自己点検・評価報告書(生活・健康系コース(保健体育),予防教育科学教育研究センター) 吉本佐雅子

報告者 吉本佐雅子

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての研究活動

(1)目標・計画

  子どもの危険行動・健康問題を社会問題として捉え,その原因を探究することを主眼とした研究を行っている。その研究活動の全体構想は,疫学的研究方法を用いて,大規模調査を実施し,要因分析することである。
  本年度は次の2つの大規模調査を計画している。一つは,飲酒・喫煙・薬物乱用に関わる実態調査,対象は全国の高校生(抽出数約10万名)である。本調査はこれまでに2回実施しており,H20年度に3回目として実施する。もう一つは,アレルギーに関わる実態調査である。対象は全国の高校生(抽出数約10万名)を予定し,本調査に関しては,H20年度の科研基盤研究Bとして申請した。

(2)点検・評価

  飲酒・喫煙・薬物乱用に関わる実態調査のこれまでの2回調査の報告書を作成し,また,要因分析の結果を雑誌,学校保健研究に論文発表した。3回目の調査は研究費の獲得ができず,実施しえなかったが,H21年度の実施に向けて経費獲得のための申請を行った。
  アレルギーに関わる実態調査については,同テーマで採択された基盤研究C(H19年度終了)の成果を生かし,H21年度科研基盤研究Bとして申請した。

1-2.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

  豊かな教育実践力の養成には,授業のテクニックではなく,まず,学生自身が教科内容に関心をもち,そのことを子どもに教えたいという意欲が基盤として必要である。そのため以下のように授業の工夫を行う。

  1. 授業内容:教科内容の授業では,基礎知識をしっかり身につけることに重点を置く。教科教育の授業では体系的な授業の理論,進め方と教科内容との関連性を理解させる内容を教える。
  2. 授業方法:授業は講義方式を中心に行い,授業テーマに必要な基礎知識として,他分野との関わりなど話を広げながら多角的かつ包括的な理解が出来るようにする。学生の意欲を引き出す一つの方法として,授業毎にその日の授業内容に関する問題を学生自身に作成させ,他の学生に回答させ,評価させていく。また,「書く」能力を伸ばすため,板書を多くする。
  3. 成績として,学習内容の理解とともに,人に説明できる能力をみるため,論文的筆記試験を行う。さらに,教員としての資質をみるため,出席状況,上記の様な授業への取り組み態度を含め総合的に評価する。

(2)点検・評価

  • 授業内容: 毎年,担当各授業において,基礎知識が乏しい状況が見受けられた。そのため,テーマを絞り,会話,質問などを交え,理解度を確かめ,それに関する基礎知識から指導した。基礎知識の各論の内容に関心をもつ者が多くみられた。
  • 授業方法: 学生同士互いに問題を作成させ,回答させる授業法に関しては,そのため時間が無く,口頭で質問させ,それに対して学生に考えさせる方式を取り入れることにした。この方法で学生自身が自分の理解度を認識できたようである。
  • 成績評価:小論的筆記試験の他,授業中の態度・取り組み姿勢,出席状況,から総合的に評価した。なお,比較的受講者の少ない授業ではこのような総合的評価は適正に行えたと考えるが,約160名を対象とした授業評価,特に授業中の態度・取り組み姿勢を個々に評価することは難しく,さらなる工夫を要した

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

  • 教科内容の授業では,基礎知識をしっかり身につけることに重点を置いた指導を行う。また,会話,質問などを絶えず盛り込み,学生の理解の程度を把握しながら進める。学生の意欲を引き出す一つの方法として,授業ごとにその日の授業内容に関する問題を学生自身に作成させ,他の学生に回答させ,評価させていく。(I-2.目標・計画の再掲)
  • 授業では,自己の研究内容にも触れ,知識を深める意欲を引き出すような内容にする。
  • 健康に関する複数の授業を担当しているが,受講者の学年,選択必須にばらつきがある。これら授業に一貫性を持たせるよう,授業内容を工夫する。
  • 学生が気軽に進路,悩みなどの相談に来られるよう,また,学生の様子を把握できるよう,日常的に学生とのコミュニケーションを図る。

