自己点検・評価報告書(授業実践・カリキュラム開発コース) 村川雅弘

報告者 村川雅弘

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての研究活動

(1)目標・計画

平成20年度より3年計画で科学研究費を申請しているが不採択の場合でも以下の研究を展開する。今次学習指導要領改訂では全教育活動を通して子どもの思考力・判断力・表現力・言語力・協同性を育むことが求められているが,これまでの研究実績からワークショップ型学習の有効性が明らかになってきている。学校現場と連携を図り総合的な学習や教科等において効果的な学習方法の開発とその体系化を推進する。また,これまで開発してきたワークショップ型研修は学校や教師のカリキュラム開発力向上の方法としてさらに研究を継続する。これらの成果を20年度より実施される教職大学院の授業等で紹介・吟味する。なお,科学研究費申請が採択された場合には,通信ネットワークを活用し,学校現場との継続的な開発研究と成果の蓄積,公開を進める。

(2)点検・評価

平成20年度の科学研究費は不採択であったが,情報開示の結果,不採択の中でも最も高いレベルに達していた。科学研究費で行う予定であった研究は本学が平成18年度の特色GPで開発した「知の総合化ノート」を教職大学院生36名に開放し,新学習指導要領を意識した授業づくり・単元開発をネットワークにより協同的に実施した。また,学長裁量経費(研究プロジェクト経費)をいただき,「実践・知のスミソニアン」として構築してきた。成果の一部を公開する予定であったが,教職大学院生は翌年度早々の実習等の準備のため極めて多忙となり未公開である。ワークショップ型研修については筑波中央研修や教育センター,学校現場での研修の場で開発・実施する機会に多く恵まれ,学校や教師のカリキュラム開発力向上の方法としてさらに研究の継続を行うことができた。教職大学院の授業(公開授業含む)でも紹介し好評であった。

1-2.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

学部担当の「生活科教育論」「総合学習論」「教育課程論」はいずれも学生には馴染みの薄い教育内容であり,将来教師として学年または学校で主体的・協同的に作り出す部分が多いものである。カリキュラム開発や授業づくりの実践力を育成するために,研究過程において得た優れた事例を題材にし,具体的な手だてを示すとともに学生自身に考えさせたり協議させる活動をできるかぎり組み入れる。また,適宜ワークシートを作成し,自己の考えをしっかりと文章化させる活動も重視する。このワークシートの記述内容も成績評価の対象としている。新規に担当する教職大学院の授業では,学校現場のニーズを考慮しながら,これまでの実践的な研究の蓄積を改めて整理・検討し理論化・教材化を図る。これまで研究開発してきたワークショップ型の研修方法を授業のなかでも活用する。

(2)点検・評価

1.,2.[内容・方法]「教育課程論」「生活科教育論」「総合学習論」において,カリキュラム開発や授業づくりの実践力を育成するため,研究過程において得た優れた事例を題材にし,具体的な手だてを示すとともに学生自身に考えさせたり協議させる活動を組み入れた。2.[方法]適宜ワークシートを作成し,自己の考えをしっかりと文章化させる活動も重視した。3.[評価]授業の最後にはこのワークシートの記述内容及び配布資料等を各自が整理・構造化するためのテストを導入し,評価対象とした。1.[内容]教職大学院の授業では,学校現場のニーズを考慮し,これまでの実践的な研究の成果を教材として活用した。2.[方法]これまで研究開発してきたワークショップ型の研修方法を授業でも活用し,11月29日の公開授業でもその一端を紹介した。

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

平成17年度の「総合演習」をきっかけにサークルが誕生し,その顧問となった。学生の総合表現力を育むためのサークルである。平成19年度はその年度の「総合演習」の受講生が中心になり鳴門市内の小学生と「鳴門環境サミット」を実施した。大学生と小学生の両者にとって貴重な体験である。20年度においてもこのサークルを中心に企画・運営を行いたい。文部科学省研究開発学校制度創設(昭和51年度)以降の各校の研究報告書の大半を所蔵している。転出教員の研究室を講座資料室に転用するなどの方策を講じ,集中管理を行っている。教職大学院の設置によりさらにこの資料の重要性が高まっており,本格的な資料室開設を提案する。これまでに指導した院生・学生は100名近くになった。これまで十数年にわたって年2回程度「鳴門セミナー」を実施し,修了生等の研究・実践交流の場としてきた。18年度より通信ネットワークを活用した支援を開始し,修了生へのアフターサービスを充実させつつある。彼らの仲間や後輩との新しい繋がりを得ることで大学院の学生定員の充足にも貢献したい。

(2)点検・評価

「劇団どや!」は,年度内に2回の公演を行うことができた。昨年2月に行った「鳴門子ども環境サミット」は教職大学院生による実施協力が得られず実施できなかった。実施時期においては教職大学院生は予想以上に多忙なために別な方法を考える必要がある。その代わり,吉野川市や阿波市,徳島森林管理署と共同で「第一回阿波麻植交流の森自然体験会」を企画・運営した。本学学生・院生21名は児童約130名,地域人材約40名とのかかわりを通して貴重な学びを行った。学生を含め参加者の満足は極めて高いものであった。文部科学省研究開発学校制度創設(昭和51年度)以降の各学校の研究成果物は人文棟4階の一室に都道府県別に整理し,管理することができた。教職大学院生を中心にその活用が期待される。これまでに指導した院生・学生は100名近くになる。8月に1泊2日の「鳴門セミナー」を実施し,修了生等を中心に約60名が参加し,熱心な実践報告と研究協議を行った。18年度より通信ネットワークを活用した支援を開始しているが,修了生を中心に情報交換が行われている。

