自己点検・評価報告書(現代教育課題総合コース)  近森憲助

報告者 近森憲助

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての研究活動

(1)目標・計画
  • 平成19年度に引き続き教員養成における課外活動を含めた体験活動の意義に関する研究を実施し,体験的な教員養成教育の重要性を明らかにするとともに,体験をキーワードとする新たな養成教育の枠組みを提案したい。
  • 環境教育や性教育をライフスキル教育という大きな枠組みで捉え,さらに,これらを「持続可能な発展のための教育」というさらに大きな枠組みの中で捉える試行的研究を開始する。
(2)点検・評価
  • 主に小学生を対象とした体験活動を実践している課外活動団体の活動を顧問教員として支援し,活動体験レポートを研究資料として収集する活動を今年度も継続して実施した。また,異文化体験活動に関する日米共同研究の一環として実施している日米の学生交流活動を実施し,その成果の一部は日米教師教育会議(2008年8月佛教大学)において共同発表している。ただ,新たな養成教育の枠組みを提案するまでには至らなかった。
  • アフガニスタンやザンビアあるいは南アフリカなどにおけるライフスキル教育あるいは市民教育に関する資料を収集し,研究の準備作業を開始したところである。

1-2.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

平成19年度に引き続き,学生の学びを重視した授業を実施しすることを通して,授業を活性化し,活気のある授業を創出・展開していきたい。また,学生の授業力向上に資することをねらいとして,授業内容だけではなく,自らの授業方法そのものについても解説を加え,さらに,その効果について学生と議論し,その結果を授業に反映させたい。

(2)点検・評価

一部の授業においては,実験や振り返りカードあるいは授業中の質問を含めたやり取りなどを通して,活動中心で活発な相互作用が見られる授業を展開することができた。とくに振り返りカードに見られた学生のコメントや質問を踏まえた授業づくりを試み,かなりの成果をあげることができた。しかし,その一方では,講義中心で平板な授業展開に終始した授業もあった。その結果,今年度の授業は,授業間で授業実施のあり方にかなりばらつきが大きいものとなった。これは,カリキュラムの改訂により,後期に多くの授業が集中したこともその原因の一つとなっている。

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画
  • 活気のある授業を創出・実践するため,次のような方策を講じる。
    1. 身体を使う体験的な活動を授業に多く取り入れ,座学一辺倒の授業をできるだけ避ける。
    2. 授業のまとめに関する記述から,学生の学びを把握する。
    3. 把握した学びの有りようを,具体的な形で授業に反映させる(質問・ディスカッションの材料とする)。
    4. 2.の記述を媒体として,学生との授業における交流をできるだけ活発化させる。
  • 従来から顧問をしている課外活動団体の指導において,特に活動の企画・立案及び評価という点において,教員養成を強く意識した指導を,さらに強める。
(2)点検・評価
  • 前期に実施した国際教育協力特論I(理数科教育)及び環境教育特論II/III,後期の現代教育人間論及び環境教育特論III/IV等では,ほぼ目標・計画に示した方策を実行し,以前にも増して学生との活発な交流を通した授業を実践することができた。しかし,広領域コア科目となった後期の環境科学と人間教育では,目標・計画に示したような授業を実践することができなかった。この科目は環境教育基礎論を中心とした科目である。しかし,カリキュラムの改訂により受講生の属性がこれまでとはかなり異なってしまい,彼らのニーズとの不整合を起こしてしまったのではないかと思われる。そのために授業の雰囲気が極めて沈滞気味であり,相互作用の基盤が失われてしまった。大学院に一般教養的な科目が必要かどうかも含めてカリキュラムそのものを見直す必要があると思われる。
  • 企画した活動内容の消化に気を取られることなく,常に子どもの状況の把握に努め,その結果を踏まえて臨機応変に対応していくことが重要であること繰り返し強調する指導及び助言を行った。

2-2.研究

(1)目標・計画
  • 体験的活動と教師教育に関する研究に関しては,次の二点について焦点を絞り実施する。
    1. 在学中課外活動に参加し,卒業後教職についている卒業生に対する追跡調査
    2. 日米共同による異文化体験の教員養成における意義に関する研究
    3. 1.については,例数を増やす事により,また,継続的な調査を実施する事により,結果の信頼性を高めるようにする。2.については,予報的な論文を日米共同でまとめて国際誌に投稿する。

  • 持続可能な発展に関する試行的な研究に関しては,20年度はライフスキル教育について国際的な比較研究を実施する。とくにライフスキル教育と文化との関連性に注目する。
(2)点検・評価
  • 1.については実施しなかった。2.については,20年度に実施した活動についてのみ日米教師教育会議で共同発表したに過ぎず,取りまとめ作業は継続して実施しているものの,論文としてこれまでの活動を取りまとめるまでには至っていない。
  • 資料収集は行ったものの国際的な比較研究の実施までには至っていない。

2-3.大学運営

(1)目標・計画
  • 学部教務委員会委員として,同委員会の所掌事項の審議に参画するとともに,特に,本学の授業改善活動に平成20年度も貢献したい。
  • 教員教育国際協力センター運営委員として,同委員会の所掌事項の審議に参画するとともに,本学が開催する国際教育協力に係るシンポジウム等には,積極的に参加していきたい。
(2)点検・評価
  • 学部教務委員として通常の委員会に出席するとともに,教職実践演習専門部会委員として審議に参画した。ただ,海外出張が多かったため貢献度は必ずしも高いとは言えない。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画
  • 研究会における指導助言や講演などに関して附属学校より要請があった場合には,時間の許す限り協力し,附属学校と本学との連携強化に寄与したい。
  • 平成19年度に引き続き,徳島県及び同教育委員会より委嘱されている委員の業務に従事し(環境教育の普及,放課後子どもプラン及び地域教育力再生等の事業の運営委員など),本学の地域連携事業の発展と充実に寄与する。
  • アフガニスタン教師教育強化プロジェクト(STEP)の専門家としての業務に前年度に引き続き従事するとともに,本学が受け入れている国別あるいは地域別研修の実施に協力し,本学の国際教育協力事業の充実に寄与したい。
(2)点検・評価
  • 附属学校からは特段の依頼はなかった。
  • 学校版環境ISO事業,放課後子どもプラン及び地域教育力再生等の事業の運営委員及び環境審議会委員としての業務に従事した。また,教育支援アドバイザーとして8回にわたり科学英語の授業を徳島県立城南高校において実施した。
  • アフガニスタン教師教育強化プロジェクトの専門家として合計3.5カ月カブールに出張・滞在し,主に同国の養成教育の改善に関する業務に従事した。また約3週間にわたる同国からの研修が実施され,その際教員養成校教官の研修指導に従事した。
    以上のことから本学と地域との社会連携及び国際交流・協力事業に貢献できた。

3.本学への総合的貢献(特記事項)

  • アフガニスタン教師教育強化プロジェクトにおいて専門家として従事することを通して本学に約3,000万円の外部資金をもたらすことに貢献した。

 

最終更新日:2010年02月15日

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