自己点検・評価報告書(言語系コース(国語)) 村井万里子

報告者 村井万里子

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての研究活動

(1)目標・計画
  教育大学(2校)に勤務して20年間,「教員養成という実践現場」の「実践的教育研究」にたずさわってきた。平成20年度前半期は,この「実践現場」を初めて離れ,「大学における教育実践」を対象とする理論的研究に打ち込む。後半期は現場復帰するとともに,前半期につけた見通しを研究を論文として仕上げ,これまでの教育実践活動の総括を行う。これによって,次の段階の実践研究に進む基礎を固める(連合大学院博士課程の主指導教員の資格が得られるよう教育実践研究能力の向上をはかる)。
(2)点検・評価
  平成20年度前半期は,京都大学方法学研究室に1週間に1~2日通い,授業・演習・ゼミナールに参加し,評価の理論を学んだ。このことによって,自らがまとめるべき論考の焦点をあらためて確認した。後期は通常の授業を勤務を行うと同時に,3つのGPの仕事が押し寄せ,予定した自分の論考を進める時間的余裕はなくなった。しかし,教育に全力を挙げるという基本を貫くことはできた。また,連合大学院博士課程の主指導教員の資格審査を通過し,来年度から博士課程の院生を担当することが決まった。

1-2.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画
  • 20年間で見通しをつけた「作文指導を基礎とする国語科カリキュラム」,及び「パフォーマンス評価」の方法・基準の解明・開発をおこなって,教員養成・教員研修の理論的基礎固めをおこなう。(前半期)
  • 上記二つの研究成果をもとに,学習者における長短・軽重の必要度に合わせた柔軟な実践が可能となるよう,「応用実践研究」の第一歩を踏み出す。(後半期)
  • 2年間TTによって試行してきた学部「コアカリキュラムⅡ」の授業内容を拡大・洗練する。(後半期)
(2)点検・評価
  • 「作文指導を基礎とする国語科教員養成カリキュラム」は,長期履修の院生を対象とする授業「初等国語B」のおいて,ほぼ完成をみたと自覚している。(前半期)
  • 「パフォーマンス評価」の実践的研究は,学部コアカリキュラム「初等中等教科教育実践Ⅱ」において,ひとつの確かな手がかりを得た。現在,この実践を考察する論文に取りかかろうとしている。(後半期)
  • 上記2つの授業を通じて「鳴門スタンダード」について,学習者の反応を探ることを得た。(後半期)

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画
  前半期:研究休職中であっても,必要に応じて可能な限り,学部学生,大学院生の指導と相談に応じる。
後半期:学生の個性・能力・状況に応じて学業の達成と進路の開拓を支援する。

 

  1. 学生自身が自己の能力と適性を認識していく活動に協力し支援する。
  2. ゼミ活動を通じて学生の社会的興味・関心を仲間と共に広げていく。(ゼミ・授業・相談)
  3. 教室内外の教員と学生に関する情報を共有しながら「みんなで育てる」態勢を堅持する。
(2)点検・評価
  前半期:研究休職はとれず,授業時間を入れ替えるなどの対応で研究時間を確保したので,学部学生・院生の指導は通常どおり行った。

 

  1. 学部学生のゼミは,優れた3年生を迎え,堅調に充実した内容で進めることができた。4年生は,1名は教職大学院に進み,1名は地元阿南地区で中学校非常勤講師に内定した。
  2. 院生は,連合大学院博士課程の院生1名を加え,様々な新たな課題が出現している。

2-2.研究

(1)目標・計画
  1. 研究テーマ「国語教育実践基礎論」を論文にまとめる。
  2. 上記1を達成するため,必要な分野の学習をおこなうため,他大学にもおもむいて授業の受講並びに調査研究を行う。
  3. 大学での「教育実践記録」を整理・総括する。
(2)点検・評価
  1. 「国語科教育実践基礎論」を予定どおりに「まとめる」ことはできなかった。主に後半期の時間捻出が不可能であったことによる。
  2. 京都大学大学院研修員の資格を得て,授業を受講し,図書室の資料を読むことができた。
  3. 大学での「教育実践記録」の整理として,1授業の記録と分析考察を行い,一部を報告した。また,これを3月中に論文に仕上げる仕事を進行中である。古い記録の整理・廃棄を進めつつある。

2-3.大学運営

(1)目標・計画
  • 言語系(国語)教育コースの一員として,大学におけるコースの位置をふまえ,教員全体と協力して大学運営に寄与する。
  • コースの人事計画を,コース主任並びに同僚教員と協力して立案・進行・達成する。
(2)点検・評価
  • 学部入試委員会の委員として,初めて「試験実施班長」をつとめ,幸いに無事に仕事を終えつつある。
  • 教科教育担当教員と,教科専門担当教員とが協力して,3つのGPの現場段階での実施と実践報告の任を果たした。GPの出発点に参与していなかったことから,それぞれの内情の理解に時間がかかり,また3つのGPの相互関係の調整に労力を費やした。よくぞできたと自らと同僚教員をほめたい。
  • 講座には,近代文学担当教員を迎えることができた。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画
  • 附属学校の教育実践研究と大学の教員養成研究とを密接に結合させるための相互交流をおこなう。
    1. 附属学校の教育研究大会に協力する。
    2. 第33・34回学部附属国語科連絡協議会を実施する。
    3. 学部授業「初等中等教科教育実践Ⅱ」において附属中学校と協力する。
    4. 大学院授業「教育実践研究」が2年間に拡大されたことに伴う附属との連絡・協力を行う。
  • 卒業・修了生並びに県内学校教員との交流を行う。
    1. 平成20年度開催「第23回鳴門教育大学国語教育学会」開催に協力する。
    2. 「第9回徳島国語教育実践研究大会」の運営に協力する。
  • 平成20年度開催予定「第6回日韓国語教育国際セミナー」を京仁教育大学国語教育学科と協力して開催し,内容の実践的充実をはかる。
(2)点検・評価
  • 附属学校の教育実践研究と大学の教員養成研究との相互交流に関しては,上記「1」「2」を完全実施し,「2」については例年以上の成果を挙げた。「3」に関しては,附属中学校教員の厚い協力のもと,「教育実践フィールド研究」の授業として,1年生全4クラスに各3時間の授業研究を実施することができた。
  • 卒業・修了生並びに県内学校教員との交流は,「1」「2」とも予定どおり行うことができた。
  • 「第6回日韓国語教育国際セミナー」は,7月4日から7日にかけて,京仁教育大学で共同開催した。

3.本学への総合的貢献(特記事項)

  GPは3つとも,実践の内実を築く「現場の責任」が同じところに降りてきた。計画段階の矛盾・齟齬を調整し折り合う所を見いだすのは,結局末端の力であることをつよく感じた。設置された事務局の功績も大きい。しかしこれからいっそう,「短期成果主義」に押しつぶされない底力が必要である。
最終更新日:2010年02月17日

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