2-2.研究

(1)目標・計画

専門である生活科や総合的な学習,カリキュラム開発は常に流動的に動いており,教育行政や学校現場との連携が重要である。特に,平成20年度は学習指導要領告示の年であり,移行措置期間・本格実施へと動いていく時期である。教育委員会や学校現場との共同研究を図りつつ,次期学習指導要領のモデルとなる授業やカリキュラムの開発を行いたい。これらの研究成果は研究報告書にとどまらず,編著書や論文,学会発表等で公開していく。なお,20年度は生活科や総合的な学習の編著書として4冊程度の発刊を計画している。

(2)点検・評価

教育委員会や学校現場との共同研究を図りつつ,次期学習指導要領のモデルとなる授業やカリキュラムの開発及びそのための研修開発を行っている。また,文部科学省の学習指導要領解説書「総合的な学習の時間」(小学校編及び中学校編)の作成に加わり,公刊されている。全国レベルの学会発表は5本(単独1本,共同4本)である。また,総合的な学習に関する編著書『教科と総合の関連で真の学力を育む』(ぎょうせい)を5月に1冊発刊し,さらに生活科と総合的な学習の編著書を日本文教出版より発刊した。19年度に修了した秦啓子は日本生活科・総合的学習教育学会において論文が採択され,かつ学会論文賞を受賞した。

2-3.大学運営

(1)目標・計画

20年度より開設される教職大学院の授業実践・カリキュラム開発コースのコース長に任命されているので,他の教員との連携・協力関係を密接にしつつ魅力あるコースづくりを行う。20年度は学生が15人定員に満たない状態であるので,入学希望者増加に向けて,スクールリーダーに求められる授業実践力・カリキュラム開発力の重要性について広く伝えていきたい。また,特色GPの最終年度に当たるために,その充実化と成果のまとめに努力する。それ以外に委員会等,大学運営にかかわる依頼があるときには,教職大学院の初年度のために十分には動くことはできないが,可能なかぎりにおいて貢献したい。

(2)点検・評価

教職大学院の授業実践・カリキュラム開発コースのコース長に任命され,講座の運営を行っている。学長・理事との面談でも話題にのぼったが,教員同士の連携・協力関係を密接にしつつ魅力あるコースづくりを行いたいと考えているが,多忙さに追われてコース長としては十分な取り組みができていない。20年度は学生が15人定員に満たない状態であったので,入学希望者増加に向けて,授業や講演等,折に触れて,スクールリーダーに求められる授業実践力・カリキュラム開発力の重要性について広く伝えてきた。それが直接的な要因ではないが,コースへの入学者が定員15名に迫る14名となった。GPに関しては,18年度に獲得した特色GPの最終年度として2回のシンポジウム(12月と3月)の司会を担当した。また,東京学芸大学との連携GPの申請書作成やヒアリングの段階からに本学代表として関与し,無事採択された。その後,その実施のためにうち合わせや会議,シンポジウムに出席している。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

附属学校からの指導・支援の依頼はできる限り引き受けたい。文部科学省(視学委員や学習指導要領解説書等作成協力者など)および教育関連の各種財団の委員,独立行政法人教員研修センターや教育委員会,学校からの指導等の依頼は本務に支障のない範囲で引き受け,社会貢献を果たすとともに,可能な限り本学の大学院学生充足や教育活動等に反映していきたい。また,7月には日本カリキュラム学会を本学で実施し,その実行委員長を任命されているので,成功に導きたい。

(2)点検・評価

他大学の附属からの依頼はあるが,本学の附属学校園からの指導・支援の依頼はない。文部科学省(視学委員や小学校及び中学校の学習指導要領解説書作成協力者など)および教育関連の各種財団の委員,独立行政法人教員研修センターや教育委員会,学校からの指導等の依頼は本務に支障のない範囲で引き受けている。様々な機会に本学大学院や教職大学院について伝えたりお願いをしたりしている。7月には日本カリキュラム学会を本学で実施し,その大会委員長を務めた。約250名が参加し盛大な学会となった。理事を始め参加者から数多くの感謝の言葉をいただいた。

3.本学への総合的貢献(特記事項)

前にも述べているが,東京学芸大学や奈良教育大学等との連携型のGPの獲得に寄与することができた。その実行のための委員を拝命され,その業務を遂行している。また,7月には日本カリキュラム学会全国大会の委員長として,その開催の責任者を務め,成功を納めた。理事や参加者から本学に対しても好意的な評価を得ることができた。また,吉野川市や阿波市,徳島森林管理署と共同で企画・運営した「第一回阿波麻植交流の森自然体験会」においては,本学学生・院生21名が児童約130名,地域人材約40名とのかかわりを通して貴重な学びを行った。

 

最終更新日:2010年02月15日

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