本心理学会のワークショップならびに新規に企画・開催する応用系学会の自主シンポジウムで公表するとともに,学術論文を執筆し,社会に還元する。

(2)点検・評価

目標・計画の項に記載した社会貢献活動を実践した。具体的には,(株)KDDI研究所の研究者と共同研究を行い,その成果を自己の所属する心理学会に加え共同研究者の所属する情報科学系の学会においても公表するとともに,南あわじ市立中学校教諭と共同で授業実践研究を行い成果を学内誌に投稿した。さらに,KDDI研究所との共同研究が本学ならびに相手先の共同研究取扱規程に基づく産学共同研究として位置づけられることになり,成果を学術誌に執筆中である。また,教育支援講師制度に基づいて附属小学校教諭との教育研究協議を7回にわたって行い,次年度の教育実践フィールド研究のテーマを提案した。

 

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

学生が主体的に授業に取り組めるよう,班学習,討論等を取り入れる。複数の教員で担当している科目において講義内容の関連づけができるよう図ってきた連携をさらに強める。指導学生の関心と能力の把握に努め,彼らが質の高い課題研究・卒業研究を行うことができるよう,計画的に指導・支援していく。教員採用試験や臨床発達心理士等の資格取得についても積極的に支援する。必要に応じて個別面談や補習も行う。ゼミでの協同的活動を随時企画し,互いに支え合う中で生活が健全なものになるよう支援する。

(2)点検・評価

大学院および学部における担当科目では,学生が主体的に授業に取り組めるよう,発表を取り入れた。修論・卒論指導では,指導学生の関心と能力の把握に努め,彼らが質の高い研究を行うことができるよう,計画的に指導・支援した。指導学生の教育実習では,授業見学・指導を行った。教員採用試験や資格取得についても積極的に支援するために,個別面談や補習も行った。ゼミでの協同的活動を企画し,互いに支え合う中で生活が健全なものになるよう支援している(年間5回,俳句会を実施)。学部学校教育コース1年生のクラス担当教員として,学生の学修キャリアノートの提出時などに助言・支援を行った。

 

2-2.研究

(1)目標・計画

日本の伝統文化(俳句,絵本,四国遍路など)に対する認識の深化と発達の過程に関する研究を中心に据え,人間の五感に基づく認知機能とそれを基盤とするコミュニケーション機能(共感,他者尊重など)について,実証的方法を用いて探究する。その成果を基盤として「知性と感性を結び,発達を導く教育」を構想し,実践する。前年度の研究成果を基礎系と応用(教育)系,それぞれ一つ以上の心理学会において発表する。さらに,2本以上の学術論文の執筆と投稿を行う。

(2)点検・評価

目標・計画に記載した研究活動をすべて遂行した。具体的には,日本の伝統文化(俳句,絵本,四国遍路など)に対する認識の深化と発達の過程に関する研究を中心に据え,人間の五感に基づく認知機能とそれを基盤とするコミュニケーション機能(共感,他者尊重など)について,実証的方法を用いて探究するという従来の研究を継続して行った。その成果を基盤として「知性と感性を結び,発達を導く教育」を構想・実践する取り組みも継続して行った。前年度の研究成果を基礎系と応用(教育)系,それぞれ一つの心理学会(日本心理学会第74回大会,日本教育心理学会第52回総会)において発表し,本学研究紀要および授業実践研究に投稿した。また,学外の学術誌に投稿するためのデータ収集を完了し,執筆中である。

 

2-3.大学運営

(1)目標・計画

任期途中である教職実践演習実行委員会委員,学校教育学部教務委員会委員,モデルコアカリキュラム調査研究委員会および開発チーム委員としての職務を全うする。とくに,教職実践演習実行委員会委員長として導入に尽力した学修キャリアファイルの充実に努める。また,教職実践演習の平成25年度開講に向けて授業内容の具体案作成に尽力する。さらに,人間形成コース教員としてコース会議に出席し,職務を遂行する。

(2)点検・評価

目標・計画の項に記載した4つの委員会・チームの委員としての職務を遂行した。特に,教職実践演習実行委員会委員長として導入に尽力した学修キャリアノート(キャリアファイルから改称)の充実に努め(1年生に対する説明会の開催,クラス担当教員への協力依頼・説明,指導の手引の作成など),教職実践演習の平成25年度開講に向けて授業内容の具体案作成に尽力し,担当教員としての研鑽を深める研修会(フィンランドのタンペレ大学教育学部教授リタ先生の講演会)を共同企画・実行した。上記の活動の波及効果として,四国地区大学教職員能力開発ネットワークを通じて他大学より次年度の講師依頼を受けた。また,モデルコアカリキュラム調査研究委員会を代表して,大阪教育大学,大阪府教育委員会,奈良教育大学,および奈良県教育委員会を訪問し,本学の取り組みを紹介するとともに,他の機関の動向を調査し,報告書を執筆した。さらに,人間形成コース教員としてコース会議に欠かさず出席した。

 

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

本学教育支援講師に登録するとともに,各方面からの要請に応じ,附属学校,公立小・中学校等に出向き,また,各校・各機関からの来訪を受け入れ,助言等を行う。前年に引き続き,県立図書館協議会委員としての職務を遂行する。県庁からの委嘱に基づき,心理学の専門家として,県立看護学院看護学科(定時制ならびに通信制)の講師を務め,働きながら正看護師の資格取得を目指している人たちの指導を行う。教育職に就いた修了生・卒業生の教育研究活動を支援し,共同研究を行う。

(2)点検・評価

目標・計画の項に記載した活動をすべて遂行した。特筆すべきこととして,(株)KDDI研究所の研究者と共同研究を行い,成果を自己の所属する心理学会に加え共同研究者の所属する情報科学系の学会においても公表するとともに,南あわじ市立中学校教諭と共同で授業実践研究を行い,成果を学内誌『授業実践研究』に投稿した。これらの波及効果として,KDDI研究所の研究者との共同研究が,本学ならびに相手先の『共同研究取扱規程』に基づく産学共同研究として位置づけられることになり,その成果をまとめ学術誌に投稿する論文を執筆している。また,本学の教育支援講師制度に基づいて附属小学校教諭との教育研究協議を7月から3月にかけて7回にわたって行い,次年度の教育実践フィールド研究のテーマを提案するという成果をあげた。なお,大学運営の点検・評価の項に記載したフィンランドのタンペレ大学教育学部教授リタ先生の講演会は,国際交流委員会との連携による国際交流事業でもある。

 

3.本学への総合的貢献(特記事項)

下記の4点は,本学への特記すべき総合的貢献であるといえる。①四国遍路という地域文化について体験的に理解させることを通して人間力の育成を図るという本学の特徴的科目を複数コースの教員との協同体制のもとで担当し,体験的理解を深め他者と共有する手段として俳句の創作を指導したこと。②教職実践演習実行委員会委員長として,学修キャリアノートについての説明を学生および教員を対象として行い,指導の手引の作成ならびに教員研修会の開催を主導したこと,③本学ならびに相手先の民間企業の共同研究取扱規程に基づく産学共同研究を開始したこと。④所属する人間形成コースが昨年度に続いて入学定員を大幅に超える入試合格者を出したこと。

 

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