自己点検・評価報告(学校臨床実践コース,心身健康研究教育センター) 末内佳代

報告者 末内佳代

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての研究活動

(1)目標・計画
  一見心理療法から遠い存在にあるように見える授業での創意工夫こそが,子どもの劣等感を克服し,自尊感情や自己効力感を高める資源となると考える。そのために,学校臨床の基本的立場を守りつつ,学校という場に即した柔軟なアプローチや具体的現実性,生活という視点を取り入れた学校臨床実践のための授業研究に取り組む。
(2)点検・評価
  学校という場に即した柔軟なアプローチや具体的現実性,生活という視点を取り入れ,実際に活動する「臨床心理士の資格を有する教師」に対して質問紙調査と面接調査したものを2本の論文(1本は共著)にまとめ,『鳴門教育大学研究紀要』第24巻に投稿した。調査により明らかになったものを平成21年度の学校臨床実践コースでの授業に生かしていきたいと思う。

1-2.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画
  1.臨床心理士養成コースの大学院生が学校現場の教師との協働において子どもの必要性に応じた心と学習の支援活動を行う。2.週1回1,2時間学級担任の補完・補充としての個別の支援活動を行う。実習後毎回記録の提出を求め,シェアリングを行うことにより,子ども一人ひとりの可能性を伸ばすための,心と学習の援助の工夫をI実践に生かす。1年に数回実習校において双方向の話し合いを持ち,連携を機能させたい。3.提出されたレポートの要約を全員に配布し,シェアリングする形式を採用したい。
  この授業実践は高度学校教育実践専攻学校臨床実践コースにも通底しており,障害の有無にかかわらず自らの力で解決することが困難な課題(教育ニーズ)を抱えた子どもたちに支援のあり方にかかわる授業開発を進めたいと考えている,
(2)点検・評価
  この授業実践は,学長裁量による研究プロジェクト経費より助成を受けた。1.子どもの特性理解と工夫,2.協働する実践的,体験的実習,3.相対化し客観的に把握する視点の育成という3つの成果をもたらし,当初の目的は概ね達成できたと思われる。
  33名の院生が37名の児童の支援を行うことができ,平成21年度もこの活動は継続される。学校の要請はもとより,卒業生を除いた全ての児童と保護者が,新年度の支援を希望していることからもニーズの高さが伺える。
  学外の専門家を招いたミニシンポジウムには学校臨床実践コースの大学院生も参加した。

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画
  将来心理臨床家として実務に携わるものや学校や地域でのリーダーとしての実務家が必要とされる社会的常識(服装・態度・時間等)に対する指導を行いたい。
(2)点検・評価
  教職大学院では,勤務校での調査も多く,心を砕くことも多いと思われる。週1回の教員と大学院生の集まりにおいて,実務家教員としての経験を生かし,ストレスマネジメントや連携の実際を指導した。「一見効率が低いようではあるが,共通理解の方法を工夫して,それぞれが役割を担う機能的な連携を目指す」ことを大学院生の勤務校の実状に合わせて指導した。また,大学院生からのメールでの報告には「ほっとする一言」を返信するように努めた。これは大学院生から学んだことである。

2-2.研究

(1)目標・計画
  1―1でも述べたが,一見心理療法から遠い存在にあるように見える授業での創意工夫こそが,子どもの劣等感を克服し,自尊感情や自己効力感を高める資源となることを理解し,学校臨床の基本的立場を守りつつ,学校という場に即した柔軟なアプローチや具体的現実性,生活という視点を取り入れた学校臨床実践のための授業研究に取り組む。
(2)点検・評価
  1―1-2,1-2-2の自己点検・評価にも記述したように,実務家教員として,学校現場をフィールドとした研究に取り組むことができたと思われる。さらに研鑽を続けたいと思う。

2-3.大学運営

(1)目標・計画
  教職大学院高度学校教育実践専攻ファカルティ・ディベロップメント委員会の一員として,主体的に取り組み,職務を遂行したい。
(2)点検・評価
  ファカルティ・ディベロップメント(以下FDと略す)委員会の構成メンバーとして,意欲を持って活動できた。授業実践の評価を研究することは,実務家教員である筆者にとって,授業実践の設計・実施につながるものであり,他コースの研究者教員や実務家教員の方々から学ぶことも多かった。これからの授業の評価・検討・改善に役立つものである。すなわち,この職務そのものが筆者自身のFDであった。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画
  学生支援員事業,小学校における心と学習に支援活動,心理教育相談室での相談活動等において地域社会に貢献したい。
(2)点検・評価
  1. 附属中学においてLFTに講師として参加した。
  2. 地域の小学校における心と学習の支援活動を行った。
  3. 徳島市不登校問題対策委員として委員会に参加した。
  4. 県立阿波高等学校において,平成20年度大学模擬授業体験の授業を行った。
  5. 本学の心理教育相談室において,心理教育面接,臨床心理面接,遊戯療法面接を行った。

3.本学への総合的貢献(特記事項)

  学校臨床実践コースの指導教員として実習校への訪問を16回行った。
  実務家教員として研究者教員や他の実務家教員の力を借りながら,学校現場のニーズと乖離しない取り組みに努めている。
最終更新日:2010年02月17日

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