自己点検・評価報告書(芸術系コース(音楽)) 村澤由利子

報告者 村澤由利子

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての研究活動

(1)目標・計画

  これまでの研究活動として,ピアノ演奏法の研究を続けて行い,演奏会で発表する。自分自身のモットーとしては,国際的な視野のもとに海外の演奏家達と共演し,そのことにより自分自身が努力し能力を高めたいと常に考えて演奏してきた。そして,大学教員として,一流演奏家との共演や海外での演奏で得た新しい知識や演奏法を,学生達の指導において生かしていきたいと考えている。
  演奏のみならず,その演奏した曲に関して内容を研究し,紀要に発表することを続けて来ているので,本年も努力したいと思っている。

(2)点検・評価

  • ピアノ演奏法の研究では,国際的な視野のもとに海外の演奏家達と協演することを目的としてきたが,今年度もザルツブルクの演奏家と共演し,ヨーロッパの音色や音楽について研究を深めることが出来た。その結果として特に,本年8月26日にオーストリー,ザルツブルク市,「ミラベル宮殿ホール」での,リサイタル公演の招待をいただき,コンサートが決定した。
  • 北京師範大学で「第3回中日教師教育学術研究集会」に参加し,ゼミ生の2人と共に,発表・演奏することが出来た。特に中国の留学生であるゼミ生と,日本のゼミ生と3人共同による調査で,中国と日本のピアノ指導教材の比較・研究をすることが出来た。今後のピアノ指導に役立てることが出来て,有意義であった。
  • 平成20年度教育支援経費により「小学校教員養成のためのピアノ教則本(上級)」第4巻を,完成することが出来た。授業及び,採用試験を受ける学生達や,現職教員に使用した。またこの教則本は,これまでも様々な研究会等で使用してきたが,今後,学外の先生方も使用できるよう,幅広く役立てるつもりである。

1-2.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

    • 将来教員を目指す学生達の自覚をもたせるために,1年次よりその意識を高めるための指導をしている。「初等音楽I・II」の授業は,特に採用試験に関わりがあり重要と考えているが,近年長期履修生が増えたために,ピアノ指導において個人に対する時間が少なくなり憂慮された。担当者で検討し,20年度から担当者を増やし対応することになった。
    • 20年度も前年に続き,現職教員については時間外に定期的に毎週コマを設けてピアノ指導を行う予定である。必要に応じて,進度の遅れている学生や,講座外の希望者の学生に補習・補講等を行いたい。
    • 「初等音楽I・II」では,歌唱教材の伴奏を他の学生達の前で弾かせて,将来教師になった時に,教室で授業をしている体験をさせる。児童に対して合唱指導の指導法や,伴奏が弾けないと授業が成り立たないこと,採用試験にいかに重要であるか等を認識させる。
    • ピアノの授業においては個人レッスンを基本とするが,グループレッスンも取り入れクラス全員が同席し,他の学生の弾いている曲の内容をそれぞれ全員が認識し理解できるようにする。他の学生達の前で弾くことが,人前で演奏することに慣れ,試験や演奏会で弾くときの練習となる。
  1. これまでと同様に,本年も個人の能力に応じた評価をするのはもちろんであるが,特に進度の遅れている学生については,個人がどれだけ努力したかにより評価をすることを,常に告げている。「初等音楽I・II」の授業では,初めてピアノに触れる学生が多いが,その学生達に対しても,毎日の努力の積み重ねがいかに重要であるかを指導し,評価している。

