自己点検・評価報告書(生活・健康系コース(技術・工業・情報)) 尾崎士郎

報告者 尾崎士郎

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての研究活動

(1)目標・計画

  1. 卒業研究と修士研究で,技術教育に関する教材開発,木材の機械加工に関する基礎研究を継続するとともに,地域の素材を活かした新しい木材の開発とその教育的利用に取り組む。
  2. 上記と同様の技術教育に関する教材開発,木材の機械加工に関する基礎研究課題,または関連の研究課題について,学内外との共同研究として継続し実施する。
  3. 科研費「技術科教員養成での修得基準の作成及びその基準による検定制度と競争的教育環境の構築」に関する研究分担者として継続研究する。
  4. 地域の研究機関から共同研究の依頼があれば,協力する。

(2)点検・評価

  1. 卒業研究と修士研究では,(1)技術科教員養成基準に基づく検定制度(科研費),(2)技術科指導力に関するスタンダードの作成,(3)環境教育の教材開発を意図した木質廃材の有効利用,(4)教育的利用を意図した木材の藍染技術など,修士研究では,(5)特異な切屑生成形態である剪断型切屑の生成機構, (6)曲げ加工技術の作品制作への応用に関する基礎研究を継続するとともに,地域の素材を活かした新しい木材の開発とその教育的利用に関連した課題に取り組んだ。
  2. 上記(2)は学内共同研究,(4)が徳島県森林総合技術センター他,(5)が名古屋大学,(6)が本学美術教育コースと山口大学との共同研究の一環として実施した。
  3. 科研費「技術科教員養成での修得基準の作成及びその基準による検定制度と競争的教育環境の構築」に関する研究分担者として継続研究したものが1の(1)である。
  4. 地域の研究機関から共同研究の新規の依頼は無かったが,継続研究が(4)の一部である。地域の研究期間等から技術相談が個別にあり,相談に応じた。

全体を通じて,以上の成果を教育系の学会と専門の学会ほか,インテックス大阪で開催のウッドテクノロジーフェアの研究会で研究発表し,報告書作成や辞書の執筆等も継続して行っているが,残念なことに,上記研究成果を論文に纏める余力がなかった。

1-2.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

  1. 講義等においては,基礎学力と応用力の充実と定着,学生の実技や実験の能力向上を図る。講座内,就職支援室との連携を図りつつ,従来通り,教員採用試験対策を積極的に講義や演習等に取り入れて学生の資質向上を図る。特に,学部4年次前期の教育論演習では,実際の試験対策を想定した演習を行う。
  2. 一方的な一斉授業をできるだけ行わず,演習形式の個別指導に重点を置く。また受講者による発表,板書の機会を増やし,討論を行いながら,資質と実践力の向上を図る。
  3. 講義等では,総括的に最後に試験を行うことも重要であるが,小テスト,口述試験を充実したい。技術の場合には,知識・理解に加えて,実技等指導ができることが求められる。カリキュラムに実習の科目が皆無であるため,教育論と同演習でその指導力の育成を図り,どのように評価するかを検討する。

(2)点検・評価

  1. 講義等では,基礎学力と応用力の充実と定着及び学生の実技や実験の能力向上を図る観点から,一方的な説明にならないようにテキストの文章を学生に読ませ,教員から質問をして考えさせ,興味を喚起した後に解説を行うことを重視した。講座内教員や就職支援室との連携を図って学生の指導上の問題点を把握し,教員採用試験対策として重要な学習内容については,演習等形式を取り入れてじっくりと学習させて学生の資質向上を図るように心がけた。特に,学部4年次前期の教育論演習では,実際の試験対策を想定した演習も行った。
  2. 前記と関連するが,演習等では従前の一方的な一斉授業をできるだけ行わず,実践形式の個別指導に重点を置き,受講者による発表,板書の機会を増やし,重要な課題については討論を行いながら,資質と実践力の向上を図る努力を行った。
  3. 講義等では,総括的な試験に加えて,重要な課題については小テスト,口述試験を課した。しかし,これを課し過ぎると時間的に指導内容の削減に繋がるため,それほど多くの回数を課すことができず,改善の余地が残されている。技術の場合には,知識・理解に加えて,実技等指導ができることが求められるため,教育論と同演習の一部では,ものづくりの実習的な内容を取り入れた。1-1の2の3で検定制度の試験問題作成責任者を担当している関係で,知識・理解の評価,技術指導力の評価の検討を意識しながら,使用済みの問題と課題を利用しながら,指導方法とその評価方法の試行と検討を授業の中で学生と一緒に行った。

