1.総論

第二期中期目標に高度な教職の専門性と教育実践力,かつ豊かな人間愛を備えた高度専門職業人としての教員の養成を最大の目標とすることを掲げ,大学の機能別分化を推進することとした。
その初年度である平成22年度の主な取り組みについて,以下に記載する

平成22年度の主な取組

1.教育研究等の質の向上の状況

《 カリキュラム・ポリシーの策定 》
 ・学部教務委員会の下にカリキュラム・ポリシー策定専門部会を設置し,本学における教員養成教育の方針とその特色を明確にしたカリキュラム・ポリシーを策定した。
《 予防教育の授業開設 》
 ・予防教育の授業科目として「予防教育科学」(大学院)及び「予防教育科学と学校教育」(学部)を開設し,平成23年度入学生から実施することとした。
《 教員養成コア・カリキュラムの成果 》
 ・平成17年度から「教員養成コア・カリキュラム」を実施し,その成果を検証するため平成22年度学部卒業生113人を対象とした「鳴門教育大学の教育に関するアンケート」を行った。その結果,「教育実践コア科目」についての設問では肯定的回答がほぼ90%であった。また,平成22年3月卒業生の教員就職率は,78.3%(前年度65.5%)と大幅に上昇し,「国立の教員養成大学・学部(教員養成課程)」44大学中,第1位を獲得した。このことから,「教員養成コア・カリキュラム」の成果が得られたものと考える。
《 「教職実践演習」開講への準備 》
 ・教職実践演習実行委員会を設置し「教職実践演習」(平成25年度開講予定) の開講に向けたアクションプランを策定した。その一つとして,学生個々の省察を促し,教員が効果的指導を行うために「学修キャリアノート」を導入した。その結果,個々の学生の学習歴を把握した上で継続的で一貫した教育指導を行うようにした。
《 予防教育科学教育研究センター事業の推進 》
 ・平成22年度特別経費(プロジェクト分)として認められた「学校において子どもの健康と適応を守る予防教育開発・実践的応用研究事業」について,連携校と学校不適応等予防教育科学に関する共同研究を推進した。
  新しい予防教育プログラムを開発するとともに,附属小・中学校及び鳴門市の小・中学校と連携し実践を進め,教育・研究の基盤を構築した。
《 小学校外国語活動の支援 》
 ・小学校英語教育センターにおいて,出張型研修,集合型研修及びシンポジウムを開催し,小学校外国語活動における支援を行った。
《 教育支援講師・アドバイザー等派遣事業の充実 》
 ・派遣テーマ・内容の充実を図り,平成22年度には159件(平成21年度115件)の派遣実績をあげた。また,地域連携委員会で次年度の事業募集について審議した結果,平成23年度には派遣対象地域を徳島県内から県外(日帰りが可能な四国・淡路島)に拡大した。
《 国際貢献 》
 ・教員教育国際協力センターにおいて,JICA事業を5件受託し,開発途上国の教育支援として,当該国から延べ45人の研修生を受け入れた。また,成績優秀かつ経済的に困窮している留学生に対し「鳴門教育大学留学支援金制度」に基づく支援金の給付を行った。
 
《 附属学校 》
 ・附属学校間及び地域社会との連携を図るため,「鳴門教育大学附属学校連携協議会」及び「鳴門教育大学附属学校教育研究連携協議会」を設置した。

2.業務運営・財務内容等の状況

《 教員就職率と受験倍率 》
 ・平成22年3月卒業生の教員就職率は,平成22年9月30日現在で78.3%(前年度65.5%)となり,「国立の教員養成大学・学部(教員養成課程)」44大学中第1位を獲得した。それを踏まえて,第二期中期目標に掲げた教員就職率目標(70%(進学者を除く))を達成するために,教員採用試験対策ガイダンス(年90回以上)の充実及び就職支援アドバイザー(公立学校長経験者等)による指導の強化を図り,平成23年3月卒業生の教員就職率は平成23年5月1日現在で75.2%となり,目標値を超え,高い数値を達成した。
  なお,教員就職率全国第1位を獲得したことが,平成23年度の受験倍率(7.9倍)においても全国第1位(44大学)を獲得することに繋がった。前期日程試験にかかる受験倍率のランキングは,前年度の第5位から大幅に上昇(4.2倍→5.9倍)し,全国第1位を獲得した。
   