(2)点検・評価

  • 「I-1.大学教員としての授業実践」の点検・評価1の記載事項と同様
  • 授業に専門分野である疫学的研究の必要性を取り入れところ,学生の関心を引き,質問など発言を促すきっかけになる場面が多くなったように思う。
  • 保健に関する担当授業6コマを出来るだけ教科内容から健康教育へと進めるよう配分して計画した。しかし,受講者の構成により,同じ様な内容を重複して受講する者,初めての内容として受講する者が出てくるのはやむ得ないことであり,教養として,専門としての授業内容の体系的一貫性をもたせるための工夫をさらに思案しているところである。
  • 4年生クラス担任として,学生より,進路変更や教員採用試験の心構えなどの相談があり,それに応じた。
  • 修士課程2年生2名(ストレート)の指導教員として,教育・研究の他,進路指導,生活指導も懇切丁寧に行った。
  • H20年度連合大学院博士課程1年生学生を指導し,論文作成について指導した。

2-2.研究

(1)目標・計画

  • 第3回の飲酒・喫煙・薬物乱用に関わる実態調査を実施する。
  • 以下の研究課題に関して,学会誌「学校保健研究」に投稿する。
    • 従来からの研究テーマ,子どもの健康状態に関する疫学的研究
    • 科研費(基盤―B:分担者)「学校における喫煙・飲酒・薬物乱用防止教育とそのモニタリングに関する国際研究」の成果のまとめ
  • 科研費(基盤―B:代表)「アレルギーのモニタリングとその予防のための包括的健康教育システムの構築」に関して,研究計画を遂行する。成果を学会誌「学校保健研究」および「日本小児アレルギー学会誌」に投稿する。

(2)点検・評価

  • H20年度,第3回の飲酒・喫煙・薬物乱用に関わる実態調査は研究費を獲得することができなかったので実施することができなかった。しかし,H21年度実施に向けて,本調査プロジェクトチームの一員として科研A申請に関わり申請を行った。(なお,H21年度4月時点で,本科研は採択され,本調査が実施されることになった)
  • 飲酒・喫煙・薬物乱用に関わる実態調査の成果の一部を,審査あり雑誌,学校保健研究に共著者として論文発表した。さらに,H21年度中に2論文投稿すべく分析を行った。
  • アレルギーをテーマにした科研(基盤C,H19年終了)の報告書を作成し,同テーマで採択された基盤研究C(H19年度終了)の成果を生かし,H21年度科研基盤研究Bとして申請した。

2-3.大学運営

(1)目標・計画

  • 以下の委員を担当し,本学の運営に貢献する。
    • 保健体育4年生クラス担任
    • 施設・設備委員会委員,他予定として教務委員,入試委員を担当する。
  • 大学院生確保のための広報活動を行う。

(2)点検・評価

  • 以下の役割を担当し,本学の運営に貢献した。
    学部教務委員,その下部会である教職実践演習検討専門部会委員
    施設・設備委員会委員
    学生相談室委員
    衛生委員会委員(衛生管理者)
    4年生クラス担当
    予防教育科学教育研究センター(兼任)
    教員選考委員会委員(教授昇任人事2件)
    連合大学院入試問題(英語)作成,面接委員
  • 大学院受験生確保のため,他大学の学校保健関係教員に本学の大学院の説明し,学生に受験を勧誘するよう依頼した。養護教諭課程卒業者が本研究室に入学した実績があるため,特に養護教諭課程を有する大学の教員に依頼した。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

  • 第40回中国・四国学校保健学会を本大学で開催し,学会長を務める。
  • 附属学校との懇談会,研究会,実地教育指導に積極的に参加し,附属・大学の連携体制が必要な課題を見つける。
  • 博士課程進学に向けて,指導を行う。
  • 性教育,薬物乱用防止教育,生活習慣病などに関する地域の研修会,会議に積極的に参加する。

(2)点検・評価

  • 第40回中国・四国学校保健学会を本大学で開催し,学会長を務めた。その準備段階で,徳島県の養護教諭の方たちの協力を得,つながりを持つことができた。
  • 保健体育分野で附属学校との懇談会,研究会,実地教育指導に積極的に参加した。附属・大学の連携には,まず,大学側において教科教育と教科内容の連携体制が重要であることを痛感した。
  • 現職教員のフレックスタイムを利用した博士課程指導を行い,現職者の教育・研究能力を高めることに貢献できた。
  • 山口県教育委員会養護教諭新任研修にて薬物乱用防止教育の講義を行った。
  • 徳島県教育委員会性教育検討委員会委員および神戸市開発審査会委員を担当し,地域に貢献した。

3.本学への総合的貢献(特記事項)

  個人の特記事項としては挙げることはないが,委員会,提出書類など,主に学校運営のための多くの仕事を引き受けてこなし,貢献したと考えている。このことは私だけではなく,多くの教職員がそのような状態である。その意味では,多くの教職員と同様に,個人レベルで本学に総合的に貢献しているものと考えている。

最終更新日:2010年03月18日

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