自己点検・評価報告書(現代教育課題総合コース) 太田直也

報告者 太田直也

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての研究活動

(1)目標・計画

  文学作品,それを生み出した文化,人間に関わる諸事についての考察を続けたい。以下にも記すが,具体的には,今年度は2冊の書物の翻訳作業(ディラン・トマスの書簡,地図の歴史)を進め,可能な限り早い時期に公にしたい。条件が整えば,あわせて英国・ウェールズの文化と教育についての研究も継続する。また昨年度の教育実践研究を踏まえて,教師教育のあり方についても勉強会等を行いつつ考察を続ける。

(2)点検・評価

  • 文学作品については主としてディラン・トマスの作品を読み,『英米文学への誘い』(文化書房博文社)に一章を記した。
  • 翻訳作業も継続した。1冊は6月に刊行される。
  • ウェールズの文化と教育についての研究は継続したが,その成果を公にするには至らなかった。
  • 教育実践研究を踏まえた研究会は継続した。その成果は日米教師教育学会(JUSTEC)2008ゼミナー(於:佛教大学)にて口頭発表した。

1-2.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

  • 授業では,主として現代の文化を考察するにあたって必要不可欠な事項をとりあげてゆく。受講生にとって身近な具体例を取り上げて説明することを心がける。
  • 他大学では扱われることの少ない(全くない)特色のあるテーマを積極的に取り上げる。特にヨーロッパ辺境地の文化と教育には重きを置く。
  • 受講生の発言機会を増やし,能力や努力を正当に評価する。
  • 受講生及び指導生の日本語文章表現能力を高めるよう努める。

(2)点検・評価

  • 現代の文化論の基礎については出来うる限り丁寧に解説したつもりである。
  • ヨーロッパ辺境地の文化と教育を扱ったことは,受講者にとっても意義深かったと自負する。受講生からは好意的な感想を得た。
  • 受講生の発言機会の増加を心がけた。受講生からの直接的な不満の声は聞いていないが,活発な議論が展開されたかと問われれば,疑問が残る。
  • 受講生の日本語文章能力に関しては,大きな成果は見られなかった。ゼミでの指導生の文章能力の進歩を考えると,受講生の数が原因のように思われるが,次年度の課題としたい。

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

  • 学生の自主的な活動を支援する。必要な場合には実地指導も行い,可能な限りのアドバイスを与える。
  • いかなる場合にも学生の相談には誠意を持って応じる。

(2)点検・評価

  • 学生の自主的な活動には出来うる限りの支援をした。特にふれあいアクティビティーでは合宿にも参加し,様々な助言及び指導をした。
  • 学生が個人的に行った模擬面接での指導を行った。
  • 軽音楽部のメンバーに可能な限りの支援をした。

2-2.研究

(1)目標・計画

  • 版権を取得した2冊の書物の翻訳作業を行う。『ディラン・トマス書簡集(仮)』については,可能であれば今年度中に刊行する。また『地図の歴史(仮)』は来年度の早い時期に上梓する。
  • 申請中の科研費が採択された場合にはウェールズにおけるウェールズ語(カムリー語)教育と文化を中心に,少数言語と文化,教育の現状を考察する。

(2)点検・評価

  • 諸般の事情により,訳出作業中の2冊の刊行順が変わったが,『地図の歴史(仮)』については訳出作業を終え,6月に『ヴィジュアル版 地図の歴史』(東洋書林)として刊行される予定である。一方,『ディラン・トマス書簡集』の方は12月刊行予定となる。後者は上梓が遅れているが,ディラン・トマスの文章の特徴,本書の性質,出版事情等を考慮すれば,理解していただけるものと確信する。
  • 『英米文学への誘い』(文化書房博文社)に1章を記した。
  • 申請した科研費は採択に至らなかったが,考察は続けている。
  • JUSTEC2008セミナーでの口頭発表は予定外であった。高い評価を得たのは望外の幸であった。

2-3.大学運営

(1)目標・計画

  • 各種委員会等,与えられた責務を遂行する。
  • 入学者確保のための広報活動,主として関東地区の私立大学訪問を可能な限り行う。

(2)点検・評価

  • 学術推進委員会,予算財務管理委員会の委員として,与えられた責務はすべて遂行した。他にサバティカル制度導入に関してのワーキングに関わり,部の意見取りまとめなどを行った。また,FDにも関わった。その他,幾つかの委員会に代理出席し,可能な限り本学の運営に貢献したと確信する。
  • 入学者確保のための広報活動は,個人的に行った。多くは学会活動の合間を利用してのものであったが,時には先方の事務と長時間にわたって懇談し,本学の宣伝に努めた。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

  • 英語圏(主として英国,アイルランド共和国)の教育機関との関係強化を図る。特にアイルランド共和国のSt.Brigid’s Schoolとの交流は継続してゆきたい。可能であれば英国ウェールズの学校,施設等との新たな連携を試みたい。

(2)点検・評価

  • St. Brigid’s School との交流は継続した。残念ながらウェールズの学校・施設との連携は不首尾に終わった。唯一,The Dylan Thomas Centreとわずかばかりの交流ができたが,教育とはほとんど無縁の機関であるため,院生たちに還元できるものは少なかった。当初予定していなかったが,フレンドシップ事業にも幾分か関わることができた。

3.本学への総合的貢献(特記事項)

  何をもって「貢献」とするのか判然としないが,個人的には研究,教育,大学運営等,すべてにおいて可能な限りのことはしたつもりであるし,今後も最大限の努力はするつもりである。ただし,「義務」がとめどなく上積みされてゆくことには,困惑を禁じえない。言うまでもなく,大学は特権的な教育機関などではない。しかし,過度に社会情勢や説明責任を意識することで,また研究者の仕事の本質から視線をそらすことで,あらゆる事が本末転倒にならぬことを望むばかりである。教育と研究は,いずれも等しく時間を必要とし,即効性など期待できないものと愚考する。教員から時間と自由を奪い,「義務」を押し付け,成果だけを求めることが,われわれの文化,教育,社会にいかなるものをもたらすのか,大いに疑問に思う。

最終更新日:2010年03月29日

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