《 大学院修士課程の定員充足 》
  ・大学院の定員充足を図るため,過去の入学者状況を分析し,学校教員養成プログラムの活用を促すとともに,入学辞退を抑制する対策を講じた。
  長期履修学生に対しては,新聞広告やウェブページを活用した広報の強化を行った。
  また合格者の入学辞退を抑制するため,パンフレット(各専攻・コースの紹介及びQ&A等)の配布を行うとともに,メールでの質問の受付を行った。さらに,学長裁量経費を活用した授業料免除の拡大や学生寮の改修状況等の情報提供についても適時行い,全学体制で定員確保に取り組んだ。
  その結果,長期履修生の入学者数(79名→110名)を大幅に増やすとともに,近年増加傾向にあった辞退者数(82名→78名)に歯止めをかけたことにより,開学以来の定員充足を達成した。
《 教員選考基準の見直し 》
 ・「本学が求める教員像」に基づく教員選考をより厳正に行うため,応募者の授業力を評価できるよう必要に応じて模擬授業を課すことを可能とするとともに,人事委員会での審議の際に,応募状況や選考過程を示す一覧表を提出させることを明確に規定した。
《 機動的な業務運営 》
 ・第二期中期目標・中期計画を戦略的に推進するため,大学組織と法人組織とに明確に区分し,法人経営を担う法人組織に,経営企画本部を置き,執行部との連携を強化し,経営上の意志決定を迅速化した。また,大学の業務運営を担う大学組織においては,従来の学長補佐制度を廃止し,新たに副学長制度を導入し,7名体制で教育・研究,学生支援,社会連携及び国際交流等に対応することとした。これにより,柔軟かつ機動的な業務運営を行った。
《 インターネット大学院基本構想の策定 》
 ・中期計画に掲げた「入学定員の見直し」及びそれに伴う「教育・研究組織の見直し」をスタートさせた。まず,従来から検討してきたインターネット等を活用した遠隔教育を導入可能なものとするため,外部の調査会社による現職教員等に対するニーズ調査を行った。この調査により,現職教員の学習ニーズが充分に確認されたことを踏まえ,「インターネット大学院基本構想案」を策定した。さらに,ニーズ調査結果及び構想案を本学の全ての教職員に対し趣旨が伝わるように説明会を実施した。その結果,初年度の準備を当初予定より大幅に前進させた。
《 企画戦略室の設置とその成果 》
 ・経営企画本部内に,重要課題に機動的・戦略的に対応するための企画戦略室を設置し,「インターネット大学院検討委員会」,「大学院定員確保検討委員会」及び「入学定員・教育研究組織等見直し検討委員会」を立ち上げた。大学院の定員充足に向けた様々な方策や広報活動についての検討を行い,その戦略に基づいた計画を実施したことにより,平成23年度入学者が開学以来初めて,大学院修士課程(250名)の定員に達した。
   
《 広報活動の推進 》
 ・ITを積極的に活用した広報を戦略的に推進するため,大学広報と入試広報を明確に区分した広報体制とし,ITに関する専門性を有する職員を採用した。また,大学広報担当及び入試広報担当が連携を強化したことにより,ウェブページ,検索サービス利用による広報活動が効率的・効果的に機能し,国公私立大学のサイトの利便性や情報の公開度などを総合的に評価する「Gomez 大学サイトランキング2010」において,322サイト中13位を獲得した。さらに,新聞広告,雑誌広告などの各種メディアを用いた広報活動を推進したことが,平成23年度修士課程の定員充足に大きく寄与した。
《 学内センターの再編 》
 ・学生への教育支援及び大学と学校・地域社会との連携の充実を図るため,地域連携センターの実地教育分野と実技教育研究指導センターを教職キャリア支援センターに,地域連携分野を地域連携センターに再編した。
 
