自己点検・評価報告書(生活・健康系コース(技術・工業・情報)) 米延仁志

報告者 米延仁志

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての研究活動

(1)目標・計画

全体構想: 1.年輪考古学,年輪気候学の国際的研究拠点の一角を担うことを目標としている。2.日本における高精度古環境復元に関する研究を国際的な水準に押し上げる。3.文理・領域融合的な新しい研究を行う。

本年度の計画:1.年度前半に国際誌への投稿を重点的に行う。2.科研課題に関連して,ヒノキ及びスギの標準年輪曲線の延長・充実と気候復元を行う。3. 年縞堆積物による高精度古環境復元に関する研究を推し進める。

(2)点検・評価

樹木年輪および年層堆積物による古環境復元に関する国際共同研究を実施している(ハンブルク大学,ポツダム地球科学研究所(ドイツ),ニューカッスル大学 (イギリス)等)。その結果,世界的にトップクラスの古環境試料が得られ,解析が進展している。文理融合的な研究課題として名古屋大学,デュイスブルク・エッセン大学(ドイツ)と共同で古文書和紙の劣化機構に関する共同研究を進めている。以上の点から全体構想に計画を相応以上に進められていると評価した。本年度は1について査読有り国際誌に既に5編の論文が受理・掲載された。また2,3については計画を順調に遂行している。国際誌のレビューアーを務めた。

1-2.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

1.授業内容:講義では,指導項目を厳選し,必ず身につけるべき内容を提供する。ウェブページなどで,授業内容と,より進んだ内容を提供し,予習と復習を確実にできるようにする。また専門的な内容については,学校教育での位置づけと授業実践への発展性を学生が理解するように努める。2.授業実践:一つの講義ごとに扱う主題・習得すべき項目を明確にし,学生の理解度を確認しつつ授業を進める。また学習内容の学校教育への応用について討議を行う。3.成績評価:講義の大目標と評価項目を事前に周知し,学生の授業への関与の積極さ,学習到達度などを総合的に評価する。

(2)点検・評価

1.例年通り,講義の内容に関する資料をウェブページで閲覧可能にし,学習内容の周知徹底をはかった。また対象となる学生の予備知識と近年の科学的知見の進展を考慮して,前年までの資料を更新,または全面改定した。2.目標通り,一つの講義ごとに主題と学習項目を明確にし,専門的な内容についても折に触れ学校教育との関連について紹介することに努めた。現時点で得られている大学院の授業評価結果では,講義に対する満足度で受講生全員から評価5を得られた。ただし学部対象の講義の一つでは若干,内容を高度に設定しすぎたため学生の反応が低かった。反省点として今後改善していきたい。3.目標のとおりに成績評価を行った。

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

1.学生の相談に随時応じ,自らの課題解決について,学生が自律的・主体的に取り組むことを促す。2.本学の学部卒業生,大学院修了生に対する教育・研究活動の支援(アフターケア)を行う。

(2)点検・評価

1.目標を達成するために可能な限りの時間を設けて学生との対話に努めた。その結果,日常生活や教員採用試験などに関連して学生に様々な助言を行うことができたと評価している。また学部1年生の担任業務に積極的に従事し,履修や取得免許に関する相談を頻繁に行った。2.これまでのところ卒業生・修了生と面会する機会が得られなかった。

2-2.研究

(1)目標・計画

1.科研課題を精力的に遂行する。2.研究成果を纏め,論文を出版する。3.領域融合的・国際的な共同研究を活発に行う。4.研究助成の公募に積極的に申請する。

(2)点検・評価

1~3とも目標の通りに計画を遂行した。論文の出版については計画以上の成果が得られた。併せて上記I-1を参照されたい。また平成18 年度に出版した論文について,平成20年6月に日本文化財科学会から奨励論文賞を授与された。4については11月に総括班分担者及び計画研究代表者として,新学術領域研究「環太平洋の環境文明史」を申請した。

2-3.大学運営

(1)目標・計画

講座・部で割り当ての委員会に積極的に参加し,本学の運営に貢献する。

(2)点検・評価

知的財産室委員を努めた。本学初の特許申請に関わる案件に対応した。本学の利益相反ポリシーに関して事務担当者と緊密に討議を重ね,同ポリシーを策定した。第3回中日教師教育学術研究集会準備委員と鳴風会幹事を努めた。いずれにおいても積極的に議論に参加した。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

1.研究課題を中心に講演会や研究発表を積極的に行い,地域文化の持つ普遍性,特質などの国内外での位置づけと現代的価値の発見に貢献する。2.国際的な共同研究を推進する。

(2)点検・評価

1.年度後半に講演会を行う予定であり,現時点では成果がない。林野庁四国森林管理局の研究課題評価委員を努め,会議への参加,研究課題遂行に関する研究協力を行った。2についてはUniv. Wageningen(オランダ),Univ. College London(英国)からの共同研究の申し出があり,計画を進めている。また宮崎県埋蔵文化財センター,文化財修復専門の民間会社(さわの道玄,京都市)の依頼を受け,考古学調査への協力を行い,報告書を提出した。林野庁中部森林管理局(課題名:森林資源の持続的管理のあり方に関する調査)及び四国森林管理局(課題名:地球温暖化に伴う四国地域スギ林の成長応答の分析)の依頼により調査研究に従事し,成果を報告した。

3.本学への総合的貢献(特記事項)

  1. 学術賞受賞:日本文化財科学会第2回学会賞(奨励論文賞)(参考資料:日本文化財科学会会報, 第56号, p. 2, 2008年8月)
  2. 専門分野のトップジャーナルでの出版 (Geology, 36(6), pp. 491-494, 2008)
  3. 科研費採択
最終更新日:2010年03月15日

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