自己点検・評価報告書(言語系コース(国語)) 幾田伸司

報告者 幾田伸司

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての研究活動

(1)目標・計画

  1. 現在,「戦後国語教科書に描かれた人間像」をテーマとして,小・中学校の伝記教材を対象とする調査・分析を進めている。これまで,主に福沢諭吉,キュリー夫人といった代表的人物を素材とする教材の 本文記述の異同を追って,編年的に描かれた人物像を考察してきた。本年度は,同時代の中で描かれる人物像の典型化を図るとともに,社会背景といった諸事情との関連を検討したい。
  2. 上記のテーマに即した研究を学会で報告するとともに,学会誌等に投稿する。
  3. 上記テーマとは別に,今年度は京仁教育大学校との連携を視野に入れた,日韓国語教科書の比較研究に着手する。

(2)点検・評価

  「メディアテクストとしての伝記教材の可能性」を第5回日韓国語教育国際セミナーで報告し,修正・加筆した論文を『月間国語教育研究』誌に投稿,掲載された。また,戦後小学校伝記教材史の検討を第115回全国大学国語教育学会で,教材「みどりの野」に関する検討を第60回中国四国教育学会で報告した。
  また,上記1.に掲げた研究テーマに沿った「戦後国語教科書における規範的人間像の変容」を科研費補助金に申請した他,本学国語コースの共同研究でも共同研究者として科研費に申請を行った。

1-2.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

  1. 授業内容:教材分析・単元構成・発問のあり方・指導法といった実践に即した授業内容を,具体的な教材をもとに検討することを通して,教科内容についての理解を深められるように図る。
  2. 授業方法:学習指導案作成,模擬授業等の活動を取り入れるとともに,受講者の活動や意見をめぐっての相互批評やディスカッションを仕組み,受講生が主体的に授業に参加できる場を設定する。また,ディベートやスピーチ等の言語活動を取り入れ,受講者自身の言語運用能力の向上を図る。
  3. 成績評価:出席状況,授業のふり返り,提出物,課題・レポート,テストなどを通じて多面的に学生を評価するとともに,到達目標と評価基準を明示し,随時フィードバックする。

(2)点検・評価

  1. 2.各種の活動を取り入れた授業を「国語科教育特論」「初等中等教科教育実践Ⅲ」「中等国語科授業論」で実施し,目標の達成に努めた。昨年度までの実践からもこうした授業の実効性は実感されていたが,今年度の授業評価でも高い満足度を得られた。4年次生科目である「国語科教育特論」では,進学者を除く80%の受講者が教員に合格した。授業で扱った内容のなにがしかは受講生の実践力の向上に寄与できたようである。
  2. 多様な評価観点に基づく評価を実施したほか,活動を取り入れた授業では個々の活動に応じて随時 フィードバックを行った。今後とも,教員自身の評価力の向上に努めたい。

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

  1. 1-2で挙げたような活動型学習を取り入れ,実践的能力の育成を目指す。
  2. ゼミの指導においては,ゼミ生同士が議論し合える学習環境を作るとともに,研究・調査の手引き,レポート・論文の書き方等が習得できるように助言・指導を行う。
  3. 学生・院生の相談には随時応じ,生活・学習の両面について支援を行う。

(2)点検・評価

  1. 1-2で挙げたように,実践的能力の育成を目ざした活動型学習を取り入れた授業については,計画通りに実施し,一定の成果を得られたと考える。
  2. ゼミでは学部生4名,大学院生8名の指導を担当した。定例ゼミでは活発な議論がなされ,良好な学習環境が構築できたと考えている。こうした学習の成果として,大学院2年次生4名は,各種学会で研究発表を行った。
  3. 学生・院生の研究・生活上の相談には随時応じ,必要に応じてアドバイスや支援を行うように努めた。まだ不十分な面もあるが,ある程度良好な関係が教員と学生の間では形成できたと考えている。

2-2.研究

(1)目標・計画

  1. 1-1で挙げたように 「戦後国語教科書に描かれた人間像」について学会発表を行い,学会誌等に投稿する。
  2. 同じく,研究代表者として1件,研究分担者として1件,計2件の科研費補助金申請を行った。

(2)点検・評価

2-3.大学運営

(1)目標・計画

  地域連携委員会・実地教育専門部会の委員として大学業務に携わるとともに,教育実習生の授業はできる限り参観し,受け入れ校園との連係を図る。

(2)点検・評価

  地域連携委員会委員として大学業務に携わるとともに,「徳島県内の大学と徳島県教育委員会との連携に関する連絡協議会・生涯学習ネットワーク部会」委員を務めた他,附属校,協力校を併せて10時間の授業参観と指導助言を教育実習生に対して行った。また,特色GP評価スタンダード開発チームの一員として授業構想力評価スタンダード(国語科)を作成した。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

  1. 研究発表会・授業研究会等の指導助言に積極的に参加し,附属学校教員との連携を図る。
  2. 現職教員による研究会への参加,教育支援アドバイザーの登録,授業研究会への参加など,地域と 連携する教育・文化活動に積極的に参加する。
  3. 10年次研修等,地域から要請される講座は可能な限り開講する。

(2)点検・評価

  1. 学部附属連絡協議会で各校園教諭と情報交換を行うとともに,附属小学校校内研究授業,及び研究発表会の指導助言を行い,附属校教諭との研究交流を行った。また,教育実習の授業参観も積極的に行った。
  2. 県内の国語科教員とともに持っている月例の研究会に参加し,教員との研究交流を図った。教育支援アドバイザーの登録,地域で開かれる研究大会への参加など,地域と連携する教育・文化活動には積極的に参加した。
  3. 10年次研修として,「文学作品の教材研究」を開講した。

3.本学への総合的貢献(特記事項)

  GP評価スタンダード開発チームの一員として授業構想力評価スタンダードの策定作業に参加した。
  また,韓国・京仁教育大学校で開催された第5回日韓国語教育国際セミナーでは研究発表を行い,韓国国語教育研究者との研究交流を図った。
  国語コースの共同研究テーマ「カリキュラム開発力を核とする国語科教員養成プログラムの開発に関する研究」では,科研費の申請の他,研究活動にも中心的に携わっている。

最終更新日:2010年03月29日

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