自己点検・評価報告書(特別支援教育専攻) 大谷博俊

報告者 大谷博俊

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての研究活動

(1)目標・計画

これまでは障害児教育における教育実践(臨床),特に知的障害児・自閉症児の教育に直結した種々の課題について,最新の知見を概括し,幅広く研究対象としてきた。今後は進路指導に視点を絞り,特別支援教育の観点から研究を進めていきたいと考えている。そのために徳島県を研究フィールドに設定し,進路指導・キャリア教育に関する研究に着手したい。

(2)点検・評価

徳島県特別支援学校進路担当者連絡協議会に年間を通じて全て参加(計5回)し,特別支援学校における障害児の進路指導の実態把握,課題の分析等を行うことができた。そこでの活動を発展させ,地域への発信を目的としたシンポジウムの企画,運営にも携わった。またこれらを契機として,ひのみね養護学校での平成 20年度児童生徒支援(進路支援)に関する連絡協議会への参加要請,阿南養護学校(ひわさ分校)の進路指導の研究助言の要請を受けるなど,進路指導に関する実践研究の深化と共に,進路指導担当者を中心とする人的ネットワークの構築と研究フィールドの開拓につなげることができた。

1-2.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

特別な教育的ニーズを有する幼児児童生徒に対する教育に関しての講義を担当するわけであるが,その基底にある人間理解の深化に主眼をおいた授業を教育実践に即して提供したいと考える。
そのために1.授業内容として直面する課題への対応力としての支援技法は必要かつ重要であるが,特別な教育的ニーズをもつ幼児児童生徒の理解に関する内容をはじめ,彼らを取り巻く人的環境(学級の仲間,養育者,地域住民や教員など)や物理的環境(社会的資源,学校環境など)についてもその内容に取り上げる。
2.授業方法については,学生の理解を確かめると共に意欲を引き出すために受講生同士の協議の場を設定したい。例えば,グループ討議である。その際,机間指導を行い,個々の発言や考えを丁寧に拾い上げ,助言を与えることで協議をさらに深めさせたい。
3.評価については,授業に必要な課題であり,かつ授業後の評価につながる小課題(レポート,発表資料等),出席の状況あるいは期末のテストなど,1つの講義においても受講生の講義目標の達成具合を多面的に捉えるようにする。

(2)点検・評価

講義内容を多側面から準備し,受講生に提供することができた。また受講生の関心に応じた実践的な教材(観察法のための知的障害児のコミュニケーション指導場面等)を開発し,授業で使用した。受講者同士のグループについては,ほぼ全ての講義において,計画的に組み替え,グループ活動の活性化に努めた。授業展開についても一講義内に講義・演習の複数回の組み合わせを盛り込むなど,展開の工夫を行った。評価については5~12回程度の小課題を設定し,きめ細かく評価し,受講生にその結果をフィードバックするよう努めた。

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

学生の特別支援教育に関する課題意識を高め,理解を深めるために学生間の討議や模擬授業など演習の要素を取り入れ,展開を工夫する。また,講義には視聴覚機器を積極的に活用し,学生の発表にも視聴覚機器を取り入れるよう指導していきたい。

(2)点検・評価

模擬授業の設定により,グループで協力しての教材開発,授業時間外での自主的な打ち合わせ,資料の収集などの積極的な学びを引き出すことにつながった。グループ構成については現職の院生,一年次の院生,二年次の院生と学部生及び専攻・コースの割合を常に考え,配置した結果,多様な学び合いが生まれたようである。受講生のテーマ毎の発表に関しては,プレゼンテーションソフトの使用率が100%であり,効果的な発表の必要性を意識させることができたと考えている。
特別支援教育専攻内で学生・院生の教員採用試験への取り組みを支援した。模擬面接の課題の設定,討論内容に関しての批評・指導,模擬授業の指導等を積極的に行った。

2-2.研究

(1)目標・計画

特別支援教育に関わって,特別支援教育実践(臨床)に沿った研究を行っていきたい。具体的には,障害のある子どもの進路指導に関わっての移行支援や就労などに視点をあて,これまでの研究を継続し,その成果を発表する。

(2)点検・評価

特別支援学校の進路指導担当者との共同研究を論文としてまとめ,職業リハビリテーション誌に採択・掲載された。また現在,編著者として移行期にある高等部生徒に対するアセスメントに基づく授業実践に関する書籍の出版準備を進めている。
専攻内の障害児心理学担当教員及び静岡大学の教員と協力し,知的障害児のキャリア教育に関する研究を進めている。具体的には共同で科学研究費の申請を行い,複数県における調査並びに実践研究の実施に向けて,Ⅰ―1の2でも示したように特別支援学校の進路指導担当者を始めとする協力教員との連携体制の構築,協議等を行っている。

2-3.大学運営

(1)目標・計画

部の構成員として部会議に出席すると共に,各種委員として大学の運営に貢献する。

(2)点検・評価

基礎臨床系教育部会議に出席した。また就職委員として教員採用試験対策のための就職支援行事において模擬面接,模擬授業の指導を行った。また学部の入試に関して,センター試験の監督者を務めるなど,大学の業務に協力した。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

特別支援学校との協働実践,研究を試みたい。特に研究領域として関心のある進路指導に視点をあて,これまでの研究を深化させると共に,その成果を活用しつつ協働実践,研究を行いたい。

(2)点検・評価

附属特別支援学校高等部の研究に年度当初から関わり,発表会まで4回の研究協議を重ねた。また研究発表会では高等部分科会の司会を務めた。
県立の特別支援学校からの依頼を受け,「地域特別支援教育情報交換会(板野養護学校)」,「平成20年度児童生徒支援(進路支援)に関する連絡協議会(ひのみね養護学校)」,「徳島特別支援教育学会(阿南養護学校 ひわさ分校)」の開催・準備に協力した。
徳島県から依頼を受け,徳島県発達障害者支援体制整備検討委員を務め,平成20年度の整備事業及び平成21年度の整備事業について検討を行った。

3.本学への総合的貢献(特記事項)

昼夜間コースの院生のための授業を担当した。
また本学の責務である教員の再教育と徳島県教育委員会との連携に応えるため,特別支援学校から研究生1名を担当し,6ヶ月間の指導を行った。 専攻としての地域貢献の一環として設立した「徳島特別支援教育事例検討会」の運営に尽力した。

 

最終更新日:2010年02月15日

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