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

  1. 講義・演習では討論を取り入れるなどの工夫を行い,基礎学力や応用力の定着を図る。
  2. 技術の専門科目では実習の科目が無く,学生の実技・実験等力量が大幅に低下しており,これらを改善するために,教育論・演習等での実習内容の充実を図る。また従来通り,教員採用試験対策も積極的に取り入れて学生の能力向上を図る。
  3. 研究室配属学部生・院生の勉学と生活等相談,進路等就職支援の充実を図る。
  4. 弓道部顧問として,技術指導,年間行事に対する個別指導を行って活動の活性化を図りつつ,学業,学生生活,就職等悩み相談にも応じる。
  5. 地域連携として実施する各種催し物や現職教員との交流等について,学部生や大学院生と共に,教育や学生生活支援の一環として位置づけながら実施したい。

(2)点検・評価

  1. 講義・演習の工夫については,1-2の2を参照。
  2. 技術の専門科目についても,1-2の2を参照。4年生前期の授業の多くが選択科目であり,受講者が少ない。その講義・演習等では技術の知識・理解と実技的な内容の充実を図るとともに,教員採用試験対策も積極的に取り入れ,また就職支援対策を積極的に受講するように指導した。受講生が真面目であったことによるが,出席率8割程度を越えた者の教員採用試験他合格率が非常に高かった。
  3. 研究室配属学部生・院生の勉学と生活等相談,進路等就職支援の指導に年間を通じて詳細に行った。結果,学部4年生2名は大阪府中学校教員(技術)と兵庫県警。大学院2名は市役所臨時職員と神戸市中学校教員(技術)として採用された。
  4. 弓道部員の技術指導に時間を十分に割くことができず,特に後期には出張等が重なって,貴重な土曜日午前中の練習と技術指導に協力する時間が少なく,前期については学生表彰等を受けたが,これに比較して後期の戦績は十分ではなかった。平成21年度には,その穴埋めをしたい。
  5. 地域連携としては,ウチノ海総合公園で開催された鳴門市等後援のフェスティバルにおいて幼児,子どもや保護者らを対象にしたものづくりに関するボランティア活動を,学部・大学院生と共に参加した。教員採用試験での面接等で主張の材料にもなってくれることを願って,企画,材料の準備とものづくりの指導の練習を大学院の現職派遣教員らと協力して,学部学生と大学院ストレートマスターに対して指導した。徳島県総合教育センターで開催の全国中学生ものづくり競技大会徳島県大会の実技指導を,徳島県下現職教員と協力して行い,研究室配属の学部と大学院学生らも参加させて中学生の指導の支援を行った。これにエントリーした本学附属中学校3年生の小野瀬君が中国・四国地区代表に選出され,第8回全国中学生ものづくり競技大会全国大会(東京)に出場し活躍した。

2-2.研究

(1)目標・計画

  1. 上記1-1.大学教員としての研究活動の目標・計画等と同じ。
  2. 2007年度8月から所属学会で辞書の編纂の準備が開始され,今年度は担当の用語に関する調査研究等が加わる。一部,ゼミでの研究指導にも活用する予定である。

