自己点検・評価報告書(人間形成コース) 伴恒信

報告者 伴恒信

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての研究活動

(1)目標・計画

平成19-21年度科学研究費補助金の研究代表者として「地域コミュニティ参画型道徳教育実践プログラムの実効性に関する日米中比較研究」を実施している。平成19年度には北京師範大学倫理道徳教育センター長の壇教授の協力も得て,子どもの道徳的社会行動に関する日中比較質問紙調査を実施しており,平成20 年度にはその分析結果を国際学会等各種学会で報告する。また,上記テーマに係るアメリカでのフィールド調査も実施し,これまでの各国の道徳教育研究とあわせて調査研究の集大成に当たる。

(2)点検・評価

平成19-21年度科学研究費補助金「地域コミュニティ参画型道徳教育実践プログラムの実効性に関する日米中比較研究」の一環として行った子どもの道徳的社会行動に関する日中比較の現地調査及び質問紙調査については,平成20年6月29日松山大学で開催された第15回子ども社会学会において成果を報告し,また11月19日に北京師範大学で開催された第3回中日教師教育学術研究会議においても質問紙調査のより詳細な分析結果を発表した。さらに,国家枠を越えた民主主義社会と新しい市民性教育の動向を探るために9月から10月にかけて仏・独・英の各国でヨーロッパ協議会やイギリス・ドイツの教育省および研究所を訪ね,市民性教育の現地調査を実施した。アメリカについても,2009年3月にテネシー州で開催された「第20回全米サービス・ラーニング会議」に出席し,情報文献収集と交流に努めた。

1-2.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

平成19年度には教師を目指す学生を,藍住町の各小学校や鳴門市の中学校にサブ・ティーチャーとして派遣し,教育実践の中で学び同時に各学校からその奉仕貢献に感謝されるというアメリカ式の「サービス・ラーニング」を,本学の「教育実践研究」等の授業のシステムに組み入れた。平成20年度は,こうしたサービス・ラーニングの実践方式を,社会学でいうエスノグラフィー的調査研究方法と融合させ,修士論文や卒業論文の作成にも応用していきたい。

(2)点検・評価
  • 平成20年度に「サービス・ラーニング」 方式で各学校にサブ・ティーチャーとして入り込み,同時に修士論文としての研究をまとめた学部卒大学院生は3名にのぼり,その修士論文としての内容も副査の先生方から高い評価が得られた。
  • 平成20年度から既存大学院改革の目玉として始まった応用実践科目の広領域コア科目の一つとして「子どもの規範意識の形成と授業経営」を担当,藍住町のボランティア団体と小学校との間で行われている学社連携授業に院生たちも積極的役割を果たしながら参加した。

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

先述の藍住町など地元の協力校と連携しながらボランティア希望者を派遣していることで,学生の教職意識が高まるばかりでなく,長期履修生の教育実習校として便宜がはかられたり,教員採用試験の面接でも学校現場で実践活動していることが評価され実際に神奈川と大阪の採用試験に最終合格したり,学生のキャリア形成に大きなメリットをもたらしている。私個人と学校との間で築いているこの信頼と連携を広く安定的な仕組みとしていきたい。

(2)点検・評価

先述の藍住町など地元の協力校と連携しながらボランティア希望者を派遣しているなかで築かれた関係性をさらに広げ,平成20年度には藍住町からの要請もあって,本大学と藍住町との間で正式の協力協定が締結された。また,ボランティア派遣をしていた長期履修生の3人のうち,2名がそれぞれ京都府と横浜市の教員として正式に採用され,学生のキャリア形成にも大いに効果あることが実証された。

2-2.研究

(1)目標・計画

上述の科学研究費補助金プロジェクトは,私が長年取り組んできた各国の道徳教育および子どもの道徳的社会行動の国際比較研究の延長線上にあるもので,これまでの研究を集大成して大きな論文や著書へとまとめていきたい。

(2)点検・評価

上述のように平成19-21年度科学研究費補助金「地域コミュニティ参画型道徳教育実践プログラムの実効性に関する日米中比較研究」の一環として,子どもの道徳的社会行動に関する日中比較の現地調査及び質問紙調査の成果を学会等で報告するとともに,引き続きヨーロッパおよびアメリカでも現地調査を行って研究の蓄積と充実をはかっている。

2-3.大学運営

(1)目標・計画
  • 平成20年度には,本学が文部科学省から受領した現代的教育ニーズ取組支援プログラムの「四国遍路」プロジェクトチーム委員として,地元の学校の子ども達をプロジェクトに参加させる学校との連携協力の役割を要請されており,その実施の任に当たる。
  • 平成20年11月に北京師範大学で開催予定の「第3回中日教師教育学術研究集会」における日本側大会学術委員会主席として,研究集会の企画運営に尽力する。
(2)点検・評価
  • 現代的教育ニーズ取組支援プログラムの「四国遍路」プロジェクトチーム委員として,藍住町教育委員会や学校との連携協力を促進させ,本学と藍住町との協力協定締結の下地を敷いた。
  • 平成20年11月に北京師範大学で開催された「第3回中日教師教育学術研究集会」では他大学の参加者も呼び込んで大会の成功に微力を尽くすとともに,北京師範大学道徳教育センター長の檀教授を平成21年度客員研究員として招待する手続きを進めた。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画
  • 平成19-20年度日本子ども社会学会理事として,学会プログラムの運営に主要な貢献を果たす。
  • 上述の中日教師教育学術研究集会の企画運営を通じ,北京師範大学と本学との姉妹校関係を実のあるものとしていく。具体的に,北京師範大学との本格的な共同研究を実施し,その共同研究の成果を上記学術研究集会で北京師範大学の教官とともに共同発表する。
(2)点検・評価
  • 平成19-20年度日本子ども社会学会理事として学会運営に貢献を果たした。
  • 平成20年度から北京師範大学道徳教育センター長の檀教授を平成21年度客員研究員として招待する手続きを進め,両大学の実質的な研究協力を進めている。
  • 北京師範大学付属小学校から本学の付属小学校との相互交流を提案され,本学付属学校および執行部との調整をはかってきたが,現在ところ本学の理事よりさらなる推進は保留されている。

3.本学への総合的貢献(特記事項)

上述の研究活動は文部科学省でも評価され,平成21年2月13日,文部科学省の次官通達で組織された「子どもの徳育に関する懇談会」での講演を依頼され,鳥居泰彦,森隆夫,柳田邦夫氏など中央教育審議会委員,および銭谷文部科学省事務次官,玉井審議官,金森初等中等教育局長他文部科学省の多方面の諸課長が臨席するなかで報告を行った。文部科学省のなかで鳴門教育大学の存在や評価を高める直接的な効果があったものと考える。

 

最終更新日:2010年02月15日

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