(2)点検・評価

    • 1年次より授業の中で,教育大学の学生として,教員を目指す意識を持たせるために,教員採用試験を念頭に置いて,常に採用試験に繋がる指導を行った。弾き歌いの大切さや,ピアノ伴奏については,必ず採用試験では両手で弾くことが要求されることなどを説明した。「初等音楽I・II」では,ピアノ指導においては初歩の学生が多いために,授業の中で両手でピアノが弾けるようにする事を,最初の目的として取り組んだ。アンケートでも,初めてピアノに触れる学生達は,両手で弾けるようになったことについて,ものすごく喜び,達成感を感じていた。また,長期履修生の対応のために,担当者を増やした結果,個人1人あたりの時間が増え,授業内容をより密に指導することが出来た。
    • 現職教員の大学院生については,本年度も希望者に定期的に時間を設けて,毎週時間外に指導を行った。現職教員達は,少しでも現場に帰ったときに役に立つようにと,大変熱心に受講した。また,コース外の受講生にも希望する学生には,時間外に指導した。
    • 授業方法は,これまでと同じように個人レッスンを基本としているが,必ず履修者全員を同席させて,他の学生の演奏を聴かせた。それぞれ他の学生の弾いている曲を聴かせて,注意等や気がついた事などを,楽譜に書き込みやメモをさせることが重要であり,授業中も注意深く他の学生の演奏を聴くようになった。また,普段から全員の前で演奏することは,人前で演奏することに慣れるために,試験や演奏会で弾く際の練習となった。このことは,「初等音楽I・II」を含めすべてのピアノの授業に実践した。
    • これまで作成した,「初等教員養成のためのピアノ教則本」を授業で使用し,履修生達は,この教則本を参考にしながら,ピアノ伴奏教材や必要な指のテクニック,初めて見る楽譜をいかに早く弾けるようにするか,等を指導した。
    • 「初等音楽」では,初歩の学生を含めて歌唱教材の伴奏を弾かせて,他の学生達に歌わせている。将来学校現場で,子ども達を指導する際にピアノ伴奏がいかに大切であるかを認識させ,また,採用試験に向けての練習にもなった。
  1. 評価については,これまでと同様に個人の能力に応じた評価と,進度の遅れている学生達は,個人個人の努力により,どれだけ進歩したかによる評価が,常に大切であると思っている。そして日々の努力の大切さについて,最初の授業から絶えず学生達に指導した。また,このことは,ピアノを含めた全ての授業に通じると考え,個人の能力による評価も大切であるが,特に,普段の努力に対する評価をより大切にした。

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

  1. 最近の学生を見ていると,あまり礼儀やマナーが身についていないと感じている。将来,教員になるための社会人として必要な,最低限の礼儀や挨拶,言葉遣い等を授業の中でいつも指導するよう心がけている。
  2. 学生の悩みごとや,進路相談に随時応じている。さらに,学外での演奏会や様々な活動に対して,援助・指導をしている。

(2)点検・評価

  1. 授業において,将来教員や社会人になるために必要な,言葉使いや礼儀等の指導を絶えず気をつけて行っている。また,採用試験の相談をはじめ,それに対する指導・助言も行った。
    • ゼミ生である中国からの留学生の指導については,体調等や悩み事の相談に乗り,彼のチューターとも絶えず連絡を取り,生活支援に努めた。
    • 大学院生や学生達が,学外でのコンサートやコンクールに出場する機会が大変多いため,その活動に対して指導し援助した。特に,今年度は鳴門市文化会館で4 月に「ポーランド・クラコフ室内交響楽団」を招き,鳴門教育大学院生をはじめ出身者が多く出演したため,頻繁に指導を行った。また,「全日本ピアノ指導者協会主催・ピアノコンペティション」に出場した研究生は,地区本選大会に選ばれた。
    • 学内では,年2回開催している学内演奏会の指導をはじめ,「音楽の杜」開催のための出演者の演奏指導や,研究・演奏発表会が円滑に行えるよう,コース長として他の教員と共に協力し,学生達が附属小や,地元の人々などの特別出演者に対して,配慮が行き届くよう指導した。

2-2.研究

(1)目標・計画

  1. 研究テーマであるピアノ演奏法の研究を引き続き行い,演奏会で発表する。
  2. 昨年度ワルシャワで演奏した「ベートーヴェン作曲;ピアノ三重奏曲,大公」に関する考察を行い,紀要に投稿する。
  3. 科学研究費補助金を昨年度に引き続き,講座の教員と協力して申請する。

