自己点検・評価報告書(生活・健康系コース(保健体育)) 綿引勝美

報告者 綿引勝美

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての研究活動

(1)目標・計画

すでに提出した目標計画は適切でないと判断し,次のように設定し直した.
  体育科教育の基礎理論としての,トレーニング科学の急速な深化にともなって,既存の教科内容と教科指導法が時代の要請に応えられないものとなっている.ドイツにおける先進的なトレーニング科学と身体運動能力の発育発達理論を渉猟し,そこから,あらたな教科内容学と教科指導論の再構築のための手がかりを得る.本年度はトレーニングの負荷構成理論を分析し,初等中等段階での身体運動面の発達課題を明確にする.

(2)点検・評価

  体育科教育理論の,教科専門の諸理論との連携をはかる,という立場から,ドイツにおける一般トレーニング科学の理論的な展開過程を詳細に分析している.とりわけ,身体運動の発達の著しい青少年期の教科内容をどのように編成し,系統化するか,そのための長期におよぶ縦断的な発達研究の成果をどのように活用するか,検討をすすめている.

1-2.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

すでに提出した目標計画は適切でないと判断し,次のように設定し直した.

  • 教科教育論においては,教師としての説明責任をまっとうできる能力の育成につとめる.とりわけ,体育教育の歴史、近代体育の背景となっている思想についての理解の欠落を補うという意味から,体育科教育やスポーツ教育の思想的な歴史について理解を深められるような授業内容を構築する.の側面から,臓器移植や再生医療など,生命操作や身体の人工的活用に関する倫理問題にもふれる.
  • 基礎知識の運用能力育成のために,問題場面対応型の表現・伝達・説得の基本スキルの養成を試みたい
  • 相互評価を重視するとともに,基礎的な知識理解のための筆記試験の内容を工夫する.

(2)点検・評価

  • 思想史的な観点を積極的にとりいれているが,学生の理解をはかるところまではいたっていない.現代における,身体の人工的作成技術の進歩は著しく,そこにかかわる倫理問題の解明が急務と認識している.
  • テキストマイニング技術をもちいて,概念マップの作成などを行なうことで,概念構造の理解をふかめるための糸口を探索中である.
  • 筆記試験の内容については,まだ糸口をみつけられていない.

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

  • 自然体験と実業体験を重視するという立場から,地域の農林業従事者との交流を積極的にはかれるような場をつくる.
  • スポーツ活動の社会的な広がりのなかで,スポーツ事業に関心をもたせるような指導を行う.とりわけ、地域総合型スポーツクラブとのネットワークを構築する。
  • moodleを活用した,コラボレーションサイトを充実させる.

(2)点検・評価

  • 居住知周辺の農業従事者の協力をえて,作業ボランティアの体験を組織することができた.
  • プロスポーツ関係者との交流をつうじて,スポーツ職域の開拓を試みている.地域総合型スポーツクラブとの連携強化も,いくつかの自治体とのネットワーク構築をこころみている.
  • ひきつづき,moodleによるサイト運営をおこなっている.

2-2.研究

(1)目標・計画

  • ドイツの選手選抜制度・トレーニング科学関連資料の収集と解析
  • 国立スポーツ科学センターとの共同研究プロジェクトの推進
  • スポーツトレーニングに関連するNPOやベンチャー企業との共同研究に着手する
  • Webを活用した,研究成果のデータベース化と公表

(2)点検・評価

  • ドイツのトレーニング科学関連資料の解析をおこなった.とりわけ,博士論文など未公開資料の収集を行い,その抄訳を作成した.
  • 国立スポーツ科学センター主催の国際科学会議で,ポスター発表をおこなった.プロジェクト調査研究の報告書を作成した.適性診断関連では,ドイツライプチヒ大学の教授の招聘にかかわった.
  • プロスポーツ関係者(野球,サッカー)との研究会に講師として参加した.スポーツ関連のベンチャー企業家との学習会に参加した.
  • moodleをつかった,研究成果の公表をおこなった.

2-3.大学運営

(1)目標・計画

  • 鳴門教育大学の知名度をあげるため広報活動(体育スポーツ関連雑誌への投稿)
  • 教務委員として,授業改善に積極的に取り組む
  • 文部科学省等のプロジェクト予算獲得にむけた取組みを強化する(学生支援GPなど)。

(2)点検・評価

  • プロスポーツ,スポーツ関連のベンチャー起業家,スポーツ関連の専門学校,などの関係者との交流をとおして,本学の広報活動をおこなった.
  • 学生支援GP,学び直しGPなどの原案作成にかかわったが,不採用であった.

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

  • ライプチヒスポーツ科学交流協会を通した,トレーニング科学の国際的な交流を促進する.
  • 地元の農林業従事者との積極的交流を推進する
  • 地域総合型スポーツクラブとのネットワークを構築する

(2)点検・評価

  • ライプチヒスポーツ科学交流協会の活動の一環として,ライプチヒ大学教育学部の教授招聘に関わることができた.
  • 居住地周辺の農業従事者との交流をすすめ,学生のボランティア体験を組織することができた.
  • 他府県の自治体関係者とのネットワークの構築をはかることができた.
  • 付属中学校でのフィールド研究をとおして,授業研究の促進につとめることができた.

3.本学への総合的貢献(特記事項)

  本学のもっている,教育指導にかかわる実践力養成,人材育成の資産を,学校以外のスポーツの場面でもいかせるようにするための,新しいネットワークの構築をこころみている.とりわけ,プロスポーツの世界との連携はこれまでにない可能性を示唆するもので,たいへん重要なものと考える.関係者によると,幼少期からの教育の重要性を認識するも,それを実践的に指導できる人材の不足があるとされている.そのような意味からも,学校以外での本学卒業生や修了生の活躍の場の社会的な要請をしっかりと把握することが必要だと考える.

最終更新日:2010年03月29日

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