自己点検・評価報告書(言語系コース(英語)) 伊東治己

報告者 伊東治己

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての研究活動

(1)目標・計画
  研究の基軸は「英語コミュニケーション能力育成のためのカリキュラム・指導法研究」であるが,ここ数年は英語コミュニケーション能力の育成に多大な成果を上げているフィンランドの英語教育,その中でも特に小学校での英語教育に着目している。幸い,平成19年度より,3年間の科研費を頂いており,本年はその2年目に予定している研究活動に専念する。加えて,現在,数名の現場教師有志と進めている「アウトプット中心の英語教育」研究を一段と進め,その成果を書籍の形で公表できるように努力する。
(2)点検・評価
  まず,フィンランドの小学校での英語教育に関する研究については,平成20年9月下旬と平成21年3月下旬の2回にわたって現地調査を実施するとともに,現地で行ったフィンランドの小学生の英語学習意識に関するアンケート調査の結果を分析し,その結果を日本教科教育学会(12月)で発表することができた。現在,その発表内容を論文化しているところである。
  現場教師との共同研究については,その成果を平成20年12月に発行された『アウトプット重視の英語授業』(教育出版)に結実させることができた。

1-2.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画
授業内容に関して
  1. 教育実践への関連性をなお一層高める努力をする。
  2. 英語教育界の最近の動向を反映させ,授業内容の今日性を高める努力をする。
授業方法に関して
  1. パワーポイントなどを活用し,授業内容の提示方法を工夫する。
  2. 学生が主体的・積極的に授業に参加できるよう,授業形態を工夫する。
成績評価に関して
  1. 採用試験を視野に入れ,極力筆記試験を実施する。
  2. 最終評価に当たっては,多様な角度から学生の学力を評価できるようにする。
(2)点検・評価
  • 授業内容に関しては,自身の専門性を生かして,極力,今日の教育課題や学校が抱える諸問題とリンクさせながら,実践的な内容になるように努力した。
  • 授業方法に関しては,学生間での討論や学生によるマイクロティーチング(授業実演)を取り入れたり,パワーポイントやハンドアウトを活用して,受講生に分かりやすい授業を心がけた。加えて,授業の進み 具合いに応じて適宜課題を設定し,受講生が授業に積極的に取り組むことが出来るよう工夫した。
  • 成績評価に関しては,筆記での採用試験を視野に入れ,学部授業すべてで筆記試験を実施するとともに,最終評価に当たっては,筆記試験の成績に加えて,提出された課題の出来具合いや,授業への出席率,授業への参加度などを考慮し,多角的な角度からの成績評価を実施した。

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画
  1. オフィスアワーやゼミ等をフルに活用し,個々の学生の能力や希望に応じた学習支援を行う。
  2. 海外研修や留学に関する相談に随時応じて,学生による国際交流活動を促進する。
  3. 学生海外派遣プログラムを実行し,本学学生に海外生活体験の機会を与える。
(2)点検・評価
  1. 本年度もオフィスアワー(定期及び随時)やゼミ活動等を活用し,学生のニーズに対応した学習支援を展開した。特に,ゼミにおいては卒論指導に加えて,教員採用試験対策の一環として,教員採用試験で求められる英語力の補強指導も実施した。
  2. 海外留学に関する質問に関しても,随時,対応するとともに,採用試験で海外留学経験の有無が合格・不合格を左右する重要なファクターになりつつあることを踏まえて,学生達には授業や相談活動の中で 積極的に海外留学を進めた。
  3. 本年度も,本学学生を対象とした海外語学研修(英語コミュニケーションV)を企画・運営し,3月に3週間にわたって本学国際交流協定大学であるオーストラリアのアデレード大学での研修に本学学生6名を派遣した。さらに,ここ数年言語系コース(英語)で実施しているオーストラリアのFaith Lutheran Schoolへの日本語TA派遣プログラムを本年度も担当し,英語科教育コースの学生1名を現地に派遣した。

