自己点検・評価報告書(学校臨床実践コース・臨床心理士養成コース) 山下一夫

報告者 山下一夫

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての研究活動

(1)目標・計画

19年度より継続し,本学の教員とともに,科学研究費補助金を得て「乳幼児との情動調律が心理臨床家の感受性・想像力をはぐくむ教育訓練プログラム」の研究を行っている。また,共感性についての研究,子ども虐待傾向と子育て支援についての研究なども行っている。これらの研究の成果を,少なくとも1本は論文としてまとめる。

(2)点検・評価
  1. 科学研究費補助金を得て上記の研究を行っており,共著で論文を本学の紀要に発表した。
  2. 臨床心理士の資格を有する教員の実態調査を行い,この研究も共著で本学の紀要に発表した。
  3. スクールカウンセラーに関しての論文を共著で発表した。
  4. 共感性,及び子ども虐待傾向と子育て支援について調査を実施し,論文としてまとめているところである。

なお,個々の発表した論文は,「II-2.研究」の欄に記載する。

1-2.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

昨年度,大学院の「学校臨床心理学」は88人という多人数の講義であったが,教員と学生のコミュニケーションこそ生徒指導の実践において大切なものであると考え,授業方法として次のようなことを試みた。一つは,受講者に顔写真を貼付した自己紹介文の提出を求め,名前と顔を覚えるようにした。今一つは,授業において,できるだけ学生の意見を求め,そしてその意見に教員が応え,ともに考えるような双方向の授業になるように心がけた。また,テストは客観問題と論述問題を出題し,適正な成績評価に努めた。
今年度は,大学院で教職共通科目が新設され,「子ども理解と生徒指導」を担当することとなった。そして教職大学院においても共通科目の「子どもの内面理解に関する実践と課題」を担当する。そこで,昨年度の経験をもとに今年度も引き続き,教師が生徒指導を行う上で実際に役立つ根本的な考え方や態度を論じ,学生とともに考えていく。

(2)点検・評価

大学院で新設の教職共通科目「子ども理解と生徒指導」(受講者145人)を,そして教職大学院においても共通科目の「子どもの内面理解に関する実践と課題」(受講者36人)を担当した。ともに,目標・計画通りに授業を行えた。授業評価を実施したところ,授業の満足度はともに4点を超えている。しかし,板書の文字が読みにくいとの意見が多くあり,留学生のためにも,来年度は配慮すべきであると反省した。

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画
  1. I-2で述べたように,多人数の授業においても,学生が授業に積極的に参加できるように,学生の意見を大事にする。 そして,プロの教師や臨床心理士としての実践的力量と自己指導力が身に付くような,授業内容,授業方法,成績評価を行う。
  2. 大学院の課題研究や面接指導において,たとえ院生数が多くても,できるだけきめの細かい授業を行う。
  3. 新設の教職大学院において,学校臨床実践コースの独自性を生かしながらも,各コースがタコツボ型にならぬよう,教職大学院全体の視点にたち教育を行っていく。
(2)点検・評価
  1. 「1-2」で述べたように,多人数の授業においても,学生が授業に積極的に参加できるように,授業の工夫を行った。
  2. 大学院の課題研究IIは10人,課題研究Ⅰは5人,研究生(徳島県教員)3人,教職大学院の実習指導の1年生3人と,非常に多くの院生を指導しているが,できるだけきめの細かいゼミを行っている。特に,11~1月の論文指導,2~3月の面接指導は,時間を延長し指導を行った。
  3. 新設の教職大学院において,学校臨床実践コースの人間関係の促進のために,コースの教員と院生全員で,月1回のランチミーティングや1泊2日の研修旅行を実施した。
  4. 博士課程において,主指導1人,副指導3人の院生を指導した。

2-2.研究

(1)目標・計画

1-1で述べたように,少なくとも,論文を1本発表する。

(2)点検・評価

<共著論文:筆頭著者> 山下一夫・末内佳代・小坂浩嗣 2008.03 「臨床心理士の資格を有する教師の現状と課題(Ⅰ)-教師への質問紙調査を通して-」鳴門教育大学研究紀要(教育科学編),24,108-118.

<共著論文>

  1. 吉井健治・山下一夫 「教師へのコンサルテーション」 2007.09 村山正治(編)『現代のエスプリ別冊・臨床心理士によるスクールカウンセリングの実際』至文堂 pp.111-120.(全236頁 A5判)
  2. 中津郁子・二宮麻利江・山下一夫 2008.03 「初心者カウンセラーによる乳幼児観察のありかた-カウンセラーとしての資質を育むために-」 鳴門教育大学研究紀要(教育科学編),24,20-32.
  3. 葛西真記子・中津郁子・末内佳代・久米禎子・粟飯原良造・山下一夫・塩路晶子 2008.03 「乳幼児との情動調律による感受性訓練の効果-心理臨床家を目指す大学院生を対象に-」 鳴門教育大学研究紀要(人文・社会科学編),24,130-141.

<その他>
山下一夫 2008.02 「私と人間性心理学」 日本人間性心理学会ニュースレター,64.7-8

2-3.大学運営

(1)目標・計画

学長補佐として,積極的に教育委員会との連携を推進していく。

(2)点検・評価

学長補佐(教育連携担当)として,地域連携委員会の委員長を務めるとともに,積極的に教育委員会との連携を推進した。また,第3回中日教師教育学術研究集会の準備委員長を務めた。
その他,教育研究評議会評議委員,大学院教務委員会副委員長,学校臨床実践コース長を務めた。
また,臨床心理士第1種指定継続申請手続きを,コースの教員や職員と協力し行った。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画
  1. 今年度は,第3回中日教師教育学術研究集会が開催されるので,それが成功するように尽力する。
  2. 日本生徒指導学会理事,日本臨床心理士資格認定協会評議委員,日本臨床心理士会理事などの社会活動を行う。
(2)点検・評価
  1. 「2-3」で触れたが,第3回中日教師教育学術研究集会の準備委員長を務め,本会が成功裏に終わったことに寄与できたと思っている。なお,本会において,基調講演「教育改革における日本人の思潮」を行った。
  2. 昨年度に引き続き,日本生徒指導学会理事,日本臨床心理士資格認定協会評議委員,日本臨床心理士会理事などの活動を行った。なお,日本臨床心理士会の選挙があり,来期(09年度-10年度)の理事に再選された。
  3. 日本生徒指導学会機関誌「生徒指導学研究」,雑誌「臨床心理学」(金剛出版),各々の編集委員に選ばれ,活動を行った。
  4. 徳島県教育委員会「中高一貫教育研究会議」委員長を務めた。
  5. 本学附属中学校で,教員を対象に,「保護者との連携」について講演を行った

3.本学への総合的貢献(特記事項)

大学院生の指導をはじめとして本学の教育に多大の貢献をしたと自負している。さらに,大学運営,及び全国学会等において積極的に活動した。

 

最終更新日:2010年02月15日

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