自己点検・評価報告書(社会系コース) 木原克司

報告者 木原克司

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての研究活動

(1)目標・計画
  1. 科学研究費等の外部資金の獲得を積極的に行う。
  2. 科学研究費申請のための研究成果の蓄積を進める。
  3. 平成17・18年度の科学研究費の成果を発展させ,前年度に引き続き学会誌に新たなA論文を投稿する。
  4. 学位取得を積極的に進める。
(2)点検・評価
  科研費については,「古代阿波国の条里と交通路の復原的研究」をテーマとして応募したが残念ながら不採用となった。しかし,このテーマに関連して,今年度も美馬市の調査を実施し,美馬町域の条里と伝馬道を復原し,6月刊行の阿波学会報告書に論文を提出した。
  17・18年度の科研成果を発展させた新たなA論文の投稿は時間の関係で実現しなかったが,これについては現在進めている学位論文の中に含める予定である。学位取得については,今年の秋までに提出することになっており,現在,最終章を構成する論文の1つとなる「東アジア三国における条坊制都市の成立とその背景」をまとめている。

1-2.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画
  授業内容・方法としては,学生の授業内容の理解度を向上させるため,パワーポイント,実物投影機やカラースライドなどの視聴覚機器を積極的に導入する。また,授業への学生の積極的参加と実践力養成のため,平成18年から取り入れた実習形式の授業をさらに進展させる。さらに,休日・夏休みなどを利用し,授業内容の現地検証のため現地巡検を可能なかぎり実施する。成績評価は,定期試験の他に授業出席率,実習の成果や巡検レポートなどを総合して行う。
(2)点検・評価
  大学院・学部を含めて視聴覚機器を導入した授業や実習型式の授業〈空中写真と立体鏡を使用した地形判読,勾玉の製作など〉を積極的に進めた。また,授業内容に関する体験学習として,院では8月に1泊2日の飛鳥・藤原・平城地域の巡検を実施し,受講生の高い評価を得た。学部の考古学や博物館資料論では,土曜日を利用して鳴門市池谷にある天河別神社古墳群の発掘調査現場や板野町の埋蔵文化財センターの資料館の見学を実施し,受講生の高い評価を得た。

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画
  1. 学生が主体的に授業に参加できるよう,実習やテーマを定めた討論などを取り入れる。
  2. 学生の授業内容の理解度を向上させるため,可能な範囲で授業内容に関連させた巡検を実施する。
  3. 学力不足の目立つ大学院の長期履修生については,生活や研究についてより細かな指導・助言を行う。
  4. 学部1年生に対しては,担任として日常生活や将来の教職へ向けての心構えなどについて積極的な指導・助言を行う。
(2)点検・評価
  学部授業である初等中等教育実践基礎演習では,「鳴門市中心部の土地利用変化」をテーマとして,受講生を3グループに分け,現地調査と1万分の1地形図・住宅地図により土地利用分類図を作成させ,昭和60年代の実状との比較をさせるとともに,調査結果をグループごとに発表させた。授業に関連させた巡検は,上記授業実践のところで述べたように,院・学部ともに積極的に実施し,受講生の理解力向上に大きな成果を得た。院の長期履修生2名については,生活や研究の進め方について細かな指導・助言を行なった。そのうち1名は東京都の正規教員に採用された。学部1年生については,担任として新入生合宿研修,ふれあい実習に参加した他,8月と12月に市内で食事会を実施し,大学での学習や日常生活の問題点,将来の進路等について積極的な指導・助言を行なった。

2-2.研究

(1)目標・計画
  1. 阿波の条里と交通路をテーマとして平成20年度の科学研究費申請を行ったが,その可否は別として当該テーマに関する研究を継続的に進める。
  2. 平成17・18年度の科学研究費による研究成果を基礎として古代大坂平野の条里・交通路・集落立地の研究を進め,その成果を学会誌に発表する。
(2)点検・評価
  阿波の条里と交通路については,今年度は阿波学会総合調査に参加し,美馬町域の条里と伝馬道について現地調査を含めて検討し,その成果を今年6月に刊行される報告書に執筆した。現在進めている学位論文を構成する1論文として,今年6月刊行の論文集に「古代中国における条坊制都市の成立とその背景」というタイトルの論文を執筆した。平成17・18年度の科研費による研究成果をもとにした新たな論文は,時間の関係で残念ながら学会誌に投稿できなかったが,これについては現在進めており,秋までに学位論文の一部としてまとめる予定である。また,人文地理学会からの依頼で学会誌「人文地理」に2008年度の歴史地理分野の先史・古代の学会展望を執筆した。2009年度第2号に掲載される予定である。

2-3.大学運営

(1)目標・計画
  各種委員会・教授会・部会・コース会議等の学内の各種会議に出席し職務を遂行する。
(2)点検・評価
  委員会では,学部教務委員会委員として学部教務に関連する諸問題を審議し,10月に実施された授業改善のためのFDワークショップでは,グループ3のコーディネータをつとめた。また,教授会・部会・コース会議にも出席し職務を遂行した。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画
  1. 教育支援講師・アドバイザー・出張出前講師などとして,積極的に小中高の研修会や地域の生涯教育に参画する。
  2. 大学院定員充足を含めて研究生・留学生の確保を積極的に進め,指導を行う。
  3. 附属小中学校の研究支援や授業支援をコース構成員として積極的に行う。
(2)点検・評価
  今年度は,出前出張はなかったが,学部1年生の担任としてふれあい実習に参加し,附属中学校の研修会や鳴門市内の幼稚園での研修に学生とともに参加した。大学院生の確保については,関連学会への出張や四国管内での研究会等で本学大学院への進学者確保に努力した。社会との連携では,昨年度までの徳島県教育委員会主催の「いにしえ夢街道推進委員会」に代わって新たに設置された「いにしえ夢街道県民会議」の専門委員として指導・助言を行なった。これとの関連事業として,7月に「いにしえ夢街道第3部会」を委員長として開催し,9月には第3回アワコウコ楽サポーター養成講座で講演し,文化財ボランティアの養成に尽力した。5月と9月には石井町の「阿波国分尼寺跡」史跡整備委員会,12月には美馬市の「郡里廃寺整備委員会」をともに委員長として開催し,整備事業を進めた。また,8月には徳島県埋蔵文化財総合センターの指定管理候補者選定委員会に委員として出席した。さらに,1月には,鳴門市教育委員会主催の「鳴門板野古墳群調査検討委員会」に委員として出席し,当該古墳群の国指定史跡に向けての協議を行なった。

3.本学への総合的貢献(特記事項)

  徳島県教育委員会,石井町教育委員会,美馬市教育委員会,鳴門市教育委員会などが主催する文化財を中心とする各種委員会に本学を代表して委員長,副委員長,専門委員として出席し,社会に開かれた大学としての本学の役割の一端を担うことができた。
  大学院生確保のため,学会や研究会等で各大学の先生方に学生派遣を依頼するとともに,別刷や年賀状送付の機会に学生受験のお願いをした。
最終更新日:2010年02月17日

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