(2)点検・評価

  1. 上記1-1.大学教員としての研究活動の2.点検・評価と同じ。
  2. 上記1-1.大学教員としての研究活動の2.点検・評価と同じ。
    卒業研究と修士研究の研究活動を通じた教育は非常に重要であり,特に,未知の課題を解決する研究への取り組みは,教育者としての力量の向上とともに,教育現場での未知の課題解決に寄与すると考えており,研究に真摯に取り組むことは重要なことであることを,研究の合間に学生に繰り返して話すことにしている。大学院修了生2名は真摯に研究に取り組み,教員と市役所職員となった。
    しかし,学部4年生の2名は研究への取り組みが12月中旬まで不十分であったことに加えて,その中の1名から“本学では教員採用率向上のために卒業研究では不可になることがない”とする発言があった。この様な発言を初めて聞き,3月上旬まで学部4年生の指導では心改めるようにと格闘し,苦い体験が続いた。学部4年生の研究指導では失敗である。最終的には十分ではなくても幾つかの研究成果を残したので合格としたが,その発言の内容に似た考えが,学生の間に蔓延しているのではないかと危惧している。

2-3.大学運営

(1)目標・計画

  1. 前年に引き続き各種委員会担当等で,学生の就職指導と大学院定員充足等本学の運営に貢献したい。
  2. 教育研究評議会にも属しており,部運営等では部長を補佐し,大学運営上の課題解決に寄与したい。

(2)点検・評価

  1. 就職支援委員会では副委員長を担当し,模擬面接・模擬授業の模擬面接官を担当した。これまでの模擬面接官と教育委員会訪問等の体験は,教育論と同演習ほかでの学生の指導に,有形無形に生きているように感じる。
    大学院入試委員会委員,コースの一員として大学院定員充足等のために,大学訪問を行って大学院説明を行った。訪問先の教職担当教員または就職部職員から学生の紹介があり,数名の大学院入学者を得たが,残念なことに,自分の所属コースの定員充足に貢献出来なかった。ただし,他大学,特に私立大学の就職部等教職関係職員や教職担当教員への接触方法を理解しつつある。今後に活かしたい。
  2. 教育研究評議会にも属しているが,部運営等では部長を補佐し,大学運営上の課題解決に寄与しているとする実感がないことが申し訳ないように思う。頑張っているつもりであるが,ただ,学内外の仕事が目の前を通り過ぎているのが実感である。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

  1. ものづくり教育等を通じて,附属学校教員や徳島県下の現職教員と連携し,現職教員の各種研究会活動等の充実に貢献する。
  2. 徳島県総合教育センターや鳴門市等を介して,地域社会の教育活動や催し物に出席し貢献する。
  3. 地域連携として全国中学生ものづくり競技大会の技術指導を徳島県下,中国四国地区9県,全国の全日中研究会現職教員と交流と連携を図りながら実施する。
  4. ものづくりに関する地域の催し物に研究室学生他と積極的に出席し,地域住民,子供達,青少年との交流を充実する。

(2)点検・評価

  1. 附属学校教員や徳島県下の現職教員と連携し,研究授業等準備の疑問等を随時受け入れ,時間の許す限り,必要に応じて附属学校と総合教育センター等で相談に応じた。これらの一部は,将来の中国・四国地区技術家庭科研究会の準備を兼ねている。
  2. 徳島県総合教育センターで開催の中学校と高等学校ほか学習成果の発表会の一環で行われた催し物の中で,来場者参加型のものづくりの指導を担当した。
  3. 2-1点検評価5の後半を参照。全国中学生ものづくり競技大会全国大会(東京/北千住)では評価規準,審査内規,監督要領の作成と審査委員長を担当し,東京都,茨城県と栃木県を中心とする全国の現職教員,大学教員等と協力して実施した。
  4. 2-1点検評価5の前半を参照。例年通り,盛況であった。

3.本学への総合的貢献(特記事項)

最終更新日:2010年03月12日

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