自己点検・評価報告書(人間形成コース) 皆川直凡

報告者 皆川直凡

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての研究活動

(1)目標・計画

教育研究活動をとおして自己をアピールし,かつ社会への貢献を果たすという全体構想のもとで,教育への応用を常に意識して研究活動に臨んでいる。本年度は,現代GP採択課題「遍路文化を活かした地域人間力の育成」の柱の一つである「いたわり」情操教育の内実化を図るべく,四国遍路とその過程で創作される俳句などの精神的所産にみられる他者尊重と共感の心についての心理学的研究を推進する。

(2)点検・評価

学部授業「阿波学」ならびに大学院授業「四国遍路と地域文化」における歩き遍路実践(事前授業を含む)において,俳句の創作を指導して受講生の作品を募集し俳句に詠み込まれた情景と心情を分析した。また,歩き遍路の前後に心理検査を実施し,歩き遍路体験がもたらす心の変化について,自己洞察,対人対応,状況対応の3つの観点から分析した。上述の創作俳句については,歩き遍路体験者の一部が受講した学部授業「地域社会研究」においても研究資料とし,学生の視点からの心情分析とその成果発表を指導した。現在,これらの研究によって得られたデータについての考察をすすめ,論文を執筆中である。

1-2.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画
  1. 子どもの発達過程とその個人差の理解,および,それをふまえた教育実践を内容として,授業を構成する。
  2. 視聴覚機器による教材提示と,学生の積極的反応を誘発するワークシートを有機的に結合させ,学生の理解を促し知識の定着をはかる。また,学生による発表や課題提出の機会を随時設定し,授業内外の自主学習を促す。
  3. 学生の授業への積極的態度を評価するとともに,日頃の学習成果を忠実に反映する試験問題を作成する。 平常点と試験の得点を総合し,学生の努力と能力に見合った成績評価を行う。
(2)点検・評価

学部と大学院の講義科目において,子どもの発達過程ならびに個人差についての知識とそれをふまえた教育実践を内容とする授業をおこなった。プロジェクターによる教材提示と,学生の積極的反応を誘発するワークシートを有機的に結合させることにより,学生の授業理解と自主学習を促し知識の定着をはかった。学生の授業への積極的態度を評価するとともに,日頃の学習成果を忠実に反映する試験問題を作成した。平常点と試験の得点を総合し,学生の努力と能力に見合った公正かつ厳格な成績評価をおこなった。

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画
  1. 学生が主体的に授業に取り組めるよう,班学習,討論等を取り入れる。
  2. 「学校教育の人間形成的役割」は複数担当であるので,講義内容の関連づけができるよう,連携を図る。
  3. 指導学生の関心と能力の把握に努め,彼らが質の高い課題研究・卒業研究を行うことができるよう,計画的に指導・支援していく。教員採用試験や学校心理士等の資格取得についても積極的に支援する。必要に応じて個別面談や補習も行う。
  4. ゼミでの協同的活動を随時企画し,互いに支え合う中で生活が健全なものになるよう支援する。
(2)点検・評価

学部と大学院の演習科目や教育実践フィールド研究において,班学習や討論を取り入れ,学生が主体的に授業に取り組むという成果をあげた。人間形成コースの教員3名で担当した「学校教育の人間形成的役割」では担当者間の連携を図り,講義内容の関連づけができるようにした。大学院の授業では,予定にはなかった夜間授業も開講し,昼間授業以上の成果をあげた。課題研究と卒業研究の指導では,個別面談や補習を通じて学生の関心と能力を把握し,質の高い研究を行うことができるよう計画的に指導し,合わせて7名の修了生・卒業生を輩出した。教員採用試験対策として,随時,小論文添削や面接をおこなった。その結果,教職希望者は全員,教員採用試験に合格するか,公立小学校に臨時採用された。

