自己点検・評価報告書(言語系(国語)コース) 永田良太

報告者 永田良太

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての研究活動

(1)目標・計画

  外国人に日本語を教えるためには,学習言語である日本語の規則を解明することが重要である。日本語の規則が解明され,学習者の習得に関する規則が解明されることで,はじめて指導法について考えることが出来る。
  これまでは,日本語母語話者を対象として,日本語の規則の解明に取り組んできたが,平成20年度においても,日本語学習者の習得規則の解明および指導法の開発を視野に入れつつ,引き続き,日本語の規則の解明に取り組みたい。具体的には,日本語の接続助詞やあいづちが実際の談話の中でどのように用いられているかという日本語の運用規則の解明に関する研究を継続して行い,その研究成果を随時発表する。

(2)点検・評価

  日本語教育における諸課題のうち,本年度はコミュニケーションとバリエーション(方言)という二つの課題に取り組んだ。まず,日本語の接続助詞が実際のコミュニケーションの中でどのように用いられるかについて,聞き手の言語行動であるあいづちに着目して,両者の関係を明らかにし,機関誌への掲載が採択された。また,コースの教員と共同で徳島方言の語彙「めげる」についても意味論的に解明し,その成果を学会誌に掲載した。このように,コミュニケーション能力の向上や方言と教育の関係を考えるための研究を行い,成果を上げることができた。

1-2.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

  将来,教員になる学生にとって重要なことは確かな知識と自ら考える力,そして実践力であると考えるが,担当の授業科目においては,教育実践を見据えつつ,知識および思考力の修得に重点をおきたい。
  まず,授業内容に関して,「講義」科目においては当該分野に関する幅広い知識を授けることを目的とし,「演習」科目においては自ら深く考える力を養うことを目的とする(1)。但し,これらの力は相互に結びつくことが望ましいため,「講義」科目においても,一方的な講義形式ではなく,資料をもとにしたディスカッション形式の授業形態を積極的に取り入れたい(2)。また,評価に関しても,単に知識の習得を問うものではなく,自ら課題を発見し,考えたことをお互いに学び合うことができるよう,レポートおよびディスカッションにもとづいた複合的な評価を取り入れたい(3)。

(2)点検・評価

  授業に際しては,教育実践のための専門的知識の習得に留まらず,実践に際しての当該知識の必要性を受講生に理解させることに努めるとともに,そこで習得した知識をもとに深く考える力を身につけるためにディスカッション形式の授業形態を積極的に取り入れた。現職教員や留学生など様々な立場の受講生の参加が得られたため,議論を深めることができた。
  また,評価に際しては,受講生自身が深化させた問題意識にもとづくレポートに加えて,授業中の活動やディスカッションについても評価の対象とすることで,受講者の学習意欲を高めるとともに,学習の達成度を多面的に測ることが出来た。
  授業評価アンケートからも,受講生自身が教育実践への高い意識を持って主体的に授業に取り組んだことがうかがわれる。

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

  学習・研究活動および教員採用試験に関する前年度の成果を踏まえ,本年度も,指導学生に対して,教員採用試験や学会発表などの目標を早期に意識化させ,大学生活および研究に対する動機づけを行う。
  また,公立学校における日本語支援や地域日本語教室における日本語指導などの機会を設け,日本語教育の実践に積極的に取り組ませることを通じて,学生の教育実践力の向上に努める。

(2)点検・評価

  教員採用試験や学会発表といった目標を指導学生に早期に意識化させて指導を行った結果,学部生・大学院生ともに学習意欲が高まり,研究を深化させることができた。また,公立学校や鳴門市日本語教室など,日本語指導の機会を積極的に設けることで,学校や地域における日本語教育の現状と問題点の理解を深めるとともに,教育実践力の育成に努めた。

2-2.研究

(1)目標・計画

  前年度からの継続研究課題である「コミュニケーションの観点から見た接続表現」に関する研究を行い,その結果を随時発表する。具体的には,日本語の接続助詞やあいづちが会話の中でどのように用いられているかを実際の談話資料にもとづきつつ解明する。また,講座の教員と共同で,徳島方言の語彙を意味論的に解明するという,新たな研究テーマにも取り組みたい。さらに,科学研究費補助金に応募するなど,外部資金の獲得にも努める。

(2)点検・評価

  談話における接続助詞とあいづちとの関係について,機関誌に投稿し,採択された。また,コースの教員と共同で徳島方言の語彙「めげる」についても意味論的に解明し,その成果を学会誌に掲載した。さらに,科学研究費補助金への申請を行い,外部資金の獲得にも努めた。

2-3.大学運営

(1)目標・計画

  大学運営に関して,前年度に引き続き,大学院入試委員としての職務を遂行し,大学院定員の充足や入試の円滑な実施に努める。また,平成20年11月に開催される第3回中日教師教育学術研究集会の準備委員として,会の成功に向けて努力する。さらに,各種の大学行事に積極的に参加するとともに,コースにおける各種行事の運営にも積極的に関わる。

(2)点検・評価

  大学院入試委員として,県外における大学院説明会への参加や他大学における大学院説明会の実施,さらには台湾における日本留学フェアへの参加といった活動を通じて,大学院の定員確保に努めた。また,平成20年11月に北京師範大学で開催された第3回中日教師教育学術研究集会に準備委員として参加したほか,大学およびコースの各種行事にも積極的に参加した。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

  前年度に引き続き,附属学校の教員と積極的に情報交換を行い,学生の教育実践力を高めるための指導方法について検討を行う。また,県内(鳴門市)在住の外国人および外国人児童生徒への日本語支援を行うために,前年度に鳴門市国際交流協会とともに開設した日本語教室の運営にも積極的に関わる。さらに,国際交流に関して,協定校等からの留学生を受け入れるとともに,様々な機会を捉えて,海外の大学の研究者との交流を積極的に行う。

(2)点検・評価

  教育実習の前後に,附属学校の教員と積極的に情報交換を行い,学生の教育実践力の向上のための指導方法について検討を行った。また,鳴門市国際交流協会とともに開設した日本語教室を通して鳴門市在住の外国人に対する日本語支援や,小学校・中学校における外国人児童・生徒の日本語支援にも努めた。さらに,国際交流に関して,協定校等からの留学生を受け入れや協定大学の研究者との交流を積極的に行った。

3.本学への総合的貢献(特記事項)

  平成20年度の特記すべき事項として,国際交流および社会との連携が挙げられる。国際交流に関しては,青島大学やシーナカリンウィロート大学といった協定校からの学生の受け入れに加えて,シーナカリンウィロート大学,コンケン大学および北京師範大学といった協定校を訪れて学生や教員との交流を積極的に行った。また社会との連携に関しては,地域や学校における外国人の日本語支援に学生とともに携わった。
  近年,大学における留学生の受け入れと国際交流の必要性は一層高まりつつある。また外国人の増加に伴い,地域や学校における日本語支援の必要性も高まりつつある。このように協定校の学生や教員と積極的な交流活動を行うことができたこと,および,地域や学校の日本語支援に貢献できたことは平成20年度の成果として挙げられる。

最終更新日:2010年03月29日

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