自己点検・評価報告書(自然系コース(数学)) 秋田美代
1.学長の定める重点目標
1-1.大学教員としての研究活動
(1)目標・計画
- 現在,数学教育においては国際的に知識の質をどのようにして高めるかが重要な課題である。この課題を解決すること,具体的には,「生徒が数学の学習場面や日常の生活場面で学習した数学の内容を効果的に活用する力を育成する手法の開発」を目的として研究活動を行う。
- 本年度は,生徒が数学を活用する際の認知過程に焦点をあて,数学活用力育成のためのモデルを構築する。そのために,まず,認知心理学や,脳科学等の先行研究を基に数学活用力育成のためのモデルを開発する。次に,小・中学校等においてモデルを用いた授業を実践し,その有効性を検証する。
(2)点検・評価
1については,「学習内容についての意味の理解の促進及び数学活用力向上に関する研究」を行うとともに,研究結果をまとめ,学会発表及び学会誌投稿を行った。発散的思考を活性化する指導方法の開発に関する研究論文は,日本数学教育学会誌算数教育に採用された。2については,数学活用力育成のための幾何学的モデルを構築し,公立小・中学校現職の算数・数学科担当教員の協力を得て,開発したモデルを用いた授業を実践し,その有効性を検証した。1,2以外で,研究費獲得のために,学内外の競争的資金に積極的に申請し,学長裁量経費,科学研究費補助金を獲得した。
1-2.教育大学教員としての授業実践
(1)目標・計画
- 授業期間の途中で,授業内容についての理解度,自信度等を問うアンケートを実施する。その結果をもとに,学生の理解度を向上させるように授業内容の改善を図る。
- 授業に学生同士の討論・探求的学習等を取り入れ,学生の主体的な学習活動を促す。
- 学生に授業の到達目標についての基準表を配布し,授業の達成度について学生と共通理解を図るとともに,授業期間の途中で学生に基準表と照らして自己評価させる。また,成績評価は,観察,提出物,テスト等の評価法のうち複数を用いて行う。
(2)点検・評価
1については,学部,大学院の授業で,授業内容についての理解度等を問うアンケートを実施した。その結果は,説明内容の修正・改善に活用し,学生が授業内容の理解度を向上できるように努めた。2については,授業で現在の数学教育の課題とその解決方法を学生自身に授業の課題として与える等した。その結果,学生同士の討論等が活発になり,学生は主体的に探究活動を行った。3については,授業期間の最初や途中で到達目標,達成度等について確認を行った。また,成績評価は,観察,提出物,テスト等の評価法のうち複数を用いて行った。さらに,1,2,3以外で,授業内容をより深めたいという学生については,課外に数学科担当教員として必要な教材開発能力・授業実践能力等について討議する時間を取り,学生の教員としての資質・能力の向上に努めた。
2.分野別
2-1.教育・学生生活支援
(1)目標・計画
- 学生の自主的な学習活動を促すために,授業に学生同士の討論・探求的学習等を取り入れる。
- 授業期間の途中で授業の理解状況についてのアンケートを実施し,授業の内容・方法の改善を図る。
- 学生の進路,悩み等の相談に随時応じる。
(2)点検・評価
1については,授業で現在の数学教育の課題とその解決方法を学生自身に授業の課題として与える等した。その結果,学生同士の討論等が活発になり,学生は主体的に探究活動を行った。2については,授業期間の最初や途中で授業の到達目標,達成度等について確認し,授業の内容・方法の改善を図った。3については,学生が学習・生活等で相談に来たときは,極力その時に対応し,都合が悪い場合は,後で時間をつくり対応した。1,2,3以外で,申し出のあった学生に対して,採用試験対策としての模擬集団面接及び模擬授業の指導・助言(5月~8月に週2~3回程度)を行った。
2-2.研究
(1)目標・計画
- 現在研究中である,学習内容についての意味の理解の促進及び数学活用力向上に関する実証的研究を引き続き行う。また研究内容をまとめ,学会発表をするとともに学会誌に投稿する。
- 学内外の研究助成の公募に積極的に申請する。
- 現職の算数・数学科担当教員の協力を得て,教育実践としての研究を行う。
(2)点検・評価
1については,図形領域を題材として学習内容についての意味の理解の促進及び数学活用力向上に関する研究内容をまとめ,学会発表及び学会誌投稿を行った。 2については,学長裁量経費,科学研究費補助金の公募に申請し,学長裁量経費及び科学研究費補助金を獲得した。3については,徳島県,広島県,福岡県等の公立小・中学校現職の算数・数学科担当教員の協力を得て,教育実践としての研究を行った。1,2,3以外で,数学科教員の授業実践能力の向上に関する研究や数学の理解の促進のための幾何学的イメージの活用に関する研究を行った。
2-3.大学運営
(1)目標・計画
- 担当する委員会の委員として,本学の運営に貢献する。
(2)点検・評価
- については,担当する「学校教育学部教務委員会」の委員として,本学の運営に貢献した。1の他に,セクシャル・ハラスメント等の防止等に関する規程に基づく相談員を務めた。
2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等
(1)目標・計画
- 附属小・中学校の算数・数学担当教員とメールや電話で連絡を取り合い,研究活動,児童・生徒及び大学生・大学院生に対する指導等について意見交換・相互協力をする。(附属学校)
- 講座で開講する「算数(数学)教室(仮称)」の講師を務める。児童・生徒及びその保護者に算数・数学の楽しさや不思議さを伝えることを通じて社会との交流・連携を深め,社会に貢献する。(社会連携)
- JICA等の国際協力事業に貢献する。(国際交流)
(2)点検・評価
1については,附属小・中学校の算数・数学担当教員とメールや電話で連絡を取り合い,研究活動,児童・生徒及び大学生・大学院生に対する指導等について意見交換・相互協力をした。2については,講座で開講する「おもしろ算数教室」の講師を務め,社会との交流・連携を深めた。3については,JICAの委託事業である「大洋州地域初等中等算数・数学教育」の指導教員を担当し,国際協力事業に貢献した。1,2,3以外に,中東,南アフリカからのJICA受入研修に対する協力,ラオス人民民主共和国の理数科教育への協力を行った。
3.本学への総合的貢献(特記事項)
学長の定める重点目標である 「大学教員としての研究活動」「教育大学教員としての授業実践」 及び分野別「教育・学生生活支援」 「研究」「大学運営」「附属学校・社会との連携,国際交流等」のいずれの項目も目標・計画は確実に実行でき,付け加えて実行できたことも多かった。したがって,本年度,本学への総合的貢献度は大きかったと判断する。