2-2.研究

(1)目標・計画
  1. 従来からの研究テーマ(英語教育学)をまとめ,学会で口頭発表をする。
  2. 従来からの研究テーマ(英語教育学)をまとめ,学会誌に投稿する。
  3. 科研費で行っている研究(フィンランドの小学校英語教育)をさらに進める。
(2)点検・評価
  1. 四国英語教育学会(6月)で1本(大学院の指導学生との共同研究),全国英語教育学会(8月)で2本(1本は博士課程指導学生との共同発表で,もう1本は修士課程指導学生と共同発表),日本教科教育学会(12月)で1本(単独)の口頭発表を行うとともに,全国英語教育学会(8月)では全体シンポジウムにおいてパネリストの一人として基調提案を行った。
  2. 全国英語教育学会誌(ARELE)に2編(1編は博士課程指導学生との共同研究,もう1編は修士課程指導学生との共同研究),四国英語教育学会紀要に1編(修士課程指導学生との共同研究),鳴門教育大学授業実践研究に1編(修士課程指導学生及び鳴門高校教員との共同研究)の論文を投稿し,すべて採用になった。
  3. 「日本での教科化を見据えたフィンランド小学校英語教育に関する調査研究」という研究課題の2年目の研究を遂行し,その結果を日本教科教育学会(12月)で発表した。現在,その内容を論文化するとともに,最終年度の研究にむけての準備を行っている。

2-3.大学運営

(1)目標・計画
  1. 人文・社会系教育部長及び教育研究評議会評議員として,大学の運営に参画する。
  2. 連合大学院言語系教育講座の講座代表として,同講座のスムーズな運営に努力するとともに,同講座における本学の存在感を強めることに努力する。
  3. 言語系コース(英語)の一員として,コース運営はもちろんのこと,大学運営にも積極的に貢献する。
(2)点検・評価
  1. 人文・社会系教育部長及び教育研究評議会評議員として,大学運営に参画するとともに,その責務を恙なく全うすることができた。
  2. 連合大学院言語系教育講座の講座代表としてその職務を全うした。加えて,修士課程指導学生の一人が連合大学院への入学試験に挑戦し,合格することができ,連合大学院での本学の存在感を維持する上で少しは貢献できたと思われる。
  3. 言語系コース(英語)の一員として,コース運営はもちろんのこと,大学運営にも微力ながら貢献した。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画
  1. 附属学校教員と連携し,英語教育分野について協同研究を進める。(附属学校)
  2. 大学と地域・社会との交流・連携を積極的に行い,社会貢献に努める。(社会連携)
  3. 国際交流協定校をはじめとした海外の教育・研究機関との協力事業に貢献する。(国際交流)
(2)点検・評価
  1. 大学院の授業である教育実践研究(および教育実践フィールド研究)を通して,附属小学校・中学校との連携を図ることができた。加えて,附属小学校とフィンランドのタンペレ大学附属ハーメリンナ小学校との交流活動の仲介役を務めた。
  2. 教育実践研究(および教育実践フィールド研究)において,市内の鳴門高校と共同研究を実施し,連携強化に勤めた。この鳴門高校との連携は,同校で進めている高大連携事業の基軸になっている。この共同研究の成果は『鳴門教育大学授業実践研究』第8号に掲載予定である。さらに,県内の英語教員有志と研究会を定期的(2ヶ月に1度)に本学で開催した。加えて,徳島県教育委員会と奈良県教育委員会の求めに応じて,Super English Language High Schoolの運営指導員となり,その職責を全うした。また,徳島県教育委員会,香川県教育委員会,鳥取県教育委員会から現職教員を対象とした研修講座に講師として招請され,講演を行った。
  3. 国際交流協定大学であるアデレード大学で毎年実施している英語コミュニケーションV(海外英語研修講座)の企画・運営に携わり,本年度は学部生6名を派遣することができた。加えて,ここ数年言語系コース(英語)で実施しているオーストラリアのFaith Lutheran Schoolへの日本語TA派遣プログラムを本年度も担当し,英語科教育コースの学生1名を現地に派遣した。さらに,GP関連で7月に本学で開催された国際シンポジウムに,フィンランドのタンペレ大学のViljoKohonen教授を招聘することに尽力した。

3.本学への総合的貢献(特記事項)

  1. 英語教育に関する専門書(『アウトプット重視の英語授業』教育出版)を出版することによって,英語教育研究における本学の存在感をアピールすることができた。
  2. 全国学会での口頭発表やシンポジウムでの基調提案,およびブロックレベルでの学会での口頭発表を通して,本学の存在感をアピールした。いずれの活動も,現役あるいは元指導ゼミ生との共同研究で,学会参加者の中で大学院進学を希望している参加者に対して,本学大学院への進学を間接的にアピールすることができた。
  3. 教育委員会主催の教員研修講座で講師を務めたり,教育委員会からの依嘱委員の仕事を務めることによって,現職教員に対して本学の存在感をアピールし,本学大学院での勉学を勧めるとともに,鳴門高校との共同研究や県内英語教師を対象とした研究会の定期的開催を通して地域・社会と本学の連携強化に微力ながら貢献することができた。
最終更新日:2010年02月17日

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