自己点検・評価報告書(梶井一暁)

報告者 梶井一暁

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

①教育実践の基盤としての教育基礎学を重視し、単なる教室内での教授スキル的な能力(classroom skills)に偏らない、教育実践力の底上げを図る。

②教育史の授業において、歴史的な観点から批判的に教育実践をとらえなおす手法を提示し、現在の教育実践を相対化する視座の形成に努める。

③授業の中間で、受講者が自身の問題関心にもとづいて学習・調査したことを発表する機会を設定することにより、持続的な授業参加意欲を積極評価する。また、発表の自己評価とともに、受講者間で発表を相互評価し、最終評価に反映させる。

(2)点検・評価

professionとしての教員の理念と歴史を理解する態度の必要を、ゼミや教育実践フィールド研究を通じ、学生に教授した。

②イギリス教育史研究の成果をふまえ、学部「学校と人間形成」において、教育実践を歴史的な観点からとらえなおし、今日的課題を対処的・完結的に理解するのではなく、過去との関連のなかで把捉する視座を、学生に提示した。

③大学院「近代教育文化史演習」において、高島地区の教育史事跡に関するフィールド調査を行った。学生はグループで調査を実施し、プレゼンテーションを行うとともに、グループ間討議も取り入れた。学生の調査への取り組み態度やプレゼンテーション内容などを評価に反映させることにより、学生の主体的な授業参加を引き出すよう努めた

 

1-2.大学教員としての社会貢献

(1)目標・計画

①地域の学校教員との連携による教育研究を通じ、とくに地域文化を活かした活動の面で、学校現場へ成果を還元したい。

②地域に伝存する歴史資料の調査・保存に取り組み、地域史研究の基盤形成に貢献したい

(2)点検・評価

①那賀町の中学校教員と連携し、四国遍路を活かした実践研究を試みた。学生と中学生が参加する歩き遍路プログラムを開発した。中学校教員から、中学生に対する地域文化理解教育、情操教育、キャリア教育などの面で効果があったとの評価を得た。   

②原卓志教授とともに、県内の寺院所蔵文献・文書の調査・撮影を実施し、目録作成を進めた

 

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

①前年度にひきつづき、学生の理解度と関心の所在を把握して授業を進めるため、授業に対する意見や質問を記すカードを作成し、授業ごとに学生に配布し、次回の授業で応答する。授業改善にも活用する。

②学生の主体的・実践的な学習行為を引き出すため、フィールド体験を取り入れた授業実践を試みる。

③学生の進路相談に積極的に応じ、とくに教員採用試験対策の指導を行う

(2)点検・評価

①学部「学校と人間形成」において授業カードを活用し、学生の理解や関心を確認しつつ、授業の展開をはかった。

②学部「地域社会研究」において学生の歩き遍路体験授業を担当した。また、中大連携による四国遍路歩き実践を企画・実行した。学生は中学生を引率し、歩きをサポートする経験を通じ、指導力を磨いたり、生徒理解を深めたりすることができた。

③ゼミ指導の一環として、大阪府や岡山県などの教員採用試験対策の面接指導を行った。また、私立学校教員採用試験対策の面接指導も実施し、私立受験の当該学生は正規採用にいたった

 

2-2.研究

(1)目標・計画

①教育と宗教に関する研究を進め、学会や研究会で報告し、論文にまとめる。

②学内外の研究助成の公募に積極的に申請し、とくに学外資金の調達に重点をおく。

③科学研究費補助金・基盤研究B「深層構造としての教育文化解明のための比較教育文化史研究」の研究分担者として、ビジュアル資料を積極利用した分析を行う。

④科学研究費補助金・基盤研究C「国語史資料・学習史資料開発のための近世地方寺院伝存文献の調査研究」の研究分担者として、教育史の観点から徳島県や香川県の寺院所蔵資料を調査研究する

(2)点検・評価

①四国遍路に関する研究について、その成果を本学研究紀要やセンター紀要に発表するとともに、日本仏教教育学会(全国学会)でも研究発表を行い、専門研究者に対して成果を示した。

2つの科学研究費補助金について、研究分担者として申請し、資金を得た。

③科学研究費補助金・基盤研究B「深層構造としての教育文化解明のための比較教育文化史研究」において、イギリスのバーミンガム・セントラル・ライブラリーに所蔵される19世紀末日本の学校の写真と資料を分析し、論文を研究会誌に発表した。

④科学研究費補助金・基盤研究C「国語史資料・学習史資料開発のための近世地方寺院伝存文献の調査研究」において、原教授とともに県内の寺院所蔵文献・文書調査を実施した。愛媛県でも調査を行い、その成果を論文にまとめている最中である。学会誌への論文投稿は平成23年度中になる見込みである

 

2-3.大学運営

(1)目標・計画

①本学創立30周年記念誌編さん委員として、事業の推進に貢献する。

②休業復帰後、各種委員会の委員として、運営に貢献する

(2)点検・評価

①図書館における四国遍路に関する展示を紹介する記事の執筆を進めている。

②四国の知GP実行委員会委員などに復帰し、事業の遂行に努めた

 

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

①地域の学校教員と連携し、地域の文化や伝統による人間形成作用に関する共同研究を進める。

②報道機関の教育文化事業に協力し、新聞の教育欄への記事提供を行う。

③指導を希望する留学生がいれば、受け入れる

(2)点検・評価

①徳島県の中学校教員と共同研究を実施し、県南の生活史に関する論文を本学センター紀要に発表した。また、県外教員との連携も試み、香川県の高学教員と共同研究を進めた。高大連携による四国遍路実践に関する研究発表を中国四国教育学会で行うとともに、その共著論文を学会誌に投稿し、掲載された。

②岐阜新聞「中学生の広場」欄にコラムを3本提供した。学生にもコラム執筆を指導し、2本提供した。

③中国人留学生1人を研究生として指導した。本学大学院受験のための日本語および研究指導を行い、後期院試で合格の結果を得た(平成234月大学院入学)

 

3.本学への総合的貢献(特記事項)

①日中学術交流研究会の盛行を期し、北京師範大学の姜星海博士と協力し、会の運営を支えた。

②イギリスのケンブリッジからピーター・カニンガム博士とケリー・ベネット博士を招き、教育と福祉に関する研究セミナーを企画・開催した。武庫川女子大学の山﨑洋子教授との共同事業である。

③日本教育大学協会四国地区研究集会で研究発表を行い、本学が先導的に手がける四国遍路を活かした学生教育について報告し、成果の広報に資した。

④大学院定員充足について、コースで取り組むとともに、個人でも尽力した。とくに非常勤講師をつとめる大学で関係教授に依頼したり、臨時説明会の場を設けたりし、結果、当該大学から複数名の入学者を得た

 

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