自己点検・評価報告書(社会系コース) 原田昌博

報告者 原田昌博

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての研究活動

(1)目標・計画

  ドイツ現代史を専攻するものとして,歴史学の現代的意義を意識しつつ,可能な限りドイツでの史料を発掘し,その史料に基づく歴史叙述を目指している。具体的な構想としては,1920年代のナチズムおよび右翼陣営と労働者との関係を解明することで,ナチズムが成長した一因を明らかにしていきたいと考えている。平成21年度は,科学研究費補助金を利用して,夏季休暇等に渡独し,ドイツの文書館で上記テーマに関する史料発掘を行ない,これまで収集した史料と併せて分析・検討を加えていき,可能であればその研究成果を公表したい。

(2)点検・評価

  前年度の海外調査で収集した史料の分析を進め,学会誌に論文(A論文)を発表して,研究成果の一部を公表した。夏期には当初の予定通り渡独し,ベルリンの公文書館・図書館に保存されている未公刊史料の状況を調査し,従来からの研究テーマ(ワイマル共和国期ドイツにおけるナチズムの労働者政策)ならびに新しい研究テーマ(ワイマル共和国期ドイツにおける右翼労働運動の展開)に関する史料収集を行うと同時に,その分析を進めた。

1-2.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

  1. 社会科授業の教材研究に資することを目的に,外国史の講義内容に関して,一方で通史として長期的な視点からマクロに捉える内容,他方で一つの時代を多面的な視点(政治・経済・文化など)からミクロに捉える内容を設定する。
  2. これまでの授業結果を踏まえて視聴覚教材や講義資料の充実を図ることで,平板的な講義にならないよう心がける。
  3. 出席状況を加味した総合的な評価を行う。

(2)点検・評価

  1. 「外国史概論」においては,「国民国家の形成と展開」をキーワードに,フランス革命から冷戦期に至るまでの西洋近現代史をマクロに捉える講義内容を設定・実施した。他方,「外国史特論」では1930年代から第二次世界大戦に至るまでの短期間の歴史をナチス・ドイツの動向を中心に政治・経済・文化・社会など多様な視点からミクロに捉える講義内容を設定・実施した。後者の授業は,FD授業公開の対象科目に選択され,全学的な授業公開を行った。
  2. 各回の講義用に詳細な講義レジュメと資料を準備し,学生の授業理解の一助とした。さらに,ビデオ教材や実際のヨーロッパの写真,現物資料(地図・パンフレット・紙幣など)を積極的に活用したが,これらは平面的な言葉だけの授業を立体化させる役割を果たし,学生には好評であった。また,研究室に質問に来る学生には時間の許す限り対応した。
  3. 講義では毎回出席を取り,成績は出席状況と試験・レポートの点数を総合的に評価した。

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

  1. 進路や日常生活の悩みなどについて学生からの相談があった場合,随時積極的に応じ,適切な助言を行う。
  2. 情報提供や日常の対話などを通じて,指導学生の就職指導を行い,特に教員採用試験の受験または本学大学院への進学に対する動機づけをはかる。

(2)点検・評価

  1. 授業・ゼミ・会議以外は研究室を開放して,ゼミ生や講義受講者などの質問・相談に随時対応した。
  2. 教員採用試験を受験するゼミ学生には大学が行う諸行事・説明会への出席を促し,また研究室にも対策問題集を常設して可能な限りの補助を行った。

2-2.研究

(1)目標・計画

  1. 科学研究費補助金の申請(継続)を行う。
  2. 従来からの研究テーマ(ワイマル共和国期ドイツにおけるナチズムの労働者政策)の研究を継続するとともに,新しいテーマ(ワイマル共和国期ドイツにおける右翼労働運動の展開)に関して夏期休暇中に渡独して史料収集を行い,その分析を進める。

(2)点検・評価

  1. 科学研究費補助金を申請(継続)し,受給した。
  2. 夏季休暇中に予定通り渡独し史料収集を行い,その分析を進めるとともに,前年度までの研究成果の一部をA論文として学会誌に掲載した。

2-3.大学運営

(1)目標・計画

  学内での委員としての職責を果たし,本学の運営に貢献する。

(2)点検・評価

  大学院コアカリ運営委員会,教員免許状更新講習実施委員会,安全管理委員会の各委員として委員会に出席し,教育部・コースとのパイプ役として,双方の意見反映に努めた。また,コース内では会計担当として,コース予算の管理を行った。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

  1. 評価授業の参観や附属学校教員との意見交換などを通じて附属学校での実習指導を支援する(附属学校)。
  2. 鳴門史学会での活動を通じて,地域社会との人的・学術的な交流を推進する(社会連携)。

(2)点検・評価

  1. 指導学生の附属学校での教育実習の授業を参観し,授業終了後,適宜学生への指導と附属小学校教員との意見交換を行った。
  2. 鳴門史学会代表として研究大会および例会(4回)を企画・運営し,地域社会との人的・学術的連携を図った。特に,研究大会に関しては,徳島県立博物館と共同して「人形浄瑠璃から見た阿波の近世」と題して,徳島の地域文化としての人形浄瑠璃の歴史的意義を考える講演会を企画・実施し,たくさんの一般市民が来場した。

3.本学への総合的貢献(特記事項)

特に以下の2点で貢献した。

  1. 授業の充実(方法・教材など)を積極的にはかり,学生の外国史への理解を可能な限り容易・具体的にするように努め,結果として授業アンケートなどで学生の高い評価を獲得することができた。「外国史特論」がFD授業公開の対象科目に選択され,全学的な授業公開を行った。
  2. 科学研究費補助金を獲得し,本学の外部資金獲得に貢献するとともに,海外での資料調査を実施し,研究成果の一部をA論文として公表した。
最終更新日:2010年03月29日

お問い合わせ

経営企画戦略課
企画・評価チーム
電話:088-687-6012