《 SD研修の改善 》
 ・管理職も含めた職員を対象とした「ビジネス文書研修」及び「接遇レベルアップ研修」を行った。それぞれの研修に関してアンケートを実施した結果,受講した職員の90%以上から肯定的意見が得られた。 
《 外部資金の獲得 》
 ・中期計画を達成するため新たに学長裁量経費活用方針を作成し,「重点事業経費」,「教育・研究基盤設備充実費」等として67,687千円を配分した。特に,「重点事業経費」の一部として「外部資金を獲得するためのインセンティブ経費(科学研究費補助金の新規申請について10万円,新規採択について5万円支給)」(配分額6,700千円)を配分する制度を継続し,効果的に予算配分することにより,科学研究費補助金の採択件数は40件から46件に増加した。
《 業務コスト節減計画の見直しと意識改革の推進 》
 ・業務コストについて,新たな節減計画を策定し1%を削減した。また,学内における不用な物品(消耗品・資産等)の収集・再分配を行うリサイクル・ディを開催するなど,全教職員に物品の有効活用及びコスト節減の意識を高めた。
《 施設の有効活用の促進 》
・学内施設利用者に対してアンケート調査を実施し,調査結果に基づき鳴門教育大学施設有効活用方針を策定するとともに,広報活動を実施し,学内施設の利用を促進した。
《 職員宿舎及び学生宿舎の入居率向上対策 》
 ・学生宿舎のうち,世帯棟の入居率を上げるため,入居基準を大学院における現職教員の経済状況やニーズに基づき緩和した。このことにより,平成22・23年度世帯棟及び男子学生寮の入居希望者が増加した。職員宿舎については,他大学の現状及び有効活用策の調査を行うとともに,鳴門市に対してニーズ調査を行う等,有効活用策を検討している。
《 自己点検・評価制度の改善 》
 ・外部有識者を含めた「教職大学院外部評価委員会」を開催し,徳島,香川,愛媛,高知各県教育委員会関係者からの意見聴取を行い,教育課程,教育方法等を評価し,改善するための検討を行った。
 ・自己点検・評価制度検証プロジェクトチームによる検証結果報告書に基づき,研究者教員との評価の観点の違いを明確にするため,人事委員会に教員選考基準専門部会を設置し,「実務家教員に係る教員選考基準の適用について」を策定した。併せて,教員選考時に用いる業績目録に,実務家教員の実務経験,教育実践実績を新たに記載することとした。
 
《 「エコアクション21」の登録準備 》
 ・平成23年度中に認証・登録を予定している環境マネジメントシステム「エコアクション21」への対応として,「鳴門教育大学環境方針」・「環境目標および環境活動計画」及び「環境マネジメントマニュアル」を策定し,大学の構成員である学生・教員・事務職員等が,環境負荷の低減等に積極的に取り組むことができる態勢を構築した。
 ・環境保全への意識を高め,かつ,「エコアクション21」への取組みを推進するため,ウェブページ上に環境保全コーナーを開設するとともに,自然環境に配慮した施設・設備の整備計画を策定するため,図書館など学内各所にアンケート及び回収ボックスを設置し,学内外から意見を聴取できる環境を整備した。
《 リスクマネジメントにかかる規則の整備 》
 ・リスクマネジメントを統括する「組織・人事マネジメント課」を設置し,危機管理規則の制定及びリスクの洗い出しを行い,さらに危機管理専門部会を設置し,危機管理の基本マニュアルを作成した。
《 自然災害対策にかかる規程等の整備 》
 ・自然災害等に対する「防災対策基本方針」及び「防災対策基本計画(案)」を策定した。
《 附属学校の安全対策 》
 ・附属4校園では,安全管理年間計画に基づき,交通安全,火災,不審者,地震,薬物等に関わる各種訓練や講習会を開催した。施設設備面では,安全点検を定期的に実施し,必要に応じて安全対策を講じた。また,外部有識者で構成されている学校評議員会で意見を聴取するとともに,学校関係者評価委員会において評価を受けた。
《 ハラスメント防止への取組 》
 ・教職員の人権意識向上を図るため,「人権教育推進講演会」や「セクシュアル・ハラスメント等に係る相談員研修」を実施した。
《 コンプライアンス体制の確立と意識の向上 》
 ・コンプライアンス体制の確立及び推進を図るため,「組織・人事マネジメント課」を設置するとともに,公益通報者保護規程を改めた「コンプライアンス規程」を制定した。
 ・コンプライアンスの推進を図るため,外部講師を招聘し,「公的研究費の不正使用防止に関する研修会」を開催した。

