15.あとがき

「-組織改革と質の向上による教員養成教育の充実-」

  平成20年度は,平成17年度より導入しているコア・カリキュラム(鳴門プラン)の完成年度であり,このカリキュラムを受講した卒業生が,今後教員として教壇に立ち,教育現場での評価を受けることになる。この間,平成18年度には,コア・カリキュラムに授業実践力評価スタンダード,知の総合化ノート,授業実践映像データベースを組み入れた取り組みが特色GPに採択され,これによりカリキュラムの改善・充実を図ってきた。この特色GPの取り組みも本年度が最終年度となり,教員養成の質保証のためのカリキュラムが一応完成したことになる。
  本年度は,大学院教育の実質化及び機能別分化を図るため,大学院学校教育研究科を改組し,修士課程とは別に専門職学位課程を設置した。また,講座制を廃止し,学問領域に応じた4つの教育部(基礎臨床系,人文社会系,自然・生活系,芸術・健康系)に改組し,学部,大学院のあらゆる教育研究活動を柔軟かつ弾力的に実施できる体制とした。また,男女共同参画に関する取り組みについても指針を策定し制度面等の整備を行った。
  FD推進事業については,本年度においても本学の重点施策の一つとして年間行事予定の中に位置付け,ワークショップ及び学部授業の公開や特別公開授業を実施した。また,学部においては,平成20年度入学生から「GPA」制度を導入し,学生の学習意欲を高めるとともに,適切な修学指導に役立てるようにした。
  GPについては,本年度は,「大学教育充実のための戦略的大学連携支援プログラム」に「教育支援人材の育成プログラムと認証評価」(東京学芸大学が代表校)と「『四国の知』の集積を基盤とした四国の地域づくりを担う人材育成」(香川大学が代表校)の2件が採択され,本学は連携大学として取り組むこととなった。
  さらに,本年度は,学校現場の課題となっている不登校,いじめ,肥満等,子どもの学校適応や心身の健康について,一次予防的に維持・向上を図るためのプログラムの開発と実践について,その役割を担う新しい組織として,「予防教育科学教育研究センター」を設置(兼務教員6人)した。これにより学校における現代的諸課題の抜本的解決に向けて,本学の特色を生かした貢献が期待できる。
  また,研究環境の充実のための方策として,本学ウェブページに研究紀要,教育支援プロジェクト等各種の研究に関する事項を公開するとともに,教員が職場を離れ一定の期間研究に従事できるサバティカル制度に関する規程を制定した。
  以上,第一期中期目標期間における暫定評価の年である平成20年度は,教職大学院の設置,大学院教育組織及び教員組織の改組,学部コア・カリキュラムの改善・充実とFDの推進,新たなGPへの取り組み,及び「予防教育科学教育研究センター」の設置等によって,教育研究の組織改革と質の向上を図った。
  最後に,これまでの教職員の方々のご尽力,ご協力に心からお礼申し上げる。
教育研究担当理事 田中雄三

「質の高い学生支援の実現を目指して」

  教員養成を設置目的とする本学学部・大学院において,本学はその教育内容の改善に向けた不断の努力はもとより,快適な学習環境を保証し,手厚い教員就職支援を実施することによって,学部学生・大学院生を専門的な学力と授業実践能力を兼ね備えた教員として学校現場に供給する使命を担っている。
  学校現場における今日的な社会現象(いじめ,不登校など)に対応できる教員養成のためには,講義・実習などの正課に加えて,ボランティア活動や放課後学習支援活動などに代表される,養成段階での学部学生・大学院生の種々多様な社会体験活動が必要となってきている。このような活動を本学の学生に紹介し,積極的な参加を推進するという,より進んだ学生支援は一朝一夕でできるものではなく,大学と学校・地域とのより強固な連携に基づいた活動を通して成就されるものと認識している。
  この使命・認識に基づいて,アドミッション・ポリシーに掲げた,教員就職への意欲あふれる学生を入学段階で選抜するとともに,養成段階において,課外活動や社会体験(ボランティアなど),協定大学への交換留学生の受入・派遣等による国際理解教育・国際交流の推進,きめ細かい教員就職支援対策講座の開設などを,本学の学生支援活動として系統的に実施してまいりました。
  平成20年度における成果として,就職支援事業をさらに充実・改善して,中期目標・計画に掲げた教員就職率60%以上を5年連続して達成・維持(平成20年度卒業生の教員就職率が,平成19年度に引き続き,国立教員養成系大学・学部で第5位を維持)できました。また,社会連携・地域連携を推し進め,中期計画に定めた20以上の公開講座・大学開放推進事業を開設・実施するとともに,現職教員への積極的な研修事業の関わりとして,10年経験者研修や教員免許状更新講習(予備講習)を実施いたしました。また,教職大学院への現職教員の受入に伴って,本大学院の特色の一つである置籍校における実習を円滑に行っていただくために,大学院生(現職教員)支援基金を創設し,奨学金の無利子貸与事業を平成21年度から開始することといたしました。
  上記のように,教員養成大学における学生支援の質の向上方策などを紹介して,次年度以降への新たな展開への活力といたします。
学生支援担当理事 村田博