2-2.研究

(1)目標・計画
  1. 日本の伝統文化(俳句,四国遍路など)に対する認識の深化と発達の過程に関する研究を中心に据え,人間の五感に基づく認知機能とそれを基盤とするコミュニケーション機能(共感,他者尊重など)について,実証的方法を用いて探究する。そこから「知性と感性を結び,発達を導く教育」への展開を目指す。
  2. 本年度は,上述の目標に応じた研究を実施する。また,前年の研究成果を基礎系と応用(教育)系,それぞれ一つ以上の心理学会において発表する。さらに,2本以上の学術論文の執筆と投稿を行う。
(2)点検・評価

今年度は,日本の伝統文化に対する認識の深化と発達の過程に関する研究を中心に据え,人間の五感に基づく認知機能とそれを基盤とするコミュニケーション機能について,実証的方法を用いて探究し,その成果を基盤として「知性と感性を結び,発達を導く教育」を主題とする教育プログラムを開発した。前年度の研究成果をまとめ,7月の国際心理学会,10月の日本教育心理学会,および3月の日本発達心理学会において発表し,9月の日本心理学会ではワークショップを企画開催した。学会誌「計量国語学」および学術論文集"Contemporary isshues of brain, communication and education in psychology"に論文を投稿し,審査のうえ,掲載された。

2-3.大学運営

(1)目標・計画
  1. 前年に引き続き,学部教務委員会委員ならびに実地教育専門部会委員としての職務を遂行し,本学の運営に貢献する。
  2. 基礎・臨床系教育部所属教員として部会議やコース会議に出席し,職務を遂行する。
(2)点検・評価

前年にも増して,学部教務委員会委員ならびに実地教育専門部会委員としての職務を遂行した。また,本年度当初には教職実践演習検討専門部会の主査に就任し,平成18年7月の中央教育審議会答申にはじまる各種資料の検討,教職実践演習の先進校である上越教育大学への出張と担当者との面談などの作業に携わり,9回の会議を開催し,本年3月には検討経過を本学における特色GPシンポジウムで発表するとともに,「教職実践演習検討専門部会答申」をとりまとめた。さらに,基礎・臨床系教育部所属教員として部会議やコース会議に出席し,職務を遂行した。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画
  1. 本学教育支援講師に登録するとともに,各方面からの要請に応じ,附属学校,公立小・中学校等に出向き,また,各校・各機関からの来訪を受け入れ,助言等を行う。
  2. 前年に引き続き,県立図書館協議会委員としての職務を遂行する。
  3. 県庁からの委嘱に基づき,心理学の専門家として,県立看護学院看護学科(定時制ならびに通信制)の講師を務め,働きながら正看護師の資格取得を目指している人たちの指導を行う。
  4. 教育職に就いた修了生・卒業生の教育研究活動を支援し,共同研究を行う。
(2)点検・評価

本学教育支援講師に登録するとともに,愛媛県久万高原町や鳴門市の公立小学校に出向き,指導・助言等をおこなった。また,県立図書館協議会委員としての職務を遂行した。さらに,県庁からの委嘱に基づき,県立看護学院看護学科において15回の講義を担当し,働きながら正看護師の資格取得を目指している人たちへの指導をおこなった。教育職に就いた修了生・卒業生の教育研究活動を支援し,10月の日本教育心理学会では修了生との共同研究を発表した。目標提出後に粟津会会長への就任が決まり,職員宿舎の福利厚生事業に携わるとともに,里浦地区自治会における各種社会活動に尽力した。

3.本学への総合的貢献(特記事項)

平成22年度入学生の教育課程より開設が必要となる「教職実践演習」について,その検討専門部会の主査として答申をとりまとめ,課程認定申請用のシラバス案を作成した。現代GP課題「遍路文化を活かした地域人間力の育成」の2年目の諸事業に貢献した。特に,学部授業科目「阿波学」(事前授業,歩き遍路実習)において,歩き遍路時の俳句創作課題の導入を提案し中心となって指導し,受講生の内省の深化を実証した。受講生の俳句をその一部が継続して受講した「地域社会研究」の研究資料として用い,3月のシンポジウムにおいて研究成果を展示した。

 

最終更新日:2010年02月15日

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