(2)点検・評価

  1. これまでの研究テーマのピアノ演奏法の研究を行い,今年度は,2008年11月に「村澤 由利子&ザルツブルガー・ゾリステン~心に響くヨーロッパの調べ~」を開催し,ルッツ・レスコヴィッツ ザルツブルク音楽総監督をはじめとする演奏家達と共演した。曲目は,ベートーヴェン作曲;ピアノ三重奏曲「大公」,シューベルト作曲;ピアノ五重奏曲「ます」を演奏,特にベートーヴェンの代表作である「大公トリオ」の楽曲の解釈については,これまでの研究の中でも得るところが多かった。また,このコンサートは,“鳴門日独友好協会創立30周年記念コンサート”として開催した。
  2. 「小校教員養成のためのピアノ教則本(上級) 第4巻 ピアノ伴奏の大切さ」全44ページ《平成20年度教育支援プロジェクト経費》を作成した。これで初級から上級まで,全4巻のピアノ教則本が完成した。
  3. 平成21年度科学研究費補助金,基盤研究B「初等教員養成のための音楽科遠隔授業研究システムの開発」代表村澤 由利子を,音楽コース教員並びに高度情報研究教育センターの教員と共に申請した。
  4. 「第3回中日教師教育学術研究集会」北京師範大学において,《日本と中国におけるピアノ実技指導の教材に関する比較研究》を発表し,また,日本と中国のピアノ作品についても演奏し,作風の違いを比較研究した。

2-3.大学運営

(1)目標・計画

  前年度に引き続き,各種委員会の委員として本学の運営に貢献する。

(2)点検・評価

  1. 音楽コース長を務め,コース主催の演奏・研究発表会「第3回音楽の杜」を,本学講堂で開催した。
  2. 「第3回中日教師教育学術研究集会」準備委員会副委員長として,北京師範大学での開催に向け準備を行った。
  3. 予算・財務委員会委員として任務を遂行した。
  4. セクシャル・ハラスメント相談員も委嘱されている。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

  1. 附属学校・協力校等の実地教育や,研究集会に参加する。
  2. 昨年に引き続き,公開講座「楽しいピアノ演奏」を現職教員及び一般社会人向けに開講する。
  3. 鳴門市より委嘱された委員会の委員として出席し,社会との連携に努める。
  4. 鳴門市・リューネブルク市姉妹都市友好協会副会長として,国際協力に努める。

(2)点検・評価

  1. 三好郡・市小教研音楽部会 夏季研修会に招かれ,講演・演奏等も行った。
  2. 県立名西高等学校に,平成20年度「学校への芸術家派遣事業」(文化庁主催)として招かれ,講演並びにピアノ公開レッスンを行った。
  3. 公開講座「楽しいピアノ演奏」を開講し,定員10名のところ18名が参加し,個人レッスンのために日数は倍かかったが,受講者は大変熱心であるため,楽しく終えることが出来た。
  4. 鳴門市より「鳴門市・リューネブルク市姉妹都市運営委員会委員」「鳴門市総合計画審議会委員」「鳴門市文化の街づくり審議会委員」等を委嘱され,社会との連携に努めた。
  5. 鳴門市・リューネブルク市姉妹都市友好協会副会長として,国際交流に努め,会員によるコーラスグループに,ヴォランティアでコーラスを指導した。
  6. 音楽コース主催,演奏・研究発表会「第3回音楽の杜」を開催し,地元の阿波踊り連や,附属小学校のコーラスを特別出演として招き,地域の人々との交流に努めた。
  7. 「第10回ショパン国際ピアノコンクール in ASIA」「全日本ピアノ指導者協会ピアノコンペティション」「第25回香川ジュニア音楽コンクール」「第55回徳島県音楽コンクール」等の審査員を務めた。

3.本学への総合的貢献(特記事項)

  1. 公開講座「楽しいピアノ演奏」を毎年開催しているが,毎回定員をオーバーして,平成20年度も10名の定員を,18名の参加があり時間を倍以上かけて講座を行った。
  2. 音楽コース長として,本学講堂で「第3回音楽の杜」を開催し,地元の人々との交流を行った。地域の人々が大勢参加してくれたことは,開かれた大学としての鳴門教育大学と,社会との連携に貢献した。
  3. 「第3回中日教師教育学術研究集会」;北京師範大学の開催について準備委員会副委員長として貢献した。
最終更新日:2010年03月15日

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