「第1期中期目標・中期計画の総括と次期への基本方針策定に向けて」

  本学は,教育に関する専門的知識を深め,今日的課題に対応した優れた実践力と豊かな人間性を兼ね備えた教師を育成する「教員のための大学」として,常に大学運営の責任と権限を明確にしつつ,積極的な業務改善に努めてきたところである。今年度は,暫定評価の年であるが,その評価結果を踏まえつつ,次期中期目標・中期計画の方向性を視野に入れながら,第1期6年間の中期目標・中期計画の総仕上げの初年度と位置付け,平成20年度計画を着実に実施してきたところである。

(1)業務運営の活性化

  従来の講座制を廃止し,教育研究活動が柔軟かつ弾力的に実施できるよう学問領域に応じた4教育部に改組するとともに,教職大学院の設置に伴う教員配置についても,設置基準定数を大幅に上回る人員の配置を行い,質の高い教育研究活動の環境を整備した。
  また,大学と附属学校間の連携強化や機動的な学校運営等を目的とし,全国的にも例のない附属学校長の専任制を導入した。

(2)財務内容の改善

  外部資金獲得に努め,前年度に比べ,科学研究費補助金の採択件数を増やすとともに,GPについて新規2件を獲得し,JICA事業の受託についても金額を増やして継続された。
  また,従来より,剰余金は定期預金で運用してきたが,譲渡性預金による短期運用を実施し,運用益を大幅に伸ばした。
  なお,総人件費改革及び業務コスト削減も共に計画通り▲1%以上を達成したところである。
  施設関係では,附属特別支援学校に補正予算が措置され,大学全ての建物の耐震性が確保されることとなり,今後,メンテナンスを適切に行うことにより,建物の寿命を縮めることのないよう努めることが,重要となってくる。

(3)事務組織の見直し

  中期計画に盛り込まれた「事務局の廃止」に向け,外部コンサルタントを導入し検討を重ね,監事からのアドバイスも踏まえ,従来の縦割りの解消と法人・大学の区分を明確にした新たな事務組織 構想を策定し,21年度に試行し、22年度に見直し,本格実施する。
  また,教員と事務職員との協働をより強化し,組織的に学生に対応するため,長期履修学生の修学支援のための「教職キャリア開発支援オフィス」及び,教職大学院の円滑な実習運営等のための 「教職大学院コラボレーションオフィス」を開設した。
  第1期の総括の初年度として,計画通り進めてきたが,来年度は,最終年度として計画以上の取り組みを行い,次期の新体制がスムーズにスタートできるよう努めてまいりたい。
総務担当理事 清水勇行
編  集  日  誌
年 月 日 事        項
H19.12.28 学長が,各コース等・各教員に対し,平成20年度の目標・計画に対する点検・評価報告書の提出を依頼
H20.131 上記目標・計画設定締切
H20.6.17 各講座・各教員が設定した目標・計画について,適切であることを学長が了承
H20.9.2 自己点検・評価報告書(中間報告)の提出を依頼
H21.4.25 各講座・各教員に対する,平成20年度の目標・計画に対する点検・評価報告書提出締切
H21.6.5 第1回評価委員会において,「平成20事業年度に係る業務の実績に関する報告書(案)」を了承
H21.6.10 第3回教育研究評議会において,「平成20事業年度に係る業務の実績に関する報告書」を承認
H21.6.10 各コース等・各教員あてに平成20年度の自己点検・評価に係る評価結果を通知
H21.6.13 平成20年度業務監査実施
H21.6.23 第1回経営協議会において,「平成20事業年度に係る業務の実績に関する報告書」を承認。平成20年度監事監査結果 pdf(125KB)を報告。
H21.6.29 国立大学法人評価委員会(文部科学省)に対し,平成20事業年度に係る業務の実績に関する報告書 pdf(409KB)を提出
H21.7.9 各理事,各教育部長,各センター所長に対し,それぞれが運営する部局の平成20年度における自己点検に係る報告を依頼。事務局各課長に協力要請
各コース等・各教員の自己点検・評価報告書を基に,平成20年度自己評価結果報告書(web)を作成開始
H21.8.26 「平成20事業年度に係る業務の実績に関する報告書」に関する国立大学法人評価委員会のヒアリング(文部科学省)
H21.8.28 各部局に係る自己点検報告締切
H21.10.14 国立大学法人評価委員会から「平成20事業年度に係る業務の実績に関する報告書」に対する「平成20年度に係る業務の実績に関する評価結果(案)」の通知
H21.10.23 上記評価(案)に対する申し立て締切
H21.11.6 国立大学法人評価委員会が「平成20事業年度に係る業務の実績に関する報告書」に対する平成20年度に係る業務の実績に関する評価結果 pdf(210KB)を公表
H22.1.8 平成20年度自己評価結果報告書の素案完成。関係各位に校正・確認を依頼
H22.3.5 平成20年度自己評価結果報告書を公表
最終更新日:2010年02月17日

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