3.業務運営の改善及び効率化に関する特記事項

《 財務状況の健全性 》   
 ・本学の財務状況及び活動状況を分析するために「財務レポート(2010)」を作成し,本学ウェブページ上で公開した。
  ・総人件費改革及びコスト節減計画に基づいた人件費及び一般管理費の削減により,財務の健全な活動性及び効率性を導いた。
《 コンプライアンス及びリスクマネジメントの取組 》
 ・コンプライアンス体制の確立及び推進を図るため,「組織・人事マネジメント課」を設置するとともに,公益通報者保護規程を改めた「コンプライアンス規程」を制定した。
 ・コンプライアンスの推進を図るため,外部講師を招聘し,「公的研究費の不正使用防止に関する研修会」を開催した。
 ・リスクマネジメントを統括する「組織・人事マネジメント課」を設置し,危機管理規則の制定及びリスクの洗い出しを行い,さらに危機管理専門部会を設置し,危機管理の基本マニュアルを作成した。

4.財務内容の改善に関する特記事項

《 人件費削減計画の推進 》
 ・「行政改革の重要方針」(平成17年12月24日閣議決定)において示された総人件費改革の実施計画を踏まえ策定した人件費削減計画に基づき,対前年度比2.7%(69,739千円)を削減した。なお,基準年度(平成17年度)の人件費予算相当額からの累積削減率は12.7%とした。

5.自己点検・評価及び情報提供に関する特記事項

《 教員情報データベースの運用 》
 ・「教員情報データベース」を導入したことにより,データ入力の重複作業回避,教員自身の入力による最新のデータ提供及び入力データの確認作業の省力化により,評価業務の効率化を図ることができた。
《 機関リポジトリの構築 》
 ・「鳴門教育大学リポジトリ」システムを構築し,「NII論文情報ナビゲータ」に蓄積されている教員の紀要論文をメタデータとして登録し,公開に向けた準備を進めた。

6.その他の業務運営に関する特記事項

《 施設改修計画の見直し 》
 ・施設の改修・修繕の履歴を整理し,年次改修計画を見直すとともに,施設パトロールによる点検及び各部署からの営繕工事等の要求に基づき,平成23年度の修繕計画を策定した。
《 スペースマネジメントシステムの導入に係る調査・分析 》
 ・大学施設の効果的なメンテナンスや設備更新を計画的に行うため,現状調査及び分析を行った。併せて,他大学のスペースマネジメント等の実情調査を行い,効率的な施設・設備の整備計画を推進する態勢を整えた。
《 情報セキュリティのリスク分析と意識の向上 》
 ・ITに関する専門性を有した職員を中心に,コンサルタントを活用して情報システムのセキュリティリスクの分析及び評価を行った。
 ・教職員及び学生のセキュリティ意識の向上を図るため,「情報セキュリティセミナー」を実施した。
《 学生への安全指導 》
 ・サークル・リーダーシップ・セミナーのプログラムに「普通救命講習」を組み込み,AEDの使用及び胸骨圧迫法等の救命実習を行った。
 ・学生向けの危機管理マニュアル(案)を作成した。
 ・4月から希望者に防犯ブザーの貸与を行った。
《 連携監査の実施 》
 ・監事との連携監査を実施するための監査計画を策定し,その計画に基づいて着実に内部監査を実施した。
《 男女共同参画社会に係る基本方針の策定 》
 ・経営企画本部内に男女共同参画担当者を置き,「男女共同参画基本理念・基本計画」を策定するとともに教職員および学生等への調査を行った。
最終更新日:2010年12月17日

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