自己点検・評価報告書(言語系(国語)コース) 野口哲也

報告者 野口哲也

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての研究活動

(1)目標・計画

  1. 従来から取り組んできた泉鏡花の研究を継続しつつ,新たな研究課題として現代文学にも対象範囲を拡げ,近現代文学の担当教員としての自らの資質を高める。
  2. 学内外の共同研究等の機会に積極的に参加し,学術的な交流を深め,研究者としての視野を拡大する。

(2)点検・評価

  1. これまで研究してきた明治期幻想文学を新たに翻訳文学という対象領域に理論的に接続させる研究計画を作成し,科学研究費補助金に応募した。また,現代文学における「子ども」に関する解説付きアンソロジーの作成にも新たに携わった(平成21年4月1日刊行)。
  2. 平成20年度科学研究費基盤研究(C)に採択された2件の共同研究(『1960年代日本における文学概念の変容についての総合的研究』『脱ジャンル領域としての「小品」に関する動態的・文化史的総合研究』)に,それぞれ研究協力者として従事し,調査報告等を行った。

1-2.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

  1. 文学作品の価値や意義を検討するための基礎的な手続きや態度を徹底して習得する授業を展開し,質の高い教育実践の背景作りに貢献する。
  2. 講義形式の授業にあっても受講者とのコミュニケーションを重視し,受講者が教室で作品を扱う際の創意工夫につながるような主体的な取り組みを促す。
  3. 上記項目とも関連して主体的な授業参加の姿勢そのものを評価に組み込む。開講時のガイダンスにおいて,できるかぎり客観的な形で評価を行うことを説明する。

(2)点検・評価

  1. 授業の実施については,今後なお精度を高めてゆく余地は多いものの,概ね計画通りに行うことができた。ただ,レポート等を作成するにあたって,先行研究の参照方法や引用方法に関するルール違反を無自覚に(あるいは自覚的に)行ってしまう学生もいるので,そうした場合には特に厳しく指導した。
  2. 講義形式の授業でも,フィードバックペーパーを毎回配布し,次時の冒頭に意見や感想を紹介し,また質問に回答する時間を設けた。また,演習形式の授業では,担当者の発表を補足・修正しながら,受講者が質問や意見発表を行いやすい環境を整えるよう心がけた。発表と質疑の時間配分や調整には問題が残ったが,学生の理解度をその都度確認すること,受講者の主体的な取り組みを促すことはできた。
  3. シラバスに到達目標を明示し,初回および試験直前の授業時に詳しい説明を行った。特に成績評価については,討議における積極的な発言やフィードバックペーパーの内容も重視することを周知した。

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

  1. 演習担当者への事前指導やオフィスアワーの活用など,授業外においても十分な学習支援を行う。また,学生の疑問や意見を受けとめ,講義内容に反映させる。
  2. コースやゼミにおける教育研究を中心として,学生との間に適切で良好な関係を築くよう努める。

(2)点検・評価

  1. 演習の事前指導その他,学生・院生からの質問には随時対応した。また,I-2にも記したとおり,学生とのコミュニケーションを重視した授業展開を心がけることで,学生の意欲的な取り組みを促すことができた。
  2. 後期から採用されたが,大学院のゼミ生を1名担当し,修士論文の完成に向けた研究指導や,教員採用試験に向けての教育指導を開始した。また,コース内で他の教員が主催するゼミナールにも積極的に参加し,幅広い教育研究活動のあり方を模索するよう心がけた。

2-2.研究

(1)目標・計画

  1. 従来からの研究テーマである,泉鏡花を中心とした近代幻想文学に関する研究を継続し,論文化して学会誌に投稿するとともに,これまでの業績と併せ博士学位請求論文としてまとめる。
  2. 共同研究や学際的研究等の機会に積極的に参加する。
  3. 科学研究費補助金の申請を行い,外部資金の獲得に努める。

(2)点検・評価

  1. 1-1に記したとおり,「子ども・少年・少女」をテーマにした日本近現代文学のアンソロジーに共著者として参加し,解説も執筆した。博士論文は,完成に向け鋭意執筆中である。
  2. 1-1に記したとおり,科学研究費基盤研究(C)に採択された2件の共同研究に研究協力者として参加しているが,いずれも3カ年計画であり,21年度からはそれぞれ研究分担者として参加する。
  3. 平成21年度科学研究費補助金について,研究代表者(若手(B))として1件,分担者(基盤(C))として1件申請した。また,若手研究(スタートアップ)への応募も準備している。

2-3.大学運営

(1)目標・計画

  今後,各種委員会等で公務に携わることがあれば,円滑な大学運営の遂行に貢献できるよう努める。また,講座における各種行事の運営にも積極的に関わりたい。

(2)点検・評価

  後期採用のため,委員会には所属しなかったが,大学院教務委員会への代理出席等,補助的な役割を積極的に果たした。 また,コース会議および部会議に出席し,校務に協力した。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

  1. 附属学校の教員と連携し,意見交換を行う機会を設ける。
  2. 地域の教育・文化活動に積極的に参加し,社会との連携を図る。
  3. 留学生の指導・支援など,コース全体の国際交流活動に携わる。

(2)点検・評価

  1. 「学部・附属連絡協議会」に参加し,附属学校園との連携に取り組んだ。
  2. 地域・社会との連携に関しては,特筆すべき活動ができなかった。
  3. 第5回日中友好促進青少年交流事業に関して,本学を訪問した中国人学生による授業参看を受け入れ,日本近代文学史の講義を行った。

3.本学への総合的貢献(特記事項)

  1. 1-1,2-1に記したとおり,一般向けおよび大学用のテキストとして幅広く使用されることを想定したアンソロジーの作成に携わり,4月1日付でこれを刊行した。21年度はこれを用いて授業を行う予定である。
  2. 後期着任ということもあり,教育研究活動や学生支援に対し個人的には精一杯取り組んだが,上記の他に本学への貢献として特記すべき活動ができたかどうかは,やや心許ない。21年度は,大学への貢献を意識化し,積極的に取り組みたい。
最終更新日:2010年03月29日

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