自己点検・評価報告書(言語系コース(英語)) 藪下克彦

報告者 藪下克彦

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての研究活動

(1)目標・計画

  過去十年以上にわたって,「主題句の意味論と語用論」に取り組んでおり,近年中に本にまとめるという目標を持って研究を行っている。本年度もその目標の実現を目指すが,その過程で得られることができた成果を内外の学会,学術誌で積極的に発表したいと思っている。

(2)点検・評価

  日本語と韓国語などに見られる「主題句」の用法の中でも,対比的用法の新分析を提案した研究成果を7月21~26日に韓国・ソウルで開催された第18回「国際言語学者会議」で口頭発表した。その論文は,当研究大会での発表された論文の中で優秀であるとされたものを集めた論文集Current Issues in Unity and Diversity of Languages: Collection of the papers selected from the CIL 18に掲載された。また,この論文の修正版がコーネル大学の出版する学術誌に出版されることになっている。現在,「は」などと共に「取り立て詞」の一つである「も」の様々な用法を統一的に説明する研究を行っている。その成果を国際研究大会で発表するべく準備中である。なお,学会活動として,日本人工知能学会第20回年次大会・国際ワークショップ Logic and Engineering of Natural Semantics(自然言語意味論の論理と工学)(平成20年6月9日,10日旭川市にて開催)の企画・実行委員を務めた。

1-2.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

  最近の傾向として,小中高の教師は,教科指導に関しては教科書の教師用指導書に沿って教えれば事が足り,「高邁」な専門的知識は無用であるという態度が学生に見られる。しかし,実際は小中高の教科内容でも,しっかりと教えるためには,教える内容よりも数段上の深い専門知識が必要であることを気づかせるような授業内容にしたいと思っている。そのためには,専門的知識をただ一方的に講義するのではなく,学生が将来教壇に立ったとき関連する内容を自分だったらどのように生徒に教えるだろうと,常に意識するような授業方法を取りたいと思っている。成績評価に関しては,先ず,定期試験の点数は,最終的な答えだけでなく,そこに至るまでの思考過程も考慮に入れて,決定する。そして,先に述べたような授業方法を行うためには,学生の授業への積極的参加が不可欠であるので,授業中の発言など授業への積極的参加度も考慮に入れる。さらに,予習・復習などの授業外での努力も考慮に入れる。

(2)点検・評価

  すべての授業において,ときおり中学生レベルの英文法の問題を取り上げ,学生たちが理解しているつもりでも理解していないことに気づかせたり,生徒に教えるためには,問題を解くだけの理解では不十分であることに気づかせたりする実践を行っている。期末試験は,教科書や参考書に書いてある内容そのものを聞く問題ではなく,それらの内容や授業の内容を深いレベルで理解していないと解答することができないような問題を出題している。その結果かどうか定かではないが,授業評価に,専門科目の奥深さや専門的知識の大切さを知ることができたというコメントが多く見られるようになった。

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

  英語講座では,平成19年度「教育研究支援プロジェクト経費」英語学習の「場」の創造とその支援システムの開発―英語科教育コースにおける英語学習文化の確立をめざして―,において学部英語教育コースの学生のための英語両区伸長支援プログラムを行っているが,来年度も引き続き,この事業にTOEFL, TOEIC等の資格試験の受験対策講座などで協力していきたいと思っている。
  そして,英語教育コース,また,学部・大学院に関わらず,どの学生であっても,就学,生活上の相談に乗っていきたいと思っている。

(2)点検・評価

  TOEFL, TOEIC対策で,特に,文法問題に関する学生の疑問に随時答えた。
  学部生,大学院生に関係なく,就学,生活上の問題に関して,研究室でお茶を飲みながら,また,食事を共に取りながら,相談に乗った。

2-2.研究

(1)目標・計画

  • 上記1-1で述べたように,長年の研究題目である「主題句の意味論と語用論」を中心に研究を行うが,その過程で得られた成果を内外の学会,学術誌で積極的に発表する予定である。
  • 科学研究費補助金などの研究助成の公募に申請し,学外資金の調達に努める。

(2)点検・評価

  • 上記1-1で述べたように,「主題句」の用法の中でも,対比的用法の新分析を提案した研究成果を7月21~26日に韓国・ソウルで開催された第18回「国際言語学者会議」で口頭発表した。その論文は,当研究大会での発表された論文の中で優秀であるとされたものを集めた論文集Current Issues in Unity and Diversity of Languages: Collection of the papers selected from the CIL 18に掲載された。また,この論文の修正版がコーネル大学の出版する学術誌に出版されることになっている。現在,「は」などと共に「取り立て詞」の一つである「も」の様々な用法を統一的に説明する研究を行っている。その成果を国際研究大会で発表するべく準備中である。
  • 学外研究費に関しては,残念ながら,科学研究費補助金申請の準備が間に合わず,申請を行っていない。

2-3.大学運営

(1)目標・計画

  平成20年度にどの委員会の委員をするのか未だ決まっていないが,どの委員会の委員に決まるにせよ,その委員会活動を中心に,本学の運営に貢献する。

(2)点検・評価

  平成20年度は,学部教務委員を務めている。学部教務に関して,主に,英語コースと大学の橋渡し役として,鋭意努力した。また,実地教育専門部会委員として学生の介護体験施設,実地教育実習協力校を訪問し,学生の実習の状況,大学に対する要望などを聞く仕事もこなした。
  「大学院学校教育研究科(国際教育協力コース)への10月入学実施に向けた調査研究」に関する活動の一環として,9月29日に本学が学術交流協定を締結しているオーストラリアのアデレード大学において,西園教授とともに,本学への留学生派遣と学術交流を活発化するための方策,要望などの聞き取り調査を行った。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

  • 授業(「教科教育実践」,研究授業)などの機会に,附属学校教員との交流を深め,共同研究の環境づくりに務める。また,20年度は付属小学校・中学校の英語関係の教員と勉強会を開催する予定である。(附属学校)
  • 大学と地域・社会また留学生との交流,相互理解を図りたい。(社会連携,国際貢献)

(2)点検・評価

  • 研究授業や「初等中等教科教育実践I」などの授業の一環として附属学校を訪問し,教員と話をする機会は会ったが,勉強会などの交流活動には至っていない。
  • 留学生のための懇親会に積極的に参加したり,留学生とテニスなどのスポーツをいっしょにすることによって,留学生との交流を深めたり就学や生活上の問題に関して相談に乗った。 また,専門職GPの特別講演会「教師に求められる専門的な資質・能力とは何か」 (講師:キャロル マーツ フランケル(ピュージェットサウンドド大学),ヴィリヨ コッホネン(タンペラ大学))(7月2日),専門職GPの特別講演会「アメリカ合衆国の教師教育の現状―メリーランド大学の場合」(講師:デイビィッド G. イミッグ教授(メリーランド大学))(10月16日)に出席するとともに,懇親会では通訳として参加した。

3.本学への総合的貢献(特記事項)

  7月21~26日に韓国・ソウルで開催された世界最高水準の国際研究大会である第18回「国際言語学者会議」において,競争率の高いセッション(分科会)に論文が採択され,口頭発表を行い,その論文が優秀論文集に掲載された。

最終更新日